2023年の振り返り
正月もとっくに過ぎて世間は平常運転になっているが、昨年は環境の変化が激しく私にとって節目の年になったので自分の身に起きたいくつかのトピックスをまとめておこうと思う。
① 軽井沢勤務となった
自分の人生に於いて、国内有数の避暑地である軽井沢に縁のある生活を送ることがやってくるとは夢にも思わなかった。勤務期間は半年間だったが良い経験をさせてもらった。
軽井沢書店勤務の内示があったのは昨年の3月中旬で、当時の上長から電話で話を聞いてすぐに軽井沢に行ってきた。たまたま大宮のコワーキングスペースで仕事をしていたので、大宮駅から北陸新幹線に飛び乗り軽井沢に向かったのだ。
軽井沢というとどこか遠くの地方というイメージがあったが、新幹線だと大宮から1時間かからず到着する。案外近い。駅から歩いて10分ほどで店に着くが、あいにくその日は水曜日で軽井沢書店本店は定休日だった。私は定休日のある書店が存在することを失念していた。軽井沢書店の初代店長は、枚方T-SITEを一緒に立ち上げたメンバーで後輩のSくんだったので、数年前に軽井沢書店に陣中見舞いに行ったがその時も水曜日で休みだった。学習していないのだ。。。
そのあと電車でひと駅移動して中軽井沢店を見てきた。そのころにはあたりが暗くなってきていたので、店から発する明かりがやけに目立ち、その分だけ周囲の静けさが際立っていたように思える。
正直この軽井沢書店勤務はまったくの想定外だった。次の異動先は渋谷の本部かほかの支店、もしくは蔦屋書店勤務だと思っていたからだ。
新上長とやり取りを重ね、4月から軽井沢書店本店と昨年3月にオープンしたばかりの中軽井沢店の2店舗兼任となった。2店舗間は車で10分程度の距離で、本店はいわゆる街の本屋さん、中軽井沢店はセレクトされた店舗というように棲み分けをすることで成り立っていた。
軽井沢書店は今まで働いてきたどの店舗とも様相が違っていた。中軽井沢店は都心の蔦屋書店の利用者を想定されていて、代官山や中目黒などを知った方たちがメインターゲットだった。別荘を持っている方や東京と軽井沢近辺の二拠点、または都心から移住されてきた方がお客様と想定されたお店だ。
それに対し、5年前にオープンした本店は数年前に閉店してしまった書店の跡地に書店を復活させた経緯があり、街の本屋として町民から期待されているお店で、あくまでターゲットは地元の方。しかしこの『地元の方』という表現が曲者で、年に数か月間だけ軽井沢に住むいわゆる別荘族の方と、年間通じて軽井沢に住んでいる方とではアプローチする本の種類が異なるのだ。前者には娯楽性の強いもの、後者には日常的に必要なもの、というおおまかな選書の基準を設けていた。
本店ではとにかく地元の方に本を手に取ってもらうための工夫を凝らした。軽井沢は夜が早く娯楽が少ないので、別荘に来られた方向けにコミック売り場を拡大してまとめ買いを促進したり、夏の文庫のオリジナルフェアを中軽井沢図書館の方にも選書を協力してもらいながら実施した。このオリジナルの文庫フェアはとても好評だった。
軽井沢は避暑地なので夏のシーズンには観光客が大勢訪れる。では観光地である軽井沢の方たちはどこに行くのか。きっと海外だろうと想像して旅行の棚の海外に向けた本を充実させた。ガイド本よりも旅に行きたくなる本を中心に。
また、本店には文学に詳しいスタッフさんが居て、もともと軽井沢に縁のある作家さんの著作が集められていた。軽井沢にまつわる本は全国一揃っていたのではないかと思う。在住の作家さんはひょこっとお店に来られることもあり、やはり身近に感じる作家さんは応援したくなるものだ。
『軽井沢らしさ』という言葉に縛られて窮屈だと思う場面は時々あったが、軽井沢で知り合った方たちは皆一様に楽しそうに仕事をしていた。自分らしい生き方について改めて考えさせられたことは大きかった。
退職と同時に軽井沢から離れてしまったので結局半年間しかいなかったが、いただいたご縁はなんらかの形で続けていきたいと考えている。
続く
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