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「MASTERキートン」について思うこと

●映画のような作品

 基本的には一話完結、たまに複数回にわたる中長編のエピソードで構成されているMASTERキートン。短編・長編とも安定した面白さがあるのだが、特に冒頭写真の17巻「学者になる日」から18巻(最終巻)「夢を掘る人」までの作中最も長いエピソードは、何度読んでも一本の良い映画を観たように気分になる。そんな読後感のあるマンガは、私は他に知らない

●ウチの本棚でもサバイヴするキートン

 MASTERキートンを知ったきっかけは、ジョジョを教えてくれた友人から、同じ浦沢作品である「パイナップルARMY」を全巻貸してもらったことからだ。

 パイナップルARMYも良い作品なのだが、「考古学者」と「元SASのサバイバル教官」の二つの顔を持つ主人公により惹かれ、こちらは自分で単行本を買い揃えていった。

 ジョジョやドラゴンボールスラムダンクは結婚する時に一度は売ってしまったのだが、キートンはそのまま持ってきて、今も本棚に生き残っている。それどころかスピンオフの「キートン動物記」と後日譚になる「MASTERキートンReマスター」も並んでいる。

●雑学は身を助く

 考古学や歴史の知識のみならず、動物や植物の生態から人種問題、民族紛争、果ては大学内の権力闘争に至るまで、凄まじい量の雑学に溢れる作品でもある。またSASのサバイバル教官であるキートン先生の、いざという時の護身術も満載だ。きっとあなたの身を助けるに違いない。

無人の砂漠に放り出されたら
→ビジネススーツを着ることで暑さを凌ぎ、完全栄養食であるジャコウネズミの血液を飲む

石畳の道を散歩している時に戦車に追いかけられたら
→石鹸水を流して車輪を空転させて撃退する

・真っ暗なカタコンベを歩く時には
→コウモリの糞を拾って香油指しに入れると松明代わりになる

犬に襲われたら
→犬の口の中に手を突っ込み、噛まれる前に舌を掴むと、犬は体の構造上何もできなくなる

●連続ドラマ化希望

 後日譚である「Reマスター」は悪くはないのだが正直なところ蛇足で、本編で終わっておいて欲しかった。それぐらい本編はどの巻から読んでも面白い

 先に触れた最終巻のエピソードだけではなく、全体的に映画のワンカットを想起させるシーンが多い上に、出てくるレギュラーメンバーもそれぞれにキャラが立っているので、アニメ化はされたが実写化されるのに向いている作品だと思う。特に連続ドラマがいいと思うのだが…主要キャラを日本人に置き換えたら普通に面白い作品ができると思う。

 浦沢作品への批判として「広げた大風呂敷が畳めない」という声もあるが、こちらは決してそんなことはないと思うので、興味ある方はぜひ。

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