【2019年冬コミ(C97)】カップリング表記ランキング(速報版)
こんにちは。毎コミケ恒例、カップリング表記統計の時間です。
原稿と仕事に追われてた夏と違って調査の時間がしっかり取れたので、今回は今時点で全サークル(32,532サークル)の調査結果が出ています。
今回は『刀剣乱舞』が『キャプテン翼』や『SLAM DUNK』など過去の名作と並ぶ「コミケ9連覇」を達成できるか、気になるところです。
■調査方法
いつも通り、コミケカタログのサークルカット(32,532枚)から目視でカップリング表記を抜き出して集計しています。調査時間はだいたい160時間くらい。
調査の工程は
①コミケWebカタログで目視調査
②Web版で見にくい文字を冊子版カタログで確認
③ググっても意味がわからない表記を実際に現地(コミケ)に行って調べる
④米沢嘉博記念図書館でコミケの見本誌を調査する
となっていて、今回は①②まで完了した状態のデータで集計しています。ただ、基本的に③④で調査するのはランキング上位の作品ではないので、ランキングへの影響はほぼないと考えて構いません。
■「カップリング表記」の定義
本記事内での「カップリング表記」の定義については、下記ブログ記事に示しています。ご参考までに。
ただ、カップリング表記の定義については「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難」なので、あくまで筆者基準での定義となっております。ご了承ください。
■作品別表記数ランキング
2019年冬コミは『Fate/Grand Order』が初制覇!
昨年冬コミまで拡大を続けていたところに、今年の夏コミでは大幅減と急ブレーキがかかっていましたが、今回+83表記と巻き返してきました。元々TYPE-MOONジャンルは特定層に人気な「マイナーメジャー」な位置にいたと思いますが、近年はすっかりメジャーシーンに溶け込んできました。感慨深いです。
そして2位は最近、瞳乾燥主義者に襲撃されてる『刀剣乱舞』。今回は惜しくも僅差でV9を逃しています。それでもコミケ8連覇は歴史的な記録で、コミケ全期間通して暫定3位につけています。
【カップリング表記ランキング連覇記録】
9連覇:『SLAM DUNK』(1994夏~1998夏)
9連覇:『キャプテン翼』(1985冬~1989冬)
8連覇:『刀剣乱舞』(2015冬~2019夏) new!
8連覇:『鎧伝サムライトルーパー』(1990夏~1993冬)
調査中:『テニスの王子様』(2002夏~調査中)※現在8連覇まで確認済
基本的にコミケに持ち込まれる作品の種類は年々増えているので、ライバルが多い近年のほうが連覇は難しくなっています。
4位のオリジナル(一次創作)ですが、元々コミケには「創作(少年)」「創作(少女)」「創作(男性向)」が大きな規模(サークル数)としてある中で、これまでほとんど書かれてなかったカップリング表記が、近年かなり書かれるようになってきています。オリジナル作品はキャラ名での表記が難しいため、主にキャラ属性で表記されますが、その代表的なものが「おねショタ」「おにショタ」です。もちろん『艦隊これくしょん』や『FGO』などの二次創作にも「おねショタ」「おにショタ」などの表記が書かれますが、ここではオリジナル作品のみを集計しています。他によく書かれるのは「ふたなり×男の娘」や「ふたなり×男」などのふたなり系です。この関連では、なかなか複雑ですが「ふたなり×男の娘のおねショタ」など定義の難しい複合系の表記も見られます。
7位には直近勢いのある『ヒプノシスマイク』がじりじり順位を上げてきています。カップリングとしては新宿の通勤快速シャンパンタワーこと「どひふ」「ひふど」が人気です。コミカライズはまだ読んでいないのですが、同棲してるって本当ですか。個人的にはオオサカの市○ギンっぽい人が気になっています。ヒプマイとしては今年はオオサカ・ナゴヤの新ディヴィジョン追加で盛り上がった一方で、あのエイベックスが類似コンセプトの『Paradox Live(パラライ)』を投入してきたことでかなりフロアが暖まってきたかんじがあります。これからヒプマイのアニメ化とゲーム化も待っているので、来年もまた「でけぇ悶着」が期待できそうです。
■作品別表記増加数ランキング
各作品の勢いを測る、表記増加数ランキングです。
今回の注目作品はなんと言っても『プロメア』。オリジナル、しかも映画オンリーの作品でここまでカップリング人気が出る作品は初めて見ました。遅ればせながら私も先日観てきましたが、まさにTRIGGERの集大成。真夏の熊谷市をはるかに超えるアツさの作品で、ksdk感情同士の殴り合いがとても気持ちよかったです。
それと3位の『鬼滅の刃』。既に説明不要とは思いますが、毎週月曜朝に「#鬼滅本誌」がトレンドに入るほどで最近は逸般だけでなく一般レベルでも話題になっています。原作人気もさることながらpixivの日次検索ランキングでも直近上位をキープしていて、二次創作人気の高さも伺わせます。ただ、今回も増えてはいるものの、本格的に盛り上がったのがアニメ化以降で、今回の冬コミの申し込みには完全に反映されてないようです。来年5月のC98が楽しみです。
ここで完全に不意をうたれたのが6位の『FF14』で、どうやら今年7月にリリースされた拡張パック「漆黒の反逆者(ヴィランズ)」が震源地のようです。とにかくキーワードは「エメトセルク」と「水晶公」らしいですが、詳細は引き続き調査したいと思います。
7位の『VTuber』は、次のC98で単独ジャンルになる予定です。初期のVTuberジャンルは単体絵が多かったですが、「にじさんじ」を中心にVTuber間の関連性にも注目が集まるようになってきているようです。ただ、このジャンルは公式のコンビ名とカップリング表記が被ってるケースが多く、集計基準は一回見直す予定です。
■カップリング表記ランキング
「カップリング表記」のランキングです。「カップリング」のランキングではありません。表記がどう書かれてるかに注目しています。
前回の夏コミは、単独ジャンル化した『名探偵コナン』の「赤安」の猛追をしのぎきった王者「ヴィク勇」ですが、年内に映画が上映されないことが確定したこの冬コミやいかに!という流れできています。
はい、冬も「ヴィク勇」!解散!!
しかも映画の公開延期くらいしか新情報がなさそうなのに表記数が増えてました。なぜ。
完全に永田農法の成功例として教科書に載るレベルになっています。
2位の「赤安」も夏コミ比で微増していますが、今年の映画(紺青の拳)の影響もあってか、10位の快新の方が伸び率が大きいです。ただ現在本誌では「警察学校編」が始まり、来年の映画(緋色の弾丸)では赤井さんがメインになることが確定しています。特に来年は赤安周りの状況がかなり変わってくるはずなので、しっかり注目していきたいと思います。
3位は期待の大型新人「ガロリオ」。『プロメア』の公式みたいなド直球ド真ん中のカップリング(個人の感想です)なので、この人気も納得です。一方で「リオガロ」も13表記あり、このふたりのカップリングで『プロメア』全体の約7割を占めています。
7位の「おねショタ」の増加はうっかり日本の未来を憂いてしまいそうな勢いがあります。Cool Japan。たしか「おねショタ」と「ショタおね」の区別をはっきりしょう的な運動も一部であったようですが、現状はあまり左右を意識せずに「おねショタ」となっているようです。
■カップリングランキング
こちらは、多彩なカップリング表記をカップリング別に集計したランキングです。概ねカップリング表記ランキングに近いので、違いがある点を中心に見ていきます。
表記ランキングとは3位と4位が入れ替わっています。
3位の「兎虎」は「兎虎」「うさとら」「兎×虎」を中心に表記が分散しているため、カップリングとして合計すると大きく増えます。
逆に4位の「ガロリオ」は初登場ながらほぼ「ガロリオ」に統一されています。最初から名前がカタカナなのと、近年はpixivのタグをベースに書かれることも多いので、新作でも表記の統一感は出やすい傾向にあります。
それと注目は7位の「坂本龍馬×岡田以蔵」で、表記が「帝都騎殺」と「龍以」で分散してしまっているため、表記ランキングに出てきませんでした。現在はちょうど半々ですが、勢い的には「龍以」に収束されそうな印象です。
■この攻めがヤバい!(2019冬)
全カップリング表記から抽出した攻めキャラランキングです。
やはり強い。ロシアが生んだ(ほぼ)勝生勇利専用攻めマシーン、ヴィクトル・ニキフォロフ。個人的には「相手構成比が9割を超えたらガチ勢」という基準で見ていますが、圧巻の98%。むしろ残りの2%が気になるレベルです。
2位の赤井さんもわりとガチっぽいイメージですが、時折江戸川くんに浮気してるのでガチ度は若干下がっています。ここも来年の映画次第で変わりそうな予感がしています。
3位はまたガチ勢。TIGER&BUNNYのガチ攻めの方、バーナビー・ブルックスJr.です。ヴィクトルと並んでガチ攻め界では有名な彼ですが、相手が年上と年下で分かれてるのが興味深いところです。
4位はガチ攻め界期待の新星ガロ・ティモス。個人的にはガロクレがもうちょっとあって7:3くらいじゃないかと予想してたんですが、結果は圧倒的ガロリオでした。二次創作としては映画の時系列を起点に過去の話が多いガロクレと、未来の話が多いガロリオとでくっきり分かれているのも特徴です。
5位、9位、10位の刀剣男士勢ですが、見事に各男士の特徴が現れています。「本命はいるけど基本DD(誰でも大好き)」な三日月と光忠。その一方で、「普段は総受けだけど、長義にだけは攻め」なまんばさんと、明確に方向性の違いが現れています。
8位のクー・フーリンは「自重せよ、ランサー」って令呪っといた方がいいレベルのFate界を代表するマルチ攻め男ですが、Heaven's Feelでは不幸な役回りなので許してあげてほしいです。相手はやはりエミヤ先生が多いですが、FGOではぐだ子、EXTRAではザビ子、ataraxiaではバゼットさんと、とにかく手数と手癖がわるいのが特徴です。
■この受けがヤバい!(2019冬)
全カップリング表記から抽出した受けキャラランキングです。
「この受け」もやはり「ハセツ・ディビジョン」が強い!
「魔性のカツ丼、必勝のカツドウ、MellowなErosの勝生に勝つ気~!?」みたいな強気のリリックで攻めてきています。受けですが。
ヴィクトルのガチ攻め98%に対して、勝生勇利側から見ると95%ということで、その差を生み出してるユリオくんの存在がこのカップリングのキーになっています。
2位はまた極端。Fate界の総受けクイーンぐだ子さんです。FGOでキャラが追加されるたびに相手も増えるような状況で、遂に今回最多相手でも8%、相手数59人という大ハーレムを形成してしまいました。古今東西老若男女完備で、どんな相手も受け止める概念として昇華された感があります。
一方で9位のぐだ男くんもかなり相手が割れていますが、相手は24人に絞られているので、まだ大丈夫(?)なかんじです。ただ彼の場合、「頼光攻め」「ブーディカ攻め」「紅閻魔攻め」など女性攻めが散見されるのが気になるところです。Cool Japan。
7位の黒子先生もかなりハーレム感ある構成です。相手は13人と少なめなもののあまり強弱なく誰ともフラットにつき合っていて、キセキの世代総受け担当の地位を確かなものとしています。それとキセキの世代もかなりの超人高校生なので、異世界に行っても黒子テツヤは余裕で総受けだと思います。
■夢人気ランキング(2019冬)
最近はサークルカットに「キャラ名×夢主」のような「夢主表記」が増えてきています。そこで今回の冬コミで夢主に人気のキャラをまとめてみました。
1位 安室透(名探偵コナン) 3表記
2位 降谷零(名探偵コナン) 2表記
3位 赤井秀一(名探偵コナン) 1表記
ベルモット(名探偵コナン) 1表記
北原白秋(文豪とアルケミスト)1表記
東春秋(ワールドトリガー) 1表記
『名探偵コナン』には夢主を生み出す良質な土壌があるとは聞きましたが、さすがに多いですね。そしてここでも安室さんと降谷さんの区別が明確にされているのが興味深いところです。実質ダントツ首位。
それとポイントは3位のベルモットで、彼女は女性キャラですが、表記には「ベルモット×女夢主」と性別まで明記されているので、これは「百合夢」ということになります。
C97の調査結果は以上です。
■今後の調査予定
今年の11月から来年4月まで一旦本業のSEをやめて、半年間限定でカップリング表記の調査に専念しています。C97の調査の残りは「コミケ当日の現地調査」と年明けからの「米沢嘉博記念図書館での見本誌調査」のみなので、明日からは過去のコミケに戻って2006年夏コミ(C70)の調査を始める予定です。
それではみなさま、よいお年と冬コミを!