氷河期世代の成功者は同世代の窮状に冷たい 〜謙虚の暴走〜
就職氷河期世代の成功者は
同世代で大量に発生した苦しい立場の人達に冷淡だとよく言われます。
ここで言う成功者とは起業家だけではなく、エリートサラリーマン等も含みます。
実体験としてこれまで出会った方々で思い当たる例は複数あります。
X(Twitter)でフォローしてる方で
ほとんどのことを賛同できるからフォローしてるわけだけど、
たまにこの冷淡な態度が垣間見えて引いてしまう時があります。
「氷河期とか言うけど、40年以上生きてるんだからなんとかできただろ」
「圧倒的努力とリスクを取る姿勢があったから成功があるんだよ」
「給料が安い?転職しないお前が悪いんだよ」
等です。
例えば自分の弟がくすぶってたりして説教する発言としてならアリだと思います。
しかし経営者や政治のミスで世代全体で大量発生してる以上、
すでに起こってしまった社会問題なわけです。
窮状はもちろん、少子化、将来の社会保障の不安、社会構造のいびつさ・・・
上記のような説教じみたことを多数の他人に言ってもあまり意味もないことだと思います。
氷河期世代の成功者は冷たかったりサイコパスなのか?
そういう風に結論づけるのは簡単だと思います。
でも実体験や観察から言うとそう結論づけるのはとても引っかかります。
むしろ温かいよとまでは思いませんが、普通の人だと思います。
これからお話することはなぜそうなのかの一つの考察に過ぎません。
他にも要因は色々あると思います。
ただ、私の考えもひとつの角度になると思いますのであえて記事として上げた次第です。
謙虚の副作用 〜正しいからこそ暴走する〜
なんでだろうなと考えていくと90年代や00年代あたりによく言われてた価値観と自分の中でリンクしました。
「勉強していたり優等生だと馬鹿にされる。後ろめたい。スポーツだと胸張れるのに」
「天才じゃない、我々凡人は・・・」
「凡人は人一倍努力しないと」
今もあるけど、90年代や00年代あたりによく聞いた言葉ではないですか?
謙虚さに満ちて人として間違いのない言葉のように見えます。
ただ、これが00年代の新自由主義と魔の合体をしてしまったと思います。
「俺は天才なんかではない。
俺みたいな凡人でも成功できたのは
圧倒的な努力をしたからだ。
(又は「リスクを取ったからだ」)
正しいし謙虚で美しい価値観だと思います。
しかし、だからこそ暴走してしまう。
「つまり成功してない人は努力をしない怠け者に違いない」
「氷河期だから低収入?
そんなの怠け者の自己責任だろ」
こういう考えに簡単になってしまうわけです。
口に出したら反感食らうであろうことはわかっていても、
心の中の正しく謙虚な価値観から発生しているものだから時折抑えきれず出てしまう。
自分が世の中で恵まれてる立場であるとなんとなく気づいてはいる。
人のやりたがらないことを毎日コツコツやっているのに低収入な人はたくさんいる。
いや、むしろ実態は低収入であることがほとんどだ。
心のどこかで後ろめたい気持ちもある。
しかし、上記のように正当化すれば気持ちは楽になる。
おまけに言いますと、
氷河期世代あたりの方、大学時代にスポーツ推薦で入ってきた同級生に妙なほんのりとした圧を感じませんでしたか?
中高時代野球部にも私は感じていました。
あれは幼少期から思春期まで他人に肯定され続けた(というかチヤホヤ)からだと思うんですよね。
もちろん嫌味のない人も多いですよ。
ただ、ナチュラルなガヤ系が多い印象なんですよ。
※悪いと言ってるのではありません。
男は大人になったら押し出しの強さも大事なことだと思います。
これと比べて勉強できた人はゆる〜くずっと謎の肩身狭い思いしてきたと思います。
「俺は頭いいからな」なんて口が裂けても言えない。
「凡人で頭なんて良くないけど、努力したからね」
と自分でも思い込む。
これが先程のように新自由主義と魔の合体をしてしまう。
私は氷河期やバブル世代の少年時にあったこの謎の感じは「管理教育」がひとつの要因だろうなと思っています。
学生運動が高校にも飛び火したことで始まった管理教育ですが、これが大量の校内暴力・ヤンキーを産み、
生徒の不良化を抑えるためにさらに管理教育というマッチポンプを数十年もしていました。
管理教育的には不良化するエネルギーを昇華させるにはスポーツが一番と思うわけです。
私は77年生まれなのですが、
地元の公立中学は運動部に入らないと先生から不快な目で見られる状況でした。
ゆとり教育が始まったらヤンキーがほぼいなくなってしまったのはすごいことだなと思います。
まとめ
「謙虚」は常に肌身離さずにおくべき美徳です。
天狗になどなったら目も当てられない。
しかし、
美しい価値観だからこそ
正しいからこそ
暴走してしまう可能性があります。
肌身離さず、しかし暴走させないことが大事だと思います。