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NVIDIA 最高益決算 でも成長率鈍化? 今後の展望は? CEOインタビュー

NVIDIA 2024年第 2 四半期決算の要点

(2024年8月29日、1ドル144円換算)

  • 売上と成長率:

    • 四半期売上は過去最高の約4兆3,200億円(300億ドル)。

    • 前年同期比122%増、第1四半期比15%増。

    • データセンター収益は約3兆7,872億円(263億ドル)で、前年同期比154%増。

  • 株主還元:

    • 2025年度上半期に約2兆2,176億円(154億ドル)を自社株買いと配当で還元。

    • 追加で7兆2,000億円(500億ドル)の自社株買いを承認。
      ※期限定めず

  • カテゴリー別売上:

    • データセンター: 約3兆7,872億円(263億ドル)。

    • ゲーム&AI PC: 約4,176億円(29億ドル)。

    • 自動車&ロボット: 約498億円(3億4600万ドル)。

NVIDIA第2四半期決算


決算から見えてくるもの

・データセンター向けのチップが好調。
・利益率が3.3%低下。利益幅拡大には新チップが必要。
・押し目では自社株買い(約7兆円)が入ることが予想される。


NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、次のように述べています。「コンピューティングの新時代が始まっています。世界中の企業が汎用コンピューティングからアクセラレーテッド コンピューティングや生成 AI への移行を進めています」

「NVIDIAの Mellanox ネットワークおよびスイッチ テクノロジに接続された、NVIDIA GPU が、NVIDIA CUDA AI ソフトウェア スタックを実行し、生成 AI のコンピューティング インフラストラクチャを構成します」

「第 2 四半期に、複数の大手クラウド サービス プロバイダーによって、大規模な NVIDIA H100 AI インフラストラクチャが発表されました。また、主要なエンタープライズ向け IT システムおよびソフトウェア プロバイダーによって、NVIDIA AI をあらゆる産業に提供するためのパートナーシップが発表されました。生成 AI の導入を巡る競争が始まっています」


先にAI市場を制した企業がその後の寡占的地位を獲得することから、以下の企業間で新しいAIチップ「Blackwell」の獲得競争が起きています。
上位10社のみピックアップ

  1. Microsoft - 2024年までに180万台のGPUを購入予定。

  2. Meta (旧Facebook) - 2023年に約35万台のH100 GPUを購入。

  3. Google - 約5万台のH100 GPUを購入。

  4. Amazon Web Services (AWS) - 約5万台のH100 GPUを購入し、クラウドサービスでのAI機能向上を目指す。

  5. Oracle - クラウドサービスでNVIDIAのGPUを採用。

  6. Tesla - 2023年に約1.5万台のAIチップを購入、さらに8.5万台に増加予定。

  7. Alibaba - 中国のクラウドサービスプロバイダーとしてNVIDIAのGPUを利用。

  8. Tencent - NVIDIAのAIチップを活用。

  9. Baidu - AI研究とクラウドサービスにおいてNVIDIAのGPUを使用。

  10. ByteDance (TikTokの親会社) - AI技術にNVIDIAのGPUを採用。

新しいAIチップ「Blackwell」は2024年(10月から12月中)に発売予定。

【インタビュー要約】

ブラックウェルの生産と需要について

市場がブラックウェルについてもっと具体的な情報を求めていたことに触れていますが、フアン氏は、ブラックウェルの生産において設計上の問題ではなく、生産上の課題があったことを強調しています。現在、世界中でブラックウェルのサンプリングを行い、量産を開始しており、2024年第4四半期に数十億ドル規模の売上が見込まれ、その後も増加していく予定です。需要が供給を上回っている状況で、来年も良好な業績が予想されています。

アクセラレーターコンピューティングの需要

ハイパースケーラー(大規模クラウドサービス提供者)がNVIDIAのデータセンタービジネスの約45%を占めており、残りの55%はインターネットサービスプロバイダー、政府機関、企業などが占めています。アクセラレーターコンピューティングは生成AIだけでなく、データベース処理、前処理や後処理、トランスコーディング、科学シミュレーション、コンピュータグラフィックスなど多岐にわたる用途で利用されています。

ソブリンAIとエネルギー効率

ソブリンAIとは、各国がデータセンターを構築し、デジタル知識を国家資源として活用しようとする取り組みです。例えば、日本政府はインターネット企業や通信企業に対して補助金を提供し、AIインフラを構築しています。エネルギー効率に関しては、ブラックウェルは前世代のホッパーに比べて性能が大幅に向上しており、同じ電力でより高いパフォーマンスを発揮するか、同じパフォーマンスで消費電力を抑えることができます。また、液冷システムの採用によりエネルギー効率も向上しています。

生成AIの需要と供給のダイナミクス

ブラックウェルの供給が改善していることは、NVIDIAの成長が続いていることからも明らかです。フアン氏は、2024年第3四半期には第2四半期よりも供給が増加し、来年にはさらに供給が増加する見込みだと述べています。生成AI市場は、インターネットサービス企業にとどまらず、スタートアップ企業や企業、さらには各国政府にまで拡大しており、需要が急速に増加していることが強調されました。

NVIDIA GPUクラウドとクラウドプロバイダーとしての立場

最後に、NVIDIAがクラウドコンピュートプロバイダーになる計画があるかという質問に対して、フアン氏は「No」と明確に答えました。NVIDIA GPUクラウドは、各クラウドサービスプロバイダー(GCP、Azure、AWS、OCI)の中に組み込まれており、それぞれのクラウド内で最適なNVIDIAの環境を提供することに焦点を当てています。また、NVIDIA自身も大規模にこのクラウドを利用しており、自社製品の設計やAIモデルの開発に活用していることが述べられました。

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