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UberEATSに200円のチップを払った話

家事に関して夫の全面協力のもと、0才児を抱えながらもゆっくりと過ごした盆の4連休が終わった。連休4日目にもなると1日3食「何を食べたいか」のメニュー選定にふたりして頭を抱えてしまう。

連休最終日の今日も食べたいものが浮かぶことがないまま刻々と時間が過ぎていった。とはいえ時刻は13時前。あまりタイミングを逃すと夕飯の時間がずれ込んでくるため、なにかは食べておきたい。

冷蔵庫はいい具合にスカスカ、外食しようにも窓から見える景色だけで気温が見て取れる炎天下。


UberEATSで頼もうか、と久しぶりにアプリを立ち上げた。

どのくらい久しぶりだったかというと、ちょうど1年ぶりになる。当時つわりで動けなかった私は とりあえず口にできそうなものを選んで週に2~3回の割合で注文していた。

中でも1番多く利用したのは自宅から徒歩で片道5分のファーストフード店。配達員が運んでくれるのを待つくらいなら歩いた方が早いのだが、酷いつわりで3か月ほど寝たきりだった私にとって、お金を出してでも玄関口まで配達してくれるUberEATSというのは私のマタニティ生活を語る上では欠かせないサービスであった。

しかも、ほんの数百円のサービス料で、である。

初めて使ったとき、個人的には配送料の安さに驚いたことを今でも鮮明に覚えている。ふたりぶんの食事で2,000円だとすると、サービス料と配送料を足しても2,400円ほどで玄関口まで配達してくれる。

薄化粧をして外着に着替えて暑い中を歩けば徒歩5分、すっぴんルームウェアでエアコンがきいた涼しい部屋で待つだけなら400円。高いとみるか安いとみるかは各家庭の金銭感覚によると思うが、わが家の場合は格安だと思った。

1年ぶりに開いたUberEATSのアプリ。いつのまにアップデートしたのか、「チップ」(おひねり)の項目ができている。

「距離にもよるが暑い中・寒い中を安賃金で自転車で走らされて大変そうだ」と夫と話していたところ、UberEATSとしては賃上げを客の善意に頼るという、日本企業では考えにくい方法をとってきた。

「とはいえ、配達員登録に面接があるわけでもマナー講座があるわけでもないから、やはり配達員に支払うことができるのはその程度になるのでは」なんていう議論をTwitterで見かけたこともある。


この暑い中 配達してくれるのはどんな人だろう。1軒の配達で100円~200円だとしたらコンビニで時給900円でバイトしたほうが割が良くないだろうかと夫と話しながらインターホンが鳴るのを待った。(ちなみにコンビニは商品の陳列・管理、会計、ホットミールの調理・廃棄、納税の手続きに至るまで、マルチタスクがこなせる手際のいい人でないと厳しいそうだ)


「お店を出発しました」と通知が鳴る。UberEATSのアプリを見ると、今日の配達員はバイクで向かってくださっていた。自転車でも構わないのだが、バイクだと到着が段違いに早いので、内心すこしテンションがあがる。


通知からまもなくしてインターホンが鳴り、夫が配達員から商品を受け取った。玄関でなにか少し会話を交わしたのが聞こえてくる。

なにを話したのか聞いてみると、「暑いですね、体調にお気をつけて」といったことを話したらしい。バイクで向かってくださったとはいえ酷暑の中、汗だくで頭と首に冷感タオルを巻いていたそうだ。

この暑い中バイクで走って1軒150円(配達先?や配達件数にも左右されるそうなので一概には言えない)。それでもインターホン越しに「UberEATSです!」と元気に挨拶をされた。夫の印象だと30代半ばの男性だったそうだ。


エアコンのきいた部屋でアツアツのファストフードを頬張る。不思議と夫と同じタイミングでふたり同時に口を開いた。

「時給にするといくらくらいだろうって考えてみたんだけどね」と夫。「奇遇だね、私も今まったく同じことを考えてたよ」と私。

ふたりとも “この暑い中、あれじゃ安いよなぁ” と、味よりもその思いのほうが勝っていた。夫に至っては汗だくの姿を見ているのでなおさらだろう。


UberEATSを使ったことがある人なら分かると思うが、受け取り後に配達員と配達元の店舗それぞれの評価を入力する。(ちなみに受け取る側も配達員により評価されているそうなので できるだけ思いやりの気持ちを持って受け取る方が良いと思われる)

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アプリの誘導に沿って評価を入力しようとすると「サービスが良ければチップを!」となんともアメリカンな表記が。

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夫に「チップ、だって。押すよ?」と言うと「いいんじゃない」とひとつ返事。「体調に気を付けて」と気遣った夫は素敵だが、お金に現れる気持ちがあってもいいのではないかと思ってしまった。

100円、200円、300円、と金額に少し悩んで200円を押した。300円を押してもよかったのだが、そうするとサイドメニューもう1個注文できる、と謎の食い意地が先立って200円にした。

わが家が200円を追加したことは配達員の男性に通知されるのだろうか。
どちらでもいいのだが、通知を見たときに「暑い中がんばって良かった」と思ってくださったのなら私も少しだけ嬉しい。

…もしかすると、最近ではUberEATSではチップを押すべき!といった暗黙のマナーまであったりするのか?それから印象のいい配達員はチップで荒稼ぎしていたりもするのか?と考えれば考えるほど想像は広がるが、海外旅行先以外でチップを用意したことが本当に久しぶりだったという話。


さて、盆も終わり、明日からは育児も家事も、ライター業も通常営業。
カメラ片手に、がんばりたい。

2020/08/16 こさいたろ

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