【創作】猫の手も奏でたい #シロクマ文芸部
北風とのセッションはかなり楽しい。
ピープーだったり、激しく哭き叫ぶように吹いたりと音がクルクルと変わるから、かなり集中しないといけないんだけど、それがまたワクワクするんだ。
僕の下僕は「売れないミュージシャン」と言われてるらしいけど、ちゃんと僕のご飯とオヤツを毎日準備できるくらいの甲斐性はあるらしい。
ただ時々
「ここはアニマートか、それともアパッシオナートがいいか」
とか、独りでブツブツ言いながら悩んでいる。
僕は
「音楽を理屈で考えるんじゃない、楽しめよ」
と伝えるんだけど、下僕はニャア語を理解できないみたいなんだ。だから
「考えるんじゃない、感じろ」
と伝えるために、北風をはじめとした自然とセッションして聴かせてあげるんだ。
下僕の稼ぎは、僕のご飯の質に影響するから教えることはやぶさかではない感じだね。
「ハーモニーは楽器とだけじゃなくて、風や水、月や星、大地や命とともにあるんだ。だから、理屈じゃなくて感じるままに表現しなよ」
想いを込めて鍵盤に前足を載せる。北風とセッションし、夜の静けさ星の煌きを爪の出し入れで音に乗せていく。下僕の息づかいも優しい音に変えてみる。
世界には音が溢れている。楽しいなぁ、演奏することも、みんなといられることも、生きることも楽しいなぁ。
下僕も演奏に加わる?
そぅ、譜面なんか置いてさ、一緒に楽しもう。
今ここにある調和を、演奏できる平和を、共に生きる喜びの音、楽しい想いを世界に響かせよう。
(おしまい)
シロクマ文芸部に参加です。お題は「北風と」でした。
#地には平和を人には愛を
#猫にはチュールを
そして
#何を書いても最後は宣伝
サムネ画像は「三毛猫かずら」さんのイラストをお借りしました。実はこちらの本では違うイラストを1枚使わせていただいています。イラストだけでもご覧いただきたいです。
三毛猫かずらさん、良いセッションをありがとうございます。