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てっちゃんへ

僕のランドセルがピカピカのまっ黒くて、でっかくて、妹たちが触ると怒ってた頃。

一番の友達は、てっちゃんでしたね。集会所の横にお家があって。

てっちゃんは、ジャングルジムに登るのが誰よりも早くって、砂場で泳ぐのが僕より上手で、芋ほりでは土がついたままのお芋をたべちゃって。雨のどろんこに入ってもへっちゃらで。

すごく、輝いていて、僕が嬉しい時、僕よりうれしそうで、悲しい時、僕の方がないちゃって。

すっごく背の小さなてっちゃんのお母さんは、いっつもありがとうって、言っていたね。

ヨダレは妹くらいこぼれてたけど、泣き出したら、どんなお菓子でもなげちゃって。

一緒の学校なのに、僕は2階でてっちゃんは1階の隅っこの教室で。

一緒に帰りたいのにいつも先にお迎えが来てしまってて。

お家の前の公園じゃないとあそんじゃだめだったよね。お母さんがそういってた。

てっちゃん、障害者って、なんなん?ぼくは障害者じゃないの?てっちゃんは障害者なの?

あれから40年、ぼくはまだわかりません。

てっちゃんとあそんでると、みんなが居なくなる理由。

ぼくは今、やっぱりてっちゃんと一緒に遊びたい。

世の中の負けとか勝ちとか、やっぱり嫌だ。

勝ってるやつらなんて、負けてるんだ。ほんとは。

見ててね。てっちゃん。今日は、おんなじ気持ちでいてくれる人に出会ったよ。

見ててね。

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