仏 ジャックルマロワ賞(GⅠ)~欧州競馬オタクが直線マイルを攻略する~

ジャックルマロワ賞@ドーヴィル競馬場

日本で最も人気のあるコースはどこだろうか。そんなアンケートが存在するのかは存じ上げないが、新潟の直線1000mは上位に食い込むだろう。同じ1000mなら、ダート1000mは小倉、函館、札幌で施行されているが、いずれもワンターン。やはり新潟は「直線」という特殊性が人気を呼んでいると思う。

ジャックルマロワ賞が行われるのはフランスはドーヴィル競馬場の「直線」1600mコース。普段海外、特に欧州の競馬に関心がない読者の皆さんは「直線マイル」に驚くだろう。ヨーロッパでは、G1を複数開催するような主要競馬場には直線マイルコースは珍しくない。直線ではなくても、アスコットのオールドマイルコースやグッドウッド等コーナー1つのマイルコースも多く、日本式のコーナー2つのマイルコースなんてものは主要競馬場ではほとんどないんだよね。
また、ヨーロッパの競馬場は自然の地形をそのまま活用しているので起伏が激しいコースが多い。しかしドーヴィルのコースは平坦で、日本馬でも走りやすいとされている。実際にバスラットレオンに向くかは分からないが、少なくとも前走のグッドウッドよりかはマシだと思う。イギリスの競馬場の設計者って絶対ドSだよな。暇なときに調べてみてほしい。

ここから本題。
ヨーロッパの芝は日本と比べて深く、パワーが必要とされている。そのため日本のマイルG1で出るような31~33秒台は殆ど出ない。その点を考慮して数字を見ていきたい。

過去5年のレース結果とタイム

2021 1:35.96
1.パレスピア 最強
2.ポエティックフレア 英2000ギニー
3.オーダーオブオーストラリア BCマイル

2020 1:38.06
1.パレスピア 最強
2.アルパインスター 仏オークス,オペラ賞2着
3.サーカスマキシマム 〇セントジェームズパレスS

2019 1:35.16
1.ローマナイズド 愛2000ギニー
2.シャーマン 仏2000ギニー 2着
3.ラインオブデューティー BCジュベナイルターフ

2018 1:34.27
1.アルファセントゥーリ 愛1000ギニー、ファルマスS
2.レコレトス 
3.ウィズユー ロートシルト賞

2017 1:38.51
1.アルヴケール
2.インズオブコート 
3.サンダースノー UAEダービー

良馬場な1分35秒前後、馬場が渋って時計がかかると途端に38秒台とG1とは思えない数字が出てくる。時計が速いと純粋なマイル近辺の実績が、逆にかかると2000m実績やスタミナ実績が問われるんだよね。2017年は距離実績から外れていそうだが、2着インズオブコートの前走はドーヴィルの重馬場でのポルトマイヨー賞を勝っている。3着のサンダースノーはUAEダービーを勝っていて、後にドバイWCを連覇する馬だからね。なので馬場状態に合わせて過去の実績に注目してみたい。
昨年まで連覇していたパレスピアは当時の欧州最強マイラーで、そもそもの地力が違う。馬場不問の活躍を求めるならパレスピアに近いレベルが欲しいが、今年はそこまでの馬は流石にいない。パレスピア級がそんなゴロゴロ出てこられても困る。
それで肝心のドーヴィルの馬場状態なんだけど、ここのところ晴天続きで水曜のマイルの条件戦で1分35秒台。しかし当日降水確率が結構高くて、正直ギリギリまで見てみないと分からない。↑発送時刻ギリギリで雨が降りそうな予報だが、時計は早め~標準で予想を組み立てる。

インスパイラルは1番人気に支持されるだけあって実績も条件も合う。休み明けでタフなアスコットのコロネーションCを圧勝したことを評価したい。後にジャンプラ賞を勝つテネブリズム、愛1000ギニー馬カシェイ、仏1000ギニー馬マングスティーヌらが揃う好メンバーを外からあっさり抜け出し5馬身近く突き放した内容は圧巻だった。前走のファルマスSではプロスぺラスヴォイッジに足元を掬われる形になったが、中2週のローテの分のデキ落ちだと思う。1か月間隔が空いた今回は良いパフォーマンスを発揮できそう。

2番人気のコロエバスは3歳マイル路線の大将格。伏兵扱いで英2000ギニーを勝利した後にセントジェームズパレスSを勝ち切るあたり力は本物。ただ後脚の故障(?)でサセックスSを回避したのが気になる。2週間で勝ち負けできるレベルに仕上げてこれるのか疑問が残る以上重い印は打てない。

英仏米豪と4か国でGⅠを勝っている超国際派のステートオブレストが面白いと思う。去年から10F路線で活躍を見せているが元々はマイル以下を使っていた馬で、欧州よりも時計の出るコースにも対応していることからマイルのスピードにも対応できると思う。父のスタースパングルドバナーは6F路線の活躍馬ということもあり血統面でも今回の短縮はプラスに出そう。

他の上位だとここまで無敗のエレヴァンは消したい。ポールドムーサック賞は4頭立てで、多頭数の上級レースを経験していないのが不安。ここを経験してムーランドロンシャン賞でなら狙ってもよさそうだが、このメンバー相手に即通用するとは考えにくい。スミヨン次第。

穴目だとオーダーオブオーストラリア。昨年の3着馬だがムラのある馬で、レース内容の良し悪しの差が激しい。悪いときは前走のサセックスSのように中身がない競馬になるが、良いときは昨年のムーランドロンシャン賞でバーイードの2着、今年のクイーンアンSで3着と世界最強マイラーを相手に食らいつける実績はあり、ブービー人気あたりの評価なら狙う価値はあると思う。ブービー人気に乗るムーアはなかなかお目にかかれない。

正直なところ本命は当初ネイティブトレイルだったんだけど、回避して英インターナショナルSに向かってしまった。あっちはあっちでバーイードとミシュリフが待ち受けてるし、マイル路線の方が適性あると思っていただけに残念。

バーイードとモダンゲームスがいなくなった代わりに欧州3歳トップ級が来てしまった今回、バスラットレオンは厳しいと思う。もちろんバスラットレオンを一番応援しているし、できることなら勝ってほしい。外れるなら1着という形で馬券を紙くずにしてほしいね。

ヨーロッパは日本と違って馬番(ゼッケン番号)とゲート番号が一致しないので馬券購入時に注意してほしい。「馬番」で買い目を書いている。

印は
◎ステートオブレスト
〇インスパイラル
▲オーダーオブオーストラリア
△コロエバス
買い目
ステートオブレストの単勝と相手3頭への馬連が本線。
オーダーオブオーストラリアとの目はワイドも抑える。
馬連4-3,6,9
ワイド3-4




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