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未来の建設業を考える:「Z世代に期待する」(2022年5月5日)

新入社員は、「Z世代」

 今年、4月に入社した新入社員は、「Z世代」と呼ばれるそうだ。世界的に人口が最も集中し、注目される世代だ。
 このZ世代、もともとはアメリカで名付けたもので、世代の順番で、X、Y、Z世代と区別している。
 1960年~1974年生まれが「X世代」。アメリカにおけるベビーブーム世代後の子供で,高度成長期に育った世代をさす。米ダグラス・クープランド氏による小説『ジェネレーションX』に由来し、個人主義で独立志向が強いと言われる。
 1975年~1990年代前半生まれが「Y世代」。インターネットが身近にあり、パソコンや携帯電話などのデジタル機器の普及時期と重なっており、デジタルに強い世代と言われる。日本では、残念ながら、就職氷河期だったことから「氷河期世代」、物欲から離れた「さとり世代」などとも呼ばれている。

デジタル・ネイティブ世代

 1990年代後半~2010年初頭生まれが「Z世代」。この世代は生まれたときからデジタル機器があり、幼い頃からIT技術に精通し、インターネットやSNS、YouTubeなどデジタルコンテンツをコミュニケーション手段として日常的に使う世代だ。まさに、「デジタル・ネイティブ世代」だ。
 電通の調べによれば、Z世代の人たちが、「どのメディアから情報を得ているか?」との問いに対し、第1位がYouTube、2位はテレビ、第3位はLINE、第4位はインスタグラム、第5位はツイッターで、新聞や雑誌、ラジオはTOP10にもない。いかにデジタル情報を重視しているかがわかる。
 グローバルマーケットの世界では、このZ世代に注目が集まっている。なぜなら、2031年までに、Z世代の収入が世界の25%以上を占めることが予想されているからだ。残念ながら、日本のZ世代と呼ばれる20~24歳は631万人、45~49歳の966万人に対して、1.5倍以上の差もあり、例外的にZ世代が少ない国だ。ただし、これ以降の世代も、同じようにデジタル・ネイティブな世代が続くことを考えると、Z世代に焦点を当てたマーケティングは必須な対応だ。

「モノ消費」よりも、「コト消費」

 Z世代は、X、Y世代と異なり、高級品やブランド品、トレンドを追いかける「モノ消費」よりも、体験や習い事などの「コト消費」を重視している。さらに、商品やサービスそのものの価値ではなく、SDGsや社会貢献といった付加価値に消費の価値観を見出す、「イミ消費」も増加しているそうだ。
 一方で、気なることも多い。Z世代の先頭を走る2022年度新入社員は、コロナ禍でオンライン授業になり、アルバイトもできず、人と話す対面コミュニケーションの機会が絶対的に激減した。買い物も授業も、対話もすべてオンラインになった。
 一方で、建設の現場はリアルなものづくりが展開される。多くの職人と話をし、段取りを調整しながら工事を進め、コンクリートの肌合いを触れて確認するなど、五感を使うことで、はじめてきちんとした品質の建物や施設が作られる。
 ぜひとも、Z世代のみなさん、デジタル・ネイティブの強みを活かしながらも、工事現場に出て、ものづくりの現場を知り、経験し、デジタルとアナログをつなぐ新しい建設方法を見つけだすことに、大いに期待しています。

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