恋のかけひき
よく来店する男子高校生がレジ前でウロウロしている。
ボクにはレジ以外にもお仕事があるのだよ。
だけど、キミがレジ前をウロウロしてると、ボクはいつ会計になるの?とレジを離れられないのだよ。
不思議に思って考えてみる。
もしかすると買い物以外の用事があるのかもしれない。
店長職の経験により想定される彼の用事は下記のとおり。
1.探している商品がある。
2.アルバイトをしたい。
3.エッチな本を買うタイミングを見計らっている。
4.ボクに愛の告白をしたい
この中でもっとも困るのは4番目。残念ながら彼の愛に答えることはできないからだ。コクられる前に予防線をはっておこうと、少しそっけない態度をとってみた。
全く効果なし。
相変わらずボクの前を行ったり来たり。
自分に置き換えて考えてみる。
ボクは女子の冷たくされると、もっと好きになってしまうという困った性質。もしかしたら彼も同じタイプかもしれない。
ボクのそっけない態度に対し、かえって燃えるタイプだったらヤバイ。
「何かお探しですか?」優しく笑顔で声をかけてみる。優しく歩み寄り火のついた油に必死の消火活動。
彼は「いや別に」とだけ言ってレジから離れていった。
なぜだ?
自らの行動を思い返してみる。
冷たい態度をとったと思ったら、優しくしてみたり。
どっちつかずで男心を翻弄する小悪魔じゃね?
ボクもよく女子の本能なのか作戦なのか分からない見え透いた行動にモヤモヤさせられる。
タネも仕掛けもあるマジックに翻弄されっぱなし。翻弄されたいボク。
同じタイプだったら、ヤバイ。
そう思ったら何もできなくなりました。
小悪魔に翻弄されていたのはボクの方だったのだ。
その数分後、彼の彼女だと思われる女子高生が現れ2人で仲良く、お茶と肉まんを買っていきました。
敗北。
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