社会とつながる学びの実践がここにある

社会とつながる学び
全国の児童生徒一人一台のパソコンまたはタブレットを配備するGIGAスクール構想が新型コロナウイルスの影響を受けて当初の3か年計画から加速して今年度中に配備を終える方針となり、横浜市でも急ピッチで準備が進められています。このGIGAスクール構想の実現によって目指す学びの姿として、「個別最適の学び」と「社会とつながる協働的な学び」が挙げられています。「個別最適の学び」とは、児童生徒一人一人の興味や関心の違い、そして学習進度の違いを受け止め、それぞれの個別な事情に合った学びを公教育で目指すものです。これまでの集団教育での全体最適からの脱却です。これに対して「社会とつながる協働的な学び」とは、試験のための知識を蓄えるのではなく、社会で生かす知識を蓄え技術を身に着けていく学びです。いずれも現在の学校現場にとっては大転換を余儀なくされるものです。

民間人校長ならではの取組
横浜市立の中学校でも先行して社会とつながる学びを実践している学校があるとうかがい、その取り組みを見せていただきました。港北区にある高田中学校では、マルちゃんのカップ麺で有名な東洋水産株式会社様と、そのカップ麺のパッケージ・デザインを手掛ける凸版印刷株式会社様のご協力で、生徒が新しいカップ麺を企画開発するプロジェクトを進めています。実際にスープの味付けを体験したり、いろいろなデータから商品ターゲットを定めるなど商品開発担当者から、実際の商品開発の際にどんなことを意識しながら開発を行っていくのかポイントを学びます。また、できあがったコンセプトについてパッケージを考えてみて、それをプロのデザイナーにデザイン画にしてもらったり、プロならどう描くかを作ってもらったりして、まさに実社会でなされる取組を授業の中で学んでいます。興味深いことに、企業の方の授業に至るまでに、国語で伝わりやすい商品のキャッチフレーズを学んだり、美術で色の組み合わせや構図を学んだり、社会科で世の中にあるデータから社会を見つめたりと各教科の中でも関連した学びを進めていました。同校の横田校長先生は日本IBMに勤務経験のある民間出身の校長先生だけに校内外の様々な関係者の協力を取り付けて「社会とつながる協働的な学び」を実現していると感じました。

生徒のデザイン

↑生徒がデザインしたスケッチをプロのデザイナーが忠実に制作したもの。

デザイナー①

↑デザイナーが独自に制作するとこうなる①。

デザイナー②

↑デザイナーが独自に制作するとこうなる②。


公民連携のマッチングが必要

こうした学びがどの学校でもできるかというと簡単ではないと思います。協力してくれる企業が見つからないとか、どのように話を進めていけばよいかわからないなどの声が聞こえてきそうです。学校と民間企業をマッチングする機能が必要になってくるのではないでしょうか?横浜で学べてよかったと思えるような仕組みづくりを進めていきます。

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