私が管理本部長だ! vol.1
私は管理本部長
中小企業は色々と難しい。
飾りのような社訓に感銘を受ける従業員などいるわけもなく、都度変わるルールに翻弄される毎日だ。
それでも、創業者の社長が営業力強化に特化して育て上げた現幹部たちの手腕もあり、今では首都圏内に14店舗を展開するに至る。
まだまだこれからだがイケイケの会社。
私、高良川義彦は、そんな会社で管理本部長の職務に就いている。
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ちなみに私は、大きなものに関してはウォシュレット付きの便器でしか用を足さないと決めている。
私のケツはデリケートなのだ。
だが、私の勤務先である本社にはウォシュレットが無い。
そのため、私は大きな用を足す時には必ず外出をするのだ。
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先日、とある社員から阿部取締役に「高良川さんが勤務中にパチンコを打ちに行っている」との報告が上がった。
そのため私は、阿部取締役から近くの喫茶店に呼び出しをくらうことになった。
まったく、こんな真面目な私を疑って、パチンコ屋に入る姿を見ただけで「パチンコを打ちに行った」と決めつけるバカの言うことを鵜呑みにするとは世も末である。
「で、君はパチンコを打ちに行ったのかい?」
「いえ、私は用を足しに行っただけです」
「トイレは本社にもあるじゃないか?しかも、なぜ事務所のスタッフには行き先を伝えずに外出したんだい?君は『少しだけ出てくる』とだけ伝えたそうじゃないか」
「私は小さい用なら事務所のトイレで済ませます。パチンコ屋に行ったのはウォシュレットを使うためであり、私がウォシュレットを使うのは大きい用を足す時だけです。その時、事務所のスタッフには女性しかいませんでした。『大きい用を足すために外出をする』と明確に言うことはセクハラとも言われかねません。そのため、『少しだけ出てくる』と言う表現がもっとも適切だと判断しました。
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当然、私はお咎めなしとなった。
私は管理本部長。
決めたルールは絶対に守るのだ。