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【創作大賞】頑強戦隊 メガネレンジャー(第10話)
10 ノアプロジェクト
司令官の前に制服を着た4人の青年男女が整列し、リーダーが声を上げる。
「メガネレンジャー参集しました」
レッドの声を受け4人がカツンと踵を揃え司令官に敬礼した。
「ありがとう。皆の奮闘で魔怪人たちの野望は潰えた」
司令官の優しい笑みから温かい空気が流れてきた。しかし次の瞬間に表情が、ガッと険しく変わる。
「新たな敵の作戦を捕捉した。『ノアプロジェクト』だ。絶滅危惧種を含めたあらゆる動物を福島県の原野に放ち、種の保存と新たな進化を狙うらしい。しかも市民受けを狙い、遊具を揃え家族で楽しい時間を過ごせる空間を目指すとのことだ。原子力発電所事故以来、観光客・交流人口が減っている福島県にとっては復興の起爆剤となるかもしれない。
何としても阻止せよ、メガネレンジャー!」
4人の周囲に醒めた空気が流れる。それぞれが顔を見合わせた後にイエローがゆっくりと、だがしっかりと意見を述べる。
「それって、阻止する意味なくないですかー。動物を保護して暮らしやすいように環境を整えて、一般公開するんですよねー。みんな喜ぶんじゃないですかぁ」
司令官の顔がみるみる紅潮する。
「いいからお前らは命令された仕事をしろ。悪の企みを阻止すれば良いんだ。作戦を練るのは俺たち幹部の仕事だ」
顔を顰めたブラックがイエローを庇うように一歩前に出る。
「大本営発表とか、大量破壊兵器をせん滅するような話ですか。キューティも愛想をつかす訳だな、ヤレヤレだ。命令とあれば聞きますがね」
4人は踵を返すとダラダラと歩き始めた。
(第10話 おわり)
https://note.com/tarofukushima/n/n82e03cac60ba
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