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トラペジウム感想ネタバレあり

2024年に公開されたアニメ映画トラペジウム。
公開直後は全くと言っていいほど興味無くて、何かの時に予告見たか何かで知ってはいたけど「原作って元アイドルか」くらいだった。
そこから新時代の扉公開後にXとかyoutubeで話題になった「東ゆうがサイコパス」PV。これ見て劇場行こうと思ったけどその時点では函館とか稚内の夕方くらいしかやってなかったから諦めてBD待ってた。
その間に色んな人の感想を見たけど、良い悪い半々くらいの印象。


感想

面白かった。
アイドルを目指す話というよりかは『東ゆうがアイドルになる事を諦めきれなかった』話。
主題歌の『なんもない』が東ゆうを表しまくってるし良いよね。

大河くるみ

どの時点からかは不明、もしかしたら最初の自己紹介の時点で既に察してたかもしれない、東ゆうがアイドルになりたがってた事を知ってた人。
三人と仲良くなってからは割と毒吐いたりきつい感じの事も言ったりするけど、それはコミュニケーションの一種で、自分の内面をさらけ出せる相手と思ってるから。ボランティアに参加した時も「無理やり誘われた」「裏切者(一緒の班になれなかったからのセリフだと思う)」というような事を言い、蘭子からも文句が多かったみたいな事を言われてたけど、それはそれとして友達と一緒に何かする事は楽しいと感じてたり、さっちゃんを学校祭に誘ったり、美嘉ちゃんの彼氏バレに対しての事務所の行いに憤ったり彼女が笑ってない事を指摘したりとコミュ強な部分や優しい部分がしっかりある。

面白いのが美嘉ちゃんを見かけた時に東ゆうに対して「東ちゃん見てみて、あの子可愛い」って言ってるんだけど、このセリフって普通に考えるとおかしくて、くるみが見ず知らずの他人を見てなんて言わないと思う。
これってくるみが
『東ゆうがアイドルになる為に何かを画策してて自分と蘭子に接触してる』
っていう風に感じてる部分があったって事なんじゃないのか。
終盤で東ゆうがアイドルになりたがってたのを知ってた発言があるけど、友達になった時点でそれは分かってた感じ。友達になった東ゆうの気持ちを最大限に汲んだ結果、一番最初にメンタルやられてしまったのかなとも思える。

華鳥蘭子

東ゆうから「お蝶婦人・・・」と言われて東ゆうを気に入ったお嬢様。
お嬢様だけどチャレンジ精神もあり、苦難も楽しもうとするほどの強メンタルで周囲をまとめたり和ませる役割もある(まとめるというよりかは励ます)。

基本的には楽天家で何事に対しても楽しもうというスタンスだったり、周囲の潤滑油役として間に入ったりとこちらもコミュ強で優しい。
中盤の一番の見所である
「やっぱりアイドルって楽しくないわ」
「それは東さんがアイドルを好きだからよ」
このセリフを蘭子に言わせるのが最高。
楽しくないような事も楽しもうとした蘭子が(くるみには自分も楽しくなくなってきたというニュアンスの事は言ってる)、くるみと美嘉ちゃんが楽しくないと感じていて笑う事も無くなった事を東ゆうに気付かせようとする。けどそれだけじゃ足りないっていうのがこの蘭子のセリフのシーンの良い所。

誰かが「南と西はアイドルとしての資質がある」っていうのを言っていて、なるほどなと思った。

亀井美嘉

序盤の出会いの後、ボランティアの山登りをするシーンから結構ヤンデレ感がすごかった。東ゆうのわがままにもすぐに反応して馬場さんにどうにかできないか確認したり、昼食時に楽しめてない東ゆうに謝ったり、くるみと蘭子を連れてきて昼食を取ったりと、東ゆうに関連する事に対して反応がすごいなってなった。
特にちょっと怖いなってなったのはテレビの撮影の際に東ゆうが「私達ボランティア仲間なんです」って言った事に対して静かに怒る所。ここだけ見るとそんなに怒らんでもってなるし、東ゆうや蘭子がちょっと困惑するのも分かる。けど終盤まで見ると美嘉ちゃんが東ゆうに対してどういう感情を抱いていたかが分かって、序盤のブチギレシーンもなるほどなってなる。

分かりにくい描かれ方はしてるけど人との繋がりを一番大事にしてるのは美嘉ちゃんだなって思える。

東ゆう

PVや見た人の感想でサイコパスや自己中というものを見てて、実際にレビュー動画やPVを見て興味を持った主人公の東ゆう。
ただ簡単にサイコパスや自己中というのは東ゆうというキャラクターの解像度が低いような気はする。そう言いたくなるのも分かるけど。

このシーンだけ切り取って見ると「東ゆうというなんかアイドルを妄信するやばい奴」に見えるけど、本編見ていくと全くそんな事は無い。それどころかおそらく一番メンタルやられてるまである。
SNS確認のシーンも三人に対して「すごいな」っていうのに対して、自分の閲覧数やコメント数を見てがっかりして机に向かっていく所や、ファンレター貰って嬉しいはずなのに三人と比較してしまって全然駄目みたくなってたり。表面上は三人を引っ張っているリーダーのような立ち位置にいるのに、実際は三人がアイドルで自分は添え物という状況に追い詰められてるように感じられる。
元々アイドルになる為にできる事に対してはストイックに取り組んで、努力の面では自分のわがままでアイドル活動に巻き込んでしまった三人以上にしなければならない、自分に対してや上手くいかない事に対しての苛立ちが積み重なって三人との意識の差を痛感せざるを得なかったから、蘭子に対しても「苦手なら練習しろ」と言ってしまってるんじゃないか。
自己中心的ではあるけど、自分が嫌な奴と自覚もしてるし、三人を巻き込んでしまった事への罪悪感も所々見え隠れしていて人間らしさがある。
序盤の山登りのシーンでも苛立ってたり無理やり参加させた自分に三人が怒ってるって感じてるけど、そういう風に感じてる時点で正常なんだよね。

アイドルって素敵な職業のシーンで一番好きなのは

発狂してたくるみと話をしようとしたら、蘭子から正論で自身を否定された直後に美嘉からも自身を否定されて、初めて自分自身が狂っている事に気付いた

ここまでの行動自体、東ゆう自身が否定的でそれでもこれに賭けるしかないってなってて「この三人となら」アイドルになれるって縋ってる。だから自分がもう壊れてる事にも気付いてないし、三人も自分と同じ気持ちで活動してると思い込もうとしてしまってるんじゃないかってなる。

お母さんに「私って嫌な奴だよね」って聞くの本当にどんな気持ちなんだろうってなるし、その後の「そういうところもそうじゃないところもある」って返したお母さんが全部含めて『東ゆう』っていうのを言ってくれるのがすごく良い。(ゆうのお母さんが好み過ぎる)

さっちゃん、伊丹さん、古賀ちゃん、この三人との関わりも東ゆうにとって大きい。自分がアイドルになった事で誰かを笑顔にできたと実感できたのがこの三人だったんじゃないかなと。終盤の「諦められないんだ」って言うんだろうなと。

このOPに東ゆうの全てが詰まってる。

工藤真司

最初こそ下心で東ゆうに接近したけど、東ゆうの夢を叶える為に協力するの本当に良い奴過ぎる。真司目線では東ゆうはしっかり輝いて見えてるんだよな、だから協力したんだろうな。
個人的にはアイドル引退した辺りでこの二人結婚してくれってなる。

最後に

最高に面白かった、劇場で見てたらまた印象は違ったんだろうけど、BDで見て正解だったかもしれん。
あと東ゆうのお母さんが最高に好き過ぎる。

自分も『東ゆう』に脳を焼かれているのだろうか。

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