
教室マルトリートメント
前回、「自分の実践に影響を与えた本」というタイトルの中で紹介した時に、少し尺に入らなかったので、2回目を書きます。
前回↓
https://note.com/tarou800/n/nf6f4609d427d
前回のおさらい
教室において、教師(指導者)が子どもたちに対して、「避けたい関わり方」「不適切な養育」を行なっている状況を「教室マルトリートメント」とお伝えしました。
今回は、「教室マルトートメント」に対する処方箋(対策)を紹介していきたいと思います。
この本は川上先生と複数の先生との対談形式で書かれている箇所があり、そこからそれぞれの先生が話をされていた対策について、大きく2つ紹介して終わりたいと思います。
武田信子先生ー気がつく「眼鏡」をかける「セルフスタディ」
まずは、武田信子先生。武蔵大学の教授で臨床心理士。教育相談や教師教育についての本も書かれています。
予防をするためには、まず、みんなが「気が付く」ことが大前提だと思うんですね。・・・
気が付くための「眼鏡」がなければ、見えていなkれば、それが問題であるということ自体が分からないわけですから。
まずは教師が気付くことから。私も教頭先生が職員にプリントを配って研修してくださるまではまったく気付きませんでした。多くの先生が昔の僕と同じ状況だと思います。
そこから武田先生は「セルフスタディ」という言葉を紹介されています。自分自身のやっている実践の意義やより良い方法を模索していく方法です。
J.ロックランという人が書いている本が紹介されていました。僕も2年ほど前に購入したのですが、いまだに読めていません・・・
ちょっと本腰入れて、このタイミングで読んでみたいと思います。

村中直人先生ー「前さばき」のススメ
次は、臨床心理士の村中直人先生です。
「前さばき」と書きましたが、反対の「後さばき」について簡単に説明します。
まず根本的に、叱るも褒めるも「事の後」に行なっていることだからです。私はそれを「後さばき」と読んでいますが、そこにこだわってしまうと、後さばきに自分の意識を向け続けることになるので、「褒めるべきか、叱るべきか」を悩んでいる時点で、すごく視野が狭くなっていると思うんです。
「叱る」「褒める」は私たち教師にとって普段行っている教育活動の一つです。それぞれの行為は、子どものある行動の後に教師が行う行為です。それを川上先生は「後さばき」と呼ばれています。
補足しますが、「叱る」「褒める」という行為自体がダメなわけではありません。川上先生も丁寧に説明されています。ただ、この行為が「教室マルトリートメント」につながる行為であることは間違い無いと思います。
前回も書きましたが、叱って子どもをコントロールする教師。褒めてばかりで甘やかす教師。そのような教師のいる教室が「教室マルトリートメント」状態に陥ってしまう可能性は高くなるでしょう。
それでは、どうすれば良いのか。それが「前さばき」です。
皆さん、ここまできてイメージできますか?「前さばき」とは一体何なのでしょうか。
それは、「予測」をしておくことです。
今日起こりうるトラブルや自分が叱ってしまうことなどを「予測メモ」に書き込んでおく。すると、余裕を持って対応することができようになり、「後さばき」にエネルギーを注ぐ必要がなくなります。
叱ってしまう時は、教師の余裕があまり無いことが多いです。予期せぬアクシデントを想定しておくことで、「叱る」という行為を減らすことができると思います。
もっというと、一番の理想は、叱ることも褒めることすらも必要のない学級の運営だと思うんですよね。
すごい極端な話をされているかもしれませんが、子どもたちが自分たちで動く学級であれば、褒めなくても叱らなくてもどんどん行動していけるという意味です。
そんな学級では、教師から叱られることもなく、教師側の「圧」(コントロールしようとする圧)を感じることなく、子どもたちはのびのびと学習活動や特別活動に取り組むことができるかもしれません。
悪い意味での上下関係もなく、大人も子どもの横で一緒に学んでいくような学級が生まれ、「教室マルトリートメント」の状態ではなくなる可能性が高くなると思います。
「教室安全基地」をつくる!!
本のタイトルにもあります。川上先生が一番伝えたかったことは、教室が子どもたちの「安全基地」になることです。
その教室を経営しているのは誰ですか?私たち大人(教師)です。
ボウルビィの唱えた「アタッチメント」のように、教師が子どもたちの安全基地にならないといけないのです。
この本について、まだまだ細かく書きたいところですが、ぜひ手に取っていただき、読んでみてください。この「教室マルトリートメント」という考え方がいろんな先生に広まっていってほしいと思います。