石破茂総理の外交は大失態なのか
ペルーで開催されたAPEC首脳会議首脳会議とG20サミットで、石破茂総理が「礼儀知らずだ」とネットやメディアで袋叩きにあっている。
まず、首脳会議の集合写真を「欠席」してしまった。フジモリ元大統領の墓参で交通渋滞に巻き込まれて遅刻してしまい、写真に写ってない。おそらく、日本の首脳としては前代未聞の珍事だろう。
さらに非難されたのは、会議中に各国が首脳外交をする中、石破総理は、マレーシア、インドネシア、カナダなどの首相、大統領が、わざわざ席にまで訪れて握手を求めたにも関わらず、つまらなそうにスマホをいじっていた手を止めて、椅子から立ちあがろうともせず、座ったまま握手をしただけだった。
また、どういうシチュエーションだか知らないが、多くの代表が庭のようなところで談笑する中、石破さんはたった1人で、腕組みをしていた。
いちいち名前をあげないが、この姿に、評論家やインフルエンサーが「外交をわかってない」と怒り心頭で批判している。
それでは石破総理はどうすれば良かったのか。時間厳守の世界チャンピオンの日本人らしく、写真会場に真っ先に入り、うまうまと最前列のセンターで主催国のトップとバイデン大統領を両脇に満面の笑みを浮かべれば良かったのか。会議場では、ちょろちょろせかせかと歩き回り、これまた笑顔いっぱいでペコペコと頭を下げて握手をして回るべきだったのだろうか。ガーデンパーティー(?)では、魔人ブウのコスプレをして、世界中に笑いを提供しろとでもいうのだろうか。
よく考えれば分かることだ。「石破茂は人間関係を作るのか不得意」なのだ。だから、派閥の人数も少なかったし、安倍首相(当時)を後ろから撃つと人気が出ると勘違いしたり、挙句、まったく心にもないのに、新聞やテレビの取材に左翼のように振る舞い、薄っぺらな人気を得ようとした。安倍元総理のようにチャーミングな笑顔とジョークで自然に首脳の輪の中央にいるタイプではないし、岸田前総理のように英語が堪能でもない。石破総理に、安倍さんや岸田さんの真似をさせたら、もっと悲惨なことになるだろう。
石破総理は、「自然に振る舞えばいい」のだ。
「集合写真に遅れた総理大臣」なんて、傑作中の傑作だ。凄いとすら思う。会議の席で、誰が来ようと立ちあがろうともせず、ふんぞりかえる。退屈ならスマホをいじって鉄道ゲームをする。話し相手がいなければ、心の底からつまらない顔をして憮然と仁王立ちする。日本人といえば、腰が低く、ペコペコと挨拶して、外国語ができないコンプレックスを丸出しに恥ずかしそうにしている。そうした日本人の真似をするのは、海外のコメディアンなどの定番の芸になっている。しかし、石破茂のスタイルは、外国人にペコペコする気もないし、海外の習慣に合わせる気もサラサラない、「ネオ・ジャパニーズ」を体現している。これはこれでいいではないか。
逆に、彼が最も得意にしている、独特の言い回しで、意味の分からないことをネチネチと語り、よく聞くと、言ってることが堂々巡りをするだけで、まったく結論にも解決策も出てこないという、なかなか珍しい喋り方を披露すれば、意外に「なんか変わったやつだ!」と注目を集めるかもしれない。不器用な人は不器用なままでいいのだ。