未来の建設業を考える:「AI・AGI・ASI時代とは」
「AGI(Artificial General Intelligence=自ら学習し、応用処理なども行う人間に近い人工知能)時代」
ソフトバンクの孫さんは、「AIが人間の10倍の能力を持つ時代「AGI(Artificial General Intelligence=自ら学習し、応用処理なども行う人間に近い人工知能)時代」が10年以内に来る」と言う。10倍の知恵の差とは、サルと人間のニューロン(脳の神経細胞)数の差と同じそうだ。
さらに10年後、今から20年後には、AIが人間の持つ能力の1万倍になる「ASI( Artificial Super Intelligence)時代」となると語る。この差は、金魚と人間のニューロン数の差と同じ。つまり、ASIから見れば、人間が金魚並みの知識レベルに見え、AIが圧倒的に人間を超える時代を今の人間は経験する、ということだ。
今の人間のなすべきことは
それでは、今の人間のなすべきことは何か?
AIの進化は、CPUなどのハードウエアの計算能力の進化と膨大な量のデータ学習によって獲得される。
データ量、データ分析がAI成長を制するのであれば、施設としての「データセンター」は、デジタル経済を支える重要なインフラとして、重要な役割を果たすはず。
東数西算(とうすうせいさん)
中国政府は「データ」とは、土地、労働力、資本、技術と並ぶ重要な生産要素と位置付け、国家戦略として、デジタルインフラとしてのデータセンター建設「東数西算(とうすうせいさん)」を始めた。中国東部に集中していたデータセンターを西部にも展開し、今後、膨大に発生するデータ処理を全国的に行おうとするものだ。
米国調査会社のIDC社によれば、中国では2025年までに48.6ZB(1ゼタバイトは10の21乗バイト)のデータが生成され、世界全体の27.8%を占めると予想している。すでに、「東数西算」プロジェクト関連の新規投資は、約8兆円(4000億元)を超え、さらに2025年までに、累計約60兆円(3兆元)を超える投資を計画している。
低炭素化の「データセンター」と「発電所」
世界に負けないAIを獲得するためには、日本でも、今以上にもっと多くのデジタルインフラ投資を行う必要がある。
さらに、AIの進化はデータセンターだけでなく、大量の電力を確保することが求められる。
スーパーコンピューター「富岳」は1秒間に約40京回の計算が可能だ。40京回とは、日本人全員(約1億2000万人)が1秒間に1回計算したとしても、100年かかるくらい、高い能力を持つ。一方で、この処理を行うためには、膨大な電力量が必要。事実、「富岳」が計算するときに使う最大電力量は、1時間で30メガワットにもなる。4人家族が1ヵ月に使う電力量を400キロワットとすると、6年分(75ヵ月分)にもなる。
大量の電力を確保
ソフトバンク社の推定によれば、生成AIの普及も含めると2030年までに日本のデータ処理能力を賄うには、この富岳クラスが3,800システムも必要とされる。これだけ大量のシステムを動かすためには、580基もの大型火力発電所が必要と言われる。
つまり、AGI・ASI時代にとって、増強すべき最重要なデジタルインフラ施設は、低炭素化の「データセンター」と「発電所」だ。
AI進化の目的
AI進化の目的を、孫さんは、「人間を幸せにする、笑顔にすること」と答えているが、デジタルインフラを支える建設業としても大きな役割があることを自覚し、建設を通じてAI発展に寄与し、人間を幸せにしたいものだ。