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春の入り口の話。
3月末。
桜の開花予想が軒並み外れるほど、ここ最近冷え込んでいる。
通勤のときにちょっとしたお花見ができるのはいつになることやらと、気を揉んでいる。
春。心がそわそわする時期。
自分だけ冬の出口から出られずに、春の入り口に立ててもその一歩が踏み出せずに、ひとりぼっちのような気がしてしまう時期。
学生時代も、すぐに春を楽しめている周りのみんなが眩しかった。
学年が上がるならまだしも、新しいステージになったとき、やっぱり環境の変化に弱いなぁと心の底から思っていた。
社会人になった今、職業柄学生時代ほど年度末や年度初めを感じることは少なくなったものの、人事異動が発表されることで、なんとなく、胸の辺りがざわついている。
自分は自分の道を。
そう言い聞かせては、ふとした瞬間に揺らいでしまうときもある。
自分はどう生きたいのか。何をしたいのか。
何を大切にしているのか。譲れないものは。
頭の中では常にもう一人の自分が喋っていて、過去の記憶を掘り返していて、しばらく静かにしてほしいと思うときもある。
20代後半ともなれば、もっとかっこよく、キラキラしているものだと思っていた。
学生時代の自分に、十数年経ったらこんな風に過ごしてるよ、と伝えてやりたい。
それを知った学生時代の自分は、何かを変えようと行動していただろうか。
今となっては答えのない問い。
今からでも遅くない。
過去にも、未来にも胸を張れるよう、今を生きていきたい。