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ヨエコファンミーティングの覚え書きレポ

2024年7月9日に高円寺にある座・高円寺2にて「ニューヨエコファンミーティング2024 in Tokyo」が行われた。
【活動終了】から15年以上。「ニューヨエコショー プロローグ編」を経て開催されたトーク&ライブイベントだ。
この記事は当時の様子を自分で思い出すために書き残す備忘録としてのライブレポなので散文極まるが許してほしい。
でも当時の様子を知りたい人がいたらちょこっと読んでほしい。
そして前半はどうでもいいので目次から「開演」まで読み飛ばしてほしい。


会場にて


これ、遅刻するんじゃね?

公演当日、天気はくもり時々雨。仕事が立て込んでおり気分も天気もどんよりとした1日だった。
会場は高円寺、その日はリモート業務にして高円寺で作業をすることにした。
開場の18時には到着できるようスケジューリングをしていた。
本来は開演に間に合えば良いのかもしれないが、当日の会場は自由席、チケットは先着順だった。
そして私の整理番号は3番。これはセンターでヨエコさんを見ることが出来る絶好の機会。逃すわけにはいかなかった。

仕事のペースは当初順調だったのだが、イレギュラーはこういうときにこそ発生するもので。
17時の段階で明らかに18時に間に合わない量のタスクが残っていた。
「あれ、これ遅刻するんじゃね?」
リモート通話をしながら独りごちていると先輩が言った。
「残りのタスク洗い出そうか。引き継げるものはやっておくよ」

神はここにいた

ギリギリの入場

17時46分。タスクの洗い出しと引き継ぎを終えた自分は会場へとダッシュで向かった。
到着時刻は17時59分。ギリギリ間に合った。
会場の扉を開けるとヨエコさんのポスターがお出迎えしてくれた。

サインあるじゃん。テンション上がる。

会場は空調が効いていて、汗まみれの体には心地よかった。

階段を下りる。地下2階にたどり着くと整理列が形成されていた。
先頭から3人目に声を掛ける。
「番号は4番ですか?」
「はい」
「では前失礼します」
列に並ぶとまもなく開場した。
受付ではチラシとオリジナルのうちわが配布されていた。記念品としてちょうどいいサイズ感。あぁライブに来たのだと胸が高鳴った。

整理番号が3番ということもあってやはり席は選び放題だった。
迷わずセンターに腰掛ける。
数メートル先に譜面台が置いてある。ここにヨエコさんが立つのかと思うと心拍数が上がる。
走っていたせいかもしれないが、スマートウォッチに「心拍数高すぎやで」と警告が出た。


心拍数高すぎだろ

開演までは発売間もないヨエコさんの書籍「失声からの始まり」を読んでいた。

ヨエコ オフィシャルショップより引用

開演

トークライブ開始

開演5分前。ビーとブザーが鳴り開演前アナウンスが始まる。
「地震などが発生した際は係員の指示に従い~」
ソワソワとし始める。15年待ったのだ。一生見ることが出来ないと思っていた生のヨエコさん。

開演時刻になり暗転。MCの登坂亮太さんが登場する。
「皆さんこんにちは~」
ほどよく陽気な雰囲気を出しながら前説が始まる。

「それではヨエコさんの登場です。拍手でお出迎えください!」

200人しかいないのにこれでもかというほど盛大な拍手の中衣装を身にまとったヨエコさんが登場した。
語彙力が無くて形容しがたいが、薄い金色のワンピース。控えめにデコレートされた装飾と、首元にはキラリとネックレスが輝いていた。

「ひさしぶり~!!」
「おかえりなさーい!!」
観客から声援が上がる。
温かな雰囲気だった。
ちなみに私の隣席の人はこの段階で泣いていた。

トークコーナー

最初は質問コーナだった。あらかじめ「失声からの始まり」を読んだ上で、その内容を掘り下げる内容だった。

特に掘り下げたのは前回の「ニューヨエコショー プロローグ編」の際に声が出なくなった件について。
当日声が急に出なくなったこと。本当は他の会場(三井ホール)でもライブを企画していたこと。それが叶わなかったこと。
時系列に沿ってその時々の状況や気持ちを赤裸々に話していた。

「それでも今日は声が出まーす!チキン南蛮弁当食べたので!」

小ボケもかましつつそれ程暗い雰囲気ではなかった。

声が出なくなった当時の概要は先述の「失声からの始まり」に記載されているので気になる人は購入してほしい。
執筆現在は在庫があるので。

声が出なくなった当時の話は壮絶なものだった。
歌をある種生きがいにしている人にとって声を失う恐怖というものはどれほどだったのだろうと思いを馳せると胸がキリキリした。

「声は出ないけど。もうどうなってもいいから歌いたいという覚悟で臨みました」

およそそういった旨の言葉が胸に響く。

そしてしれっと発表されるニューアルバムの発売。

終演後もしれっと置いてあった。

発売は誕生日でもある9月20日。
ライブ中のMCでも発表されたのだが、新宿でのインストアライブ、配信ライブ。そしてライブ「本編」の告知もされた。
盛りだくさん。泣いた。

クイズコーナー

一度ライブコーナーの準備のためにヨエコさんは裏へと戻った。
その後に開催されたのは「ヨエリスト検定 クイズ大会」

「失声からの始まり」の内容をクイズ形式に出題して1桁まで勝ち残った人達がヨエコさんのサイン入りチェキを手に入れる事が出来るというものだった。

結果は「1問不正解」という残念極まりないものだった。
あぁ、チェキ欲しかった。

なお臨席の人は全問正解でチェキをもらっていた。
羨ましい。

開演(ライブ)

ライブ開始

クイズ大会終了後、会場が薄暗くなるとメンバーが登場した。
ピアノの菅原敏さん。コーラスの葛岡みちさん、渡部沙智子さんの3人。
今回はこの3人とヨエコさんの4人編成でのライブだった。
そして、割れんばかりの拍手と共にヨエコさんも登場。
今度はデニム生地のワンピースを着用していた。

演奏はピアノソロから始まった。
なんとなく聞き覚えのあるコード進行。「今日も雨」だった。
少し上擦った固い声、所々外れるピッチ。緊張なのか本調子ではないのか、少し不安だったが一音一音に意味を込めているような魂の叫びだった。
個人的に「今日も雨」は大好きな曲なのでこれが一発目にきたらもう泣くしかなかった。
基本的に譜面台を客席に対して横に設置して、ヨエコさんも横向きに歌っていたが、ライブを通してたまに正面を向いて歌い、たまに手拍子を仰ぐ姿が印象的だった。

次の楽曲は「友達のうた」
自然と手拍子が湧き上がる。「ジャズ歌謡」、「シャバダ歌謡」と評されるヨエコさんの本領発揮だった。
このあたりから段々とピッチも合うようになってきたし、声質は芯がありつつもやわらかくなってきた。
もはやあの頃のヨエコさんと言っても差し支えないだろう。
いや、ライブでは解体ヨエコショーの姿しか知らないのだけれど。

ここでMCが入る
「今日という日を無事迎えられて、また1つ奇跡を積み重ねられた気持ちです。ライブが出来るのは心底ありがたいです。」
「今日は声が出るので穴が空くくらいしっかり見てください!」

その後はメンバー紹介。
メンバーを紹介し終わると
「今回はアコースティックな雰囲気でお送りします」
一言添えて、そして次の曲「卵とじ」が始まった。

アップテンポに跳ねるようなピアノと2人なのに分厚いコーラスワーク。
明るいメロディーの中にもすこしシニカルな雰囲気がある曲だが、喉からCD音源とはまさにこのことで、私の知っているヨエコさんがそこにいた。
ピアノソロでは暴れ回る(ピアノの敏さんはトークパートではヨエコさん曰く「お狂い遊ばせてる」という評価だった)パートが過ぎたあとの「こんな時には」の歌声
あぁこれこれという感覚になる。何度もCDで聞いたあの声だった。

演奏が終わるとこれまでとは打って変わってバラード調のピアノソロが入った。
しばらく演奏した後指でクリックを鳴らし敏さんが言う
「ワン、ツー、スリー」
にあわせて「夜な夜な夜な」が始まった。

この曲はおそらくヨエコさんの楽曲の中でもトップクラスに知名度が高い楽曲だと思う。
MVは一時期流行ったし、近年ではVTuberがカバーしたことで少し話題にもなった。(余談だが割とヨエコさんを歌うVTuberはいる)
原曲ではバンド編成で厚めの音作りがされているのに対して今回はピアノだけのアコースティック編成。
それでもコーラスワークと相まって独特な厚みを持った歌唱となっていた。
むしろピアノだけだからこそヨエコさんが放つ一音一音がストレートに届いてくる。
現に「卵とじ」に比べ拍の頭や言葉一つ一つをスタッカート気味に歌っていたりかなり強調したりして歌っていた。
原曲とはかなり味付けの違う仕上がりだった。

アウトロ部分は少し長めにヨエコさんによるアドリブのシャバダバ。
有名になるだけあってこの曲はいつ聞いても良い。

次はここでもMCが入る。
お客さんの中にグッズを身につけた人を見つけては「嬉しい~」と微笑んだり、限定グッズの宣伝をしたり。
衣装の解説もあった。デニム生地のワンピースは自前のもので、ネックレスとイヤリングもめったに着けない豪奢なものだが、今日という日のためにあえて着けてきたという話だった。
そしてなによりこのアクセサリー、楽曲の中にモチーフとして登場するものだった。
そのモチーフが登場するのは次の曲「ドーパミン」だった。

「ドーパミン」活動再開後に発表された新曲の内の1つだ。
原曲は所謂ヨエコ節みたいなものはそのままにアレンジは過去よりもどこか落ち着いたような、毒気の抜けたような印象がある。
しかし生歌を聞くとそうは感じなかった。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い 引きずって歩く」
その歌い出しから張りのある強い声だった。

後半は客席からの手拍子が合わさりかなりハッピーな空気感に。
演奏の終了と共に手拍子はそのまま盛大な拍手に変わっていた。

ここでもMCが入った。先述にもある今後のライブやニューアルバムの告知だった。
告知内容は以下
・ニューアルバム「ニューヨエコ2」が誕生日である9月20日(金)に発売
・9月22日(日)にタワーレコード新宿店にてインストアライブを開催
・レコ発ライブは12月に配信で開催。7人編成での開催予定
・2025年2月22日(土)にライブ「ニューヨエコショー 本編」を10人編成で開催
・各種詳細は追って公式よりアナウンス

発表の度に拍手が湧き起こる。もはや悲鳴に近い歓声も上がった。どれだけ皆がこのような日々を待ちわびていたかがよく分かる。

告知が終わると
「最後の曲です」
そういって「楯」の演奏が始まった。

語彙力のなさに自分でも驚くのだが、エモい以外に言葉が思いつかなかった。
「戻れるなら もっともっと賢く生きてただろう」
歌い出しから鳥肌が止まらない。胸の奥がじんわりとする。
解体ヨエコショーのMCで(多分)話していたが、この曲は母のことを書いた曲だそうで。
Aメロの二回し目からコーラスが混ざる。
だから、というわけでもないがハーモニーも相まって歌詞がスッと胸に染み入る。自然と涙もこぼれてくる。
周りからは鼻をすする音も聞こえてきた。きっと似たような気持ちになっている人が多かったのだと思う。

これはあきらかに原曲とは違うアレンジではあるのだが、悲壮感や楽曲の持つ抒情的な空気感はむしろ増していたと思う。
ライブだからこそだと思うのだが、本当に聞けて良かったと思う。

演奏終了後
「ありがとうございました」
そういってヨエコさん含むメンバーが捌けていくが拍手は止まらない。

アンコール

案の定というべきか、この日誰もが「あの曲歌ってなくない?」と思っていたところだろう。当日発売の新曲「Music」だ。

そんなことを考えているとファンミーティング限定Tシャツ姿に着替えたヨエコさんが登場した。
「すみませんお着替えの時間をいただいて。アンコールありがとうございます!!」

そうしてヨエコさんが語り出す。公式インタビューでも語っていた「活動終了」後の話だ。
この「Music」という曲は当時の経験をもとに音楽で語り合うことをテーマに作ったのだそう。
「どんな人でも音楽を聞けば体を動かしたり、逆に拒絶したりする。音楽でコミュニケーションを取ることが出来る」
そのようなことを言っていたが私も同意する。
音楽もそう、絵画もそう。アートは全てのものを超越していくと思う。

「それでは聞いてください。『Music』」

この楽曲は割とポップかつミドルテンポな楽曲だ。
ヨエコ節は相変わらず。ストリングスとコーラスが混ざるバンド編成の1曲。どちらかといえば活動終了直前期に発表されていた楽曲に近い。「春待ちガール」や「バルンの不思議な旅」のような陽気さをどこか感じる。

発売中なので気になる人は購入して聞いてみてほしい。

演奏が終了するとメンバーが横並びになり深々とお辞儀をして今度こそ終了。
濃密な90分間だった。
幸福感がとにかくエグい。一生聞けないと思っていた。一生新曲などでないと思っていたあのヨエコさんがこうして活動してくれるという現実。
未だに夢のような時間だった。

終了後

終了のアナウンスと共に新曲「Music」が流された。ここでアナウンスが追加される。
「ただいま『Music』が流れている時間のみ会場内の撮影を許可します」

記事のTOP画像に使用したのはこの時撮った写真だ。
もっとちゃんとした写真を撮ろうと思えば撮れたのだろうが、退場の流れに乗ってしまったタイミングだから上手く撮れなかった。残念。


良い会場だったよ

外に出ると多少雨がぱらついていたがくもりのままだった。
じっとりとした湿気を帯びた空気が体にまとわりつくがこの時ばかりはもう多幸感にみたされてそれどころではなかった。

イヤホンを装着して帰路につく。その場で今日のセトリをプレイリストにして再生する。

未だに夢のようだった。

インストアライブは行けるか分からないが、配信ライブと「本編」は是非とも参加したい。
そして願わくば今後もヨエコさんが活動を続けてくれますように。
そう思いながら歩いていた。


ちなみにだけど隣席の人は終始泣いていたし、帰宅後は引き継いだとはいえ翌日に残されたタスクを見て激萎えしたよ。
お仕事って大変だね。
今日もヨエコさんを聞いて耐えていこうね。

そんな感じ。
以上。

こんな感じでつらつらと書いていきます。 どれも投げ銭制の記事なのでなるほどと思っていただければ購入したりサポートしていただけると幸いです。 サポートしていただいた分は書籍などのインプット代として使わせていただきます。