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横浜市のワクチン接種システムの全体像について

新型コロナウイルス感染症対策として大きな効果が期待されているワクチン接種ですが、2月末時点で横浜市でも医療従事者向けの接種が始まっています。こちらは神奈川県が接種事務を管理していますが、4月からスタートする高齢者向けについては横浜市が管理することになっており準備が進められています。

今回のワクチン接種は16歳以上の全国民を対象としており、またワクチンを有効に活用する必要から接種の状況を適切に管理するためのコンピューター・システムが必要です。このシステムがうまく機能するかどうかも国民の接種手続きがスムーズに行くかどうかに影響することから注目されています。

そこで、現時点での横浜市の状況を動画で説明してみました。

この動画ではスライドが見えにくいので、あらためてこちらのレポートで2021年2月28日時点で横浜市におけるワクチン接種管理システムの全体像を紹介します。システムの設計に伴い、医療従事者の方々の対応準備にも影響すると思われますし、また、これから接種を希望する市民のみなさまにとっても心構えができます。

政府が自治体に示している全体像

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(内閣府資料から引用)

上の図の中で政府が作るシステムで提供する機能は青い囲みのところです。これによって国民全体の接種状況を把握することができます。そのためには各自治体からの住民データ(氏名、生年月日、マイナンバーなど)と接種情報(接種券番号、接種状況、接種回、接種日、ワクチンメーカー、ロット番号など)を入力する必要があります。

おせち料理の重箱を想像してみてください。いわば政府が作っているのは空の重箱で、箱に入れる料理は自治体が持ち寄ることできれいに盛り付けられたおせちの重箱が出来上がるという感じです。この時に、重箱には仕切りがあって、料理を作るにも仕切りにあった大きさの料理を用意しないといけません。そうしないと折角の料理が綺麗に入らなかったり隙間ができてしまいます。政府のシステムと自治体のシステムを連携させるというのは、まさに仕切りの大きさや形にあった料理を作るようにデータを整えるということです。

横浜市が準備していること

それでは、横浜市では国が用意する重箱にどんな料理を用意しているのでしょうか?下の図をご覧ください。

新型コロナワクチン接種の全体フロー_page-0001

(横浜市資料から引用)

4月からスタートする高齢者向けの接種では、横浜市内に対象となる方が約93万人いらっしゃいます。一つの自治体で管理するには全国最大規模です。これらの方々を特定するデータベースは住民基本台帳システムで、ここには氏名、生年月日とともにマイナンバーも格納されています。こうした基礎データが国のシステムに提供されます。また住民基本台帳データの市民一人一人のデータとともに、それぞれに紐付けられた接種券番号を添えて、市で管理する(委託します)予約システム及び接種者管理システムに格納します。

この予約システムをもとに接種券番号シールのついた接種券を含む接種通知が発送され、受け取った市民はコールセンターやインターネットなどを介して予約します。

予約の際には日時と接種会場を指定します。横浜市では公会堂やスポーツセンターなどの集団接種会場と病院や診療所などの個別接種会場が設けられる予定です(その他、介護施設入所者むけに施設接種の場合もあります)。集団接種会場の情報は予約システムに含まれますが、個別接種会場の情報は、個別接種を実施してくださる医療機関によって異なります。医療機関によっては独自の予約管理方法で取り組むところもあると思われ、その場合は無理に市の予約システムに接続せずに予約事務を行うことも可能です。もちろん市のシステムに接続することも選択できます。市のシステムに接続していないけれども個別接種を行っている医療機関がわかるような情報提供の工夫も考えています。

予約を行った市民の方は、決められた日時、会場で接種となります。その際には送られてきた接種券を持参してください。これはバーコードのシールになっており、会場でシールを受付に提出します。接種会場ではこのバーコードを読み取ることで直接、政府のシステムへデータが入力されます。読み取りには政府がタブレットを用意します。

今回は新型コロナウイルス対策のワクチン接種ですが、自治体にはこれ以外のワクチン(インフルエンザなど)を含めた予防接種台帳があります。横浜市では、予防接種台帳へのデータ入力は、政府のワクチン接種記録システムに集められたデータを取得して行います。

市外接種の対応

横浜市民の方は横浜市内で接種しなければならないということはありません。今後、場合によると会社などでまとまった接種があるかもしれませんし、高齢者の介護施設接種の場合も横浜市内の施設でありながら入所者の住民登録は市外の場合もありえます。市外接種の手続きおよび管理は接種を受ける自治体で行うことが原則となります。例えば、大和市に在住している方が隣接する横浜市瀬谷区の個別接種会場で接種を受けることも可能ですが、その際には横浜市のコールセンターに連絡していただき大和市で発行された接種券番号をお伝えいただくことで横浜市の予約システムで管理することが可能です。大和市に連絡する必要はありません。この方が横浜市内で接種するとその情報が政府のシステムに登録されますので最終的には大和市でも情報を把握することができます。同様に横浜市の方が例えば都内で接種する場合は、東京都の接種窓口に問い合わせることになります。これは接種を受けられる方には関係ないことですが、横浜市では市外在住者の接種に際してはその方の住んでいる自治体コードを付与することで予約システムに入力し管理することが可能です。

ワクチン在庫の管理

これまでワクチン接種のオペレーションについて説明しましたが、そもそもワクチンそのものを管理する必要があります。集団接種会場でいつ、何人接種するからどれだけのワクチンが必要になるか、そのための配送計画はどうなるかということが重要になります。政府においてはV-SYSというシステムで全体の在庫管理を行うとしています。現時点では、ワクチンの供給体制が明らかにされておらず、V-SYSから自治体がどのようにデータが提供されてくるのかわからない状況です。


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