【創作SS】新説なピン札 #毎週ショートショートnote
郷土の誇り「野口英世先生」の千円札が発行された日、同僚の渡辺が朝一から新札を見せびらかしてきた。
(コイツ、仕事もしないで何やってんだ)
と、イラッとした俺は嫌味を言ってしまった。
「千円札では有難みが薄いよな。万札とはいかなくても、五千円札ならなぁ。世界のNOGUCHIだぜ」
渡辺は、見下すような視線を向けてきた。
「まって まって まって まってなんだもん、太郎さん。世の中に一番流通するお札は千円札だぜ。しかも、子どもたちに一番身近なお札になる。
ということは、野口先生が子どもたちに一番身近な偉人になるんだよ。憧れになるんだよ。
俺は野口先生の千円札を心から誇りに思うよ」
渡辺は胸を張った。
(いや、お前は何もしてないよな)
「今の話、財務省のウェブからの受け売りかなんかか」
「いや、俺のオリジナル。このお札は、新説なピン札だな」
「聞いた俺が馬鹿だったよ」
と言ったものの、その後、使わせてもらうネタになった。
(本文ここまで)
#毎週ショートショートnote
お題【新説なピン札】に参加です。
サムネ画像は、野口英世先生の生まれ故郷、猪苗代町を南側から撮影した写真です。
野口先生のネタを、今は伝えにくいのが残念です。
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