雪の降る日の来店客
深夜のコンビニエンスストア。外では季節外れの雪が降っている。地域によっては大雪になるそうだ。
店のドアが開く。長い髪についてしまった雪を払いながら美女子が来店。彼女は買い物を済ませ、買い物かごをカウンターに置いた。ボクは商品をスキャンしながら言った。
「雪。すごいことになっちゃいましたね」
「ホントですよね。遭難するかと思いましたよ」
大丈夫。あなたを遭難などさせない。ボクがついているから。
都合よく見つかる洞穴。その中で吹雪を避け温め合う2人。
「わたし、店長のこと好きだったんだ。もうすぐ言えなくなっちゃうかもしれないから言っておくね。死ぬ気になれば何でもできるってホントだね。だって、ずっと言えなかったのにね」
「ボクもずっと好きだったよ。でも、もう言えないかもなんて言うなよ!せっかく好き同士だったって分かったんだから」
「もし、わたしが死んでも、わたしのコト忘れちゃダメ・・だから・・ね・・」
「おい!ダメだよ。眠ったらダメだよ!目をあけてくれよ!」
ボクは彼女を強く抱きしめて・・
「すみませ~ん!ホッカイロどこにある?」
店の入り口でヒゲのオッサンがボクを呼んでいる。
コンビニで遭難するのは難しい。
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