2023 WBC 米国代表は本当に過去最強なのか。検証してみた。
心躍るようなニュースが飛び込んできた。
MLBを代表する左腕、クレイトン・カーショウがWBC米国代表が公式にアナウンスされた。
近年はやや怪我も増えているが、それでも昨年も12勝8敗 防御率2.28の好成績。疑いも無くMLBでもトップクラスの選手だ。
一これで米国代表の陣容はほぼほぼ固まった。
カーショウのみならず、トラウト、ゴールドシュミット、アレナドと揃う今 回のメンツは史上最強であり、米国がやっと本気を出してきた、との声を各所(もしかしたら単に盛り上げたいマスコミだけかもしれないが)で耳にする。
2023年米国代表は最も本気なのか?
なぜかWBCについては、「日本以外の国は本気ではない」という話が毎回どこかで囁かれる。その筆頭が米国だ。
だが、WBCを熱心に観てきた人達なら分かるだろう。
実は1回目のWBCから、米国代表は随分と豪華であった。
第1回が開催された2006年は、WBCがまだ、海のものとも山のものとも知れない時代ではあったものの、野手陣は、ニューヨークヤンキースのキャプテン、デレク・ジーターをはじめ、アレックス・ロドリゲス、チッパー・ジョーンズと名だたるメンバーが出場。投手も前年22勝でブレイクしたドントレル・ウィルスや、ロジャー・クレメンスが出場している。
そんなこんなで開幕まで3か月を切っているWBCを前に、一体いつの米国代表が最も「本気」のロースターを構築できていたのか自分自身でも気になってきた。
「本気」という曖昧な言葉は当然、定義を置かなくては議論にならない。
今回、「本気」とは、前年にペナントでの活躍の実績があったメンバーの選考を示すと考え、WBC前年のWARを比較することで、どの代表が最強かを考えたい。
(※なお今回は、rWarを採用して比較)
過去最強の米国代表は20XX年
いきなりだが結論から入ると、やはり過去最強は第1回WBCの2006年だった。
以下の図の通り、2006年メンバーの合計WARは、110.6となり最も高かった。
各メンバーのWARは、前年48本塁打でホームラン王を獲得したAロッドこと、アレックス・ロドリゲス(NYY)の9.4を筆頭に、ロジャー・クレメンス(HOU)、デレク・リー(CHC)、チェイス・アトリー(PHI)、マーク・テシェーラ(TEX)と7以上を記録するまさに豪華なメンバーがそろった。
過去2番目に豪華なメンバーが揃った2023年米国代表
だが一方で、2023年米国代表の合計WARは106.7となっており、2006年に肉薄している。WAR7.9を記録したノーラン・アレナド(STL)をはじめ、7.8のポール・ゴールドシュミット(STL)、6.5のJ.T.リアルムート(PHI)などが並ぶ。
投打のバランスが非常に良く、豪華なメンバーであることに間違いはない。
万が一にでも、ここに今年62本塁打とWAR10.2を記録したアーロン・ジャッジ(NYY)が加われば、過去最高の米国代表と言えるかもしれない。FAでの移籍先が注目されたものの、結局はヤンキース残留となっており、それであれば是非参戦を期待したいところだが。。
しかしながら、前年の活躍実績がある選手が揃ったところで、結果が伴うとは限ららないのがWBCの難しいところだ。最も豪華だった2006年は準決勝で日本に負けてベスト4に終わっている。その一方で2番目にWARの低かった2017年は初優勝を成し遂げている。果たして2023年の米国代表、そしてWBCがどのような熱い試合を見せてくれるか今から楽しみだ。
余談
完全に余談ではあるが、個人的には2006年と2017年大会は、米国へ赴いて現地でWBCを観戦している。
2006年は第2ラウンドでの日本対米国の試合を現地で観戦した。
そう、あのボブ・デビットソンの誤審で有名な試合だ。件の試合を生で観戦した日本人は少ないはずで、今となっては自慢の一つだ。
(現地にいる限りは、タッチアップが早かったかどうかなど分かるはずもなく、アウトコール後に沸き起こったUSAコールの迫力にただただ気圧されただけだった)
また、2017年は、米国の初優勝という貴重な機会に面することができた。
第2ラウンドのサンディエゴ、ペトコパークとLAのドジャースタジアムを行き来し、多くの試合を観戦した。
特に思い出深いのは、オランダとプエルトリコの一戦だ。両チームともにモチベーションが高く、あのやる気にムラがあるバレンティンが必死でプレーする姿に見ている方も気持ちを熱くさせられた。まるでとてつもなくレベルの高い甲子園の試合を見ている様な気持ちだった。
その後、新型コロナの影響もあり、2021年大会は中止に。そして6年ぶりに開催される2023年の試合を楽しみにしている。今回もあわよくば、米国現地で観戦できないかと思っているが。