2017年に注目されたスペインのスタートアップ
スペインのスタートアップについて興味・関心があるため、日々、動向をチェックしている。2017年も年の瀬、2017年に国内で注目を集めたスタートアップのまとめを読んだため、訳してみた。(意訳部分もあるが)
参考元のサイトではランキング形式となっているが、順位付けの意図がよく分からなかったため、ここではスタートアップ9社をランキングにせずに紹介しようと思う。
スペインのスタートアップ界隈では2017年、どのような企業が台頭し、発展してきたのだろうか?
Glovo
配達・デリバリー系分野は2017年のスペインでは激戦だった。Deliveroo, Uber Eats, Amazon Prime Nowと、スペイン市場を争ったのがGlovoである。
このスタートアップは2500万ユーロの資金調達に成功。さらに、ラテンアメリカへの広がりを促進するために、Cabifyとの提携も発表した。
さらに、GlovoはマクドナルドやマドリードのVIPSグループ(※1)といった企業と、ビジネスの幅を広げるために合意し署名している。また数日前には、オンライン上でのスーパーマーケット設立の着手も発表した。
参考記事:La empresa de mensajería Glovo abre un supermercado ‘online’ en Barcelona
※1 VIPS、VIPSmart、Ginos、T.G.I.Fridays、スペイン・ポルトガル・アンドラのスターバックスを運営管理する企業
Fintonic
2017年に5周年を迎えたFintonicは、スペインで古参のフィンテック・スタートアップのひとつ。アプリの開発だけでなく財政的にも大きく刷新している。
資金調達計画によると、その日までの今年最大規模、2500万ユーロの資金調達に署名した。
金融商品市場でデビューしたスタートアップは。保険・ローンのアプリケーションを提供している。Fintonicユーザーが、銀行との交渉時に良い条件で同意し、信用を獲得しやすくなるようにと、今後が期待されている。
Wegow
Wegow は今年、大きな驚きを与えたスタートアップであるのは間違いない。ビルバオのスタートアップは、短期間にスペインの音楽シーンで革命を起こし、ほとんどの知らない人がいないくらいである。
11月には、5gig(スペインではNvivoと知られている)を買収し、18の国に活動を拡大。スペインだけでなくヨーロッパの舞台で、音楽という分野で最も興味深い主役の一人であるのだ。
数週間前にはPremios Cepyme 2017 という、1年間のスタートアップ企業を選定するイベントで、Proyecto emprendedor del año (年間起業家プロジェクト)のカテゴリで受賞した。
Wegowは、スペインの音楽ライブに革命を起こしたプラットフォームである。2013年7月に設立され、現在で108万人のユーザーがいる。対応国はアルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、チリ、コロンビア、スペイン、アメリカ、フランス、アイルランド、イタリア、メキシコ、オランダ、ポルトガル、イギリス、スウェーデン、スイス。
Spotahome
Spotahomeは、おそらくスペイン国内からの世界展開でいうと、もっとも傑出しているProptech(※2)のスタートアップである。
Spotahomeでは、大規模・中規模住宅の賃貸の観光客向けのアパートメントを掲載。現在では、競争相手がほとんど見られないニッチな市場で独占状態である。
2016年に行われたSouth Summitで最優秀スタートアップ賞を受賞したあとに、2017年の1年間は、スタートアップとして新しい展開も迎えた。まず、イタリアといった国外への進出し、新しい市場拡大への第一歩を踏み出した。国際化へ大きな1 年となったのである。
また、昨年10月に1,610万ユーロを締結したことで、大型の投資家に周知されるスタートアップとなった。
余談だが、今借りている部屋はSpotahomeを使って借りた。部屋の下見ができないなどデメリットもあるが、おおむね満足している。
※2 Proptechとは、PropTechは2014年にイギリスで始まり、「プロパティ」と「テクノロジー」という英語頭字語。つまり、プロパティに適用されるテクノロジー。
PropTechが、不動産ポータル、管理ソフトウェア、バーチャルリアリティ、ホームオートメーション、最新のテクノロジーデータなど、異なる不動産事業の機能に、新しいテクノロジーを適用することで、その価値を大きくさせるもの。
例えば、不動産分野では、投資、管理、マーケティング、ファイナンス、データ分析などの技術の適用は、効率化のための巨大なステップ。不動産市場の詳細を把握し、プロジェクトの収益性を向上させる効果がある。ハイパフォーマンスビルディングと呼ばれている。
Muving
MuvingとはバイクのCar2Go(※3)のようなサービスで、モト・シェアリングのプラットフォームである。
カディスで初めて使われたあと、マドリード、グラナダ、サラゴサ、バレンシア、ムルシア、セビージャ、マラガ、バルセロナと、この1年で大きく拡大をし続けている。そのビジネスモデルと急速な成長は、OMExpoで、「今年最も革新的なスタートアップ」のタイトルを受賞した。
※3 Car2Go:ドイツ・シュトゥットガルトに拠点を置く、カーレンタルサービス。スペインにはマドリードに拠点がある(2017年12月現在)
※4 OMExpo:デジタルマーケティングとEコマースのイベント。マドリードで開催。2018年は4月25日・26日に開催
OnTruck
La Nevera Rojaで優勝したあと2016年終わりに、OnTruckの Íñigo Juantegui Co-Founder & CEOは、貨物の管理と輸送の最適化を目的とした貨物輸送用の本格的な”Uber”を再び打ち出した。
融資計画の価格の提案がこれまで以上に理にかなっているのを示し、市場わずか1 年以上で、1,000万ユーロ以上の資金調達を達成。 AtomicoやPointo Nine Capital のような、大きな株主のところにも入るようにもなった。
このスタートアップは現在、国際市場へと飛躍するための準備をしている。2018年の初頭には、要求が厳しいと言われるイギリス市場でのデビューが既に発表されている。
Waynabox
Waynaboxのテーマは「旅に驚きを」。
スペイン・スタートアップの観光部門で新たな風を吹かた。カタルーニャのスタートアップは、Startup Eurore Awards(※5)の2016年観光部門で1位を獲得し、2017年の1年を変えた。
Waynaboxは旅行を楽しむサービスだ。ユーザーは出発地と最終目的地を指定したあとは、行きたくない都市・街を選び、目的地と知らない場所までの費用だけを支払う。旅程はWaynaboxによって決められるため、運命を彼らの手に託したい人にとっては興味深いサービスだ。
※5 ベルギー・ブリュッセルに本拠地を置く、欧州委員会主催のスタートアップイベント。EU加盟国が対象
Social Point
Social Pointの2017年は成功した1年だった。2億3,200万ユーロの資金調達に成功した。
カタルーニャのスタートアップは、「Dragon City」「Monster Legends」といったビデオゲームの大きな反響から、NBA2KやGrand Theft Auto でよく知られているアメリカのテレビゲーム出版社「Take- Two」を納得させた。
Social Pointを買収するために、現金で1億7500万ドル以上の株式を7500万株を支払ったとされている。
このあと、ソーシャルネットワークで忠実なフォロワーコミュニティを作り、さらに年間9000万ユーロの売上を達成。Horacio Martos と Andrés Bou CEO/Co-Founder は、バルセロナの起業家としてスタートアップを率いる存在となっている。
Logtrust
ビッグデータを最大限に活用するスタートアップというと、投資家の間で認識されているのが、Logtrustである。1回目で1,100万ユーロを調達したあと、昨年の10月に2回目の資金調達で3,000万ユーロを獲得した。
メンテナンス作業や開発リソースを必要としない、使いやすいビッグデータ分析プラットフォームを提供。リアルタイムの分析速度と履歴データは、収集されたデータ量や消費率に関係なく、変わらないのが特徴である。
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参考元:Ranking: las mejores startups de 2017
※ 本当は10社だがLetgoについては訳をしても理解できない部分があったため除外した