一日に「話がある」と二度言われた
今日は久しぶりにお昼の仕事でオフィスに出社。
昼の会社はこのご時世の中、幸いにもテレワークが進んでおり、オフィスは普段の十分の一ぐらい。私も誰も来ないだろうと読んで、広い会議室を貸切状態で一人で快適に仕事をしていました。
そこに、打ち合わせのため派遣社員の女性がやってきました。
私は基本、一人でお仕事をしているのですが、最近の激務に対応するため何とかサポート要員を育てようと、この二ヶ月ぐらい、あれこれと派遣の女性に仕事のスキル、特に技術的なスキルをお伝えしていたのです。
今日もいくつか教えて、レクチャー完了。彼女も素質があるのか慣れるのが早く、これは良い感じに育ってきた。
そう思い始めた矢先、打ち合わせの終わりに派遣の女性が私に突然、
「実はお話をしたいことがありまして・・・」と言うのだ。
派遣の女性から畏まって言われたことがないので、これは何かある。
私がパワハラやセクハラでもしたのか?、それともこの仕事はもうやってられないと言うのか、はたまた愛の告白か?(絶対違う)
短時間の間にいくつかの考えが脳裏にかすめ、それが通り抜けた頃に思わぬひとことが私に飛んできた。
派遣女子「今月で派遣が終わっちゃうんです」
たろ「えーっ!そうなん?」
なんと、今月いっぱいで契約期間が終わるのです。
これだけできるのに、なぜか継続更新をしないという話になった模様。
ちょっとこれには私も驚いてしまいました。
多忙な中、技術を教えて段々とものになってきて、さあこれから。と言うタイミングで、まさかの派遣期間が終了。
基本、一人で仕事をすることが多い私を陰ながら支えてくれたのに、今月で居なくなると聞くと何だか悲しい気持ちになったのだ。
ブラックな業務を押し付けられている私の状況にも関わらず、派遣女子の労働環境を決して私色のブラックには染めず、定時できっちりあがって貰う。顔の色から仕事っぷりまでホワイトな上司なのだが、さすがにこの話を聞かされると顔も気持ちもブルーになってしまった。
この派遣女子さんは業務もきちんとこなし、私の無茶ぶりにも愛想よく笑ってくれつつも上手くいなして、業務もこなしてくれたので、感謝の気持ちでいっぱい。
またどこかで、きちんとお礼をしなきゃなって考えています。
そしてこのショックを引きずりながら仕事をしていると夕方、部長から電話が鳴った。
「今、時間あるか?ちょっと話があるのでテレビ会議をしよう」
と言う。
部長クラスの人に「話がある」って言われたら、何かあるものだ。
でも、私の場合は「また説教なのか?また仕事の雨を降らすのか?」としか思えなくなった最近の自分が悲しかったりする。
今日はどんなことを言ってくるんだろうか?とあれこれ考えていると、珍しくテレビ会議の顔をオンにした部長が
「ちょっと伝えたいことがあるので言うね」
と真面目な顔をして言うのだ。
9月の初旬。時期も時期である。
たろ「え?もしかして?異動?」
思わず質問を口にしてしまった。
実は、この質問をしたのには理由がある。
なぜならここ最近、大阪の仕事しかしていないのだ。
部長「その話をするなら、もっと上の人も連れてくる」
たろ「そうでしたか」
という事で、まだ二拠点生活は続行となった。
たろ「では、何でしょうか?」
部長「実は派遣女子さんが今月で契約が終わるんだ」
私は先程のやり取りを思い出してしまった。そして、自分の思いが溢れ出て、部長に対して口にしてしまう。
たろ「部長、それ、先に言うやつですよ・・・」
言ってしまった。これはまずい。
部長の顔色は大丈夫か?と思っていると、部長がいつもの冷静さがなくなり、意外な言葉を放つ。
部長「ほんと、悪かった。一生懸命教えていたのを知っていたから、気の毒になって言えなかった」
まさかのひとことである。
いや、違う。私からすると「先に言うてよ」なのだ。
でも私も大人。ここは冷静になって、
たろ「さっきご本人から聞いて、驚いていたところです」
と切り替えした。
部長「ほんま悪かった。申し訳ないけど、今の仕事の負荷を下げる次の方策を考えて欲しい」
部長が重ねて謝ったので、それ以上は突っ込めない。
たろ「わかりました。次の方策を検討します」
と言って、真面目に答える私なのでありました。
やっぱり言わせて欲しい。
「先に言うてよ」
まあよく考えてみると、一日に二回も「話がある」と言われたのは初めてだったので、ちょっと貴重な経験だったのかなと考えたりもしたのだ。
しかも同じ話ってどないやねんという気もするが、まあこんな日もある。
また一日一日、積み重ねて進もう。