【IT業界】システム運用会社の内情と実態、そして今後@2日目
皆さんこんばんわ。タロです。noteを初めて2日目なので自己紹介の延長で私の仕事についてお話したいと思います。悩みごとに近い面も多いですが、具体的な対策や取り組みも紹介するので、課題の解決にもつながるかもしれません。ちなみに現職はIT運用エンジニアの管理職です(早く脱サラしたい!!
なお、似たような悩みを抱えている方や、もっと素敵な解決策を取ったよ!という方は是非ご連絡ください。
私の中でかなりホットな話題のため、気持ちが入って少し長くなります。IT業界未経験でまずは運用からスタートしよう!という方には是非読んでいただきたい・・
運用の話・弊社の話
運用のお仕事は、大きく分けて2種に大別されます。特定のシステムに特化した専任タイプの運用と、不特定多数のユーザーに対して一定ラインの業務を代行するタイプ(手順書ベース等)です。私が所属している企業は後者タイプの中堅運用会社で24/365エンジニアがお客様のインフラを支えています。
ただしエンジニアの半分が新卒に毛が生えた派遣社員、社員のジョブローテーションも少なく、優秀で意欲のある人材は数年で転職し、意欲の低い人や、スキルに自信がない人の溜まり場になりがち、というのが実態です。新しく入ってくる社員は新卒ばかりで社会人スキルも教育されておらず、ほとんど現場に丸投げされ、現場で長く過ごすので外の世界を知らないままキャリアを積みます。業務スキルが身に付いても汎用的なものではなく、まさしく陸の孤島で企業内でもエンジニアという職種においても置いてけぼりを食いがちです。手順書に書いてある対応を守ることに必死になり、その意味や目的、実際に起っている事象を捉えて自分の知識にまで落とし込もうとまで、考えられる人はなかなかいないのです。
派遣社員の話
派遣社員は雇用のハードルが低く、特にスキルが低い人材は安く雇うことができます。月単価38-42万程度もざらです。そういう方々の手元に入る額はあまり想像したくないですが・・。ただし派遣法の都合上、一定期間働いた派遣社員は大幅値上げ、社員雇用、別の現場で移動、といった制約を受けるので優秀な方も方も同じ現場に長くは残れず、2-3年程度で移動しなければいけません。(もちろん契約いかん)
24/365の現場では夜間のメインを派遣社員にまかせていたり、厳しいシフト勤務を強いたり、休みを取りにくくしたりと、環境面が悪い会社さんもいますが、弊社ではそのあたりは円満でプロパーと派遣の業務や勤務形態はある程度均一化されています。
ですが、その弊害として契約上責任を取ることができない派遣社員がプロパーに教育する場面や、前段の数年で現場を離れる→すぐに新規の未経験派遣がくる。といったことによる組織戦力の大幅ダウン、予算上人件費をかけられず新卒レベルの派遣社員を未来の可能性を信じ、受け入れる場面が多々発生します。長く付き合いのある派遣会社は弊社業務への理解が深く、面談等の対策もばっちり練ってきます。言ってみれば派遣採用がギャンブル、ガチャに近いほど優秀な人材を揃えにくいです。
派遣会社からすれば現場で運用エンジニアとしての経験を積ませ次の現場で大幅な増額を狙える、育成牧場のような捉え方をしていることでしょう。ちなみに派遣会社が派遣社員をきちんとマネジメントできていない、放ったらかし状態となることも日常茶飯事で、本人が悩んでいたり体調がわるいことを弊社が先に察知したり、自身の契約内容をきちんと把握していなかったり、退職代行を使用して派遣元からも音信不通である日突然消えてしまう、、、なんてこともざらにあります。
これからの運用、立ちはだかる壁
さて、ここまで弊社の悩みを色々吐露してきましたが、まだまだ続きます。それはここ5年程度で運用の内情は大きく変わりつつあるからです。IT系の方なら聞いたことはあるかもしれませんが、RPA/RBA/AI/といったツールを活用した運用の自動化が主流になってきたのです。
これまで人の手で丁寧な職人技として監視ツールの状態を確認し、電話・メール通報、サービス・JOB・プロセス・OSレベルの再起動がメインでしたが、このレベルはツールの自動検知→自動対応→結果の自動通知(電話&メール双方)ですべて自動化可能です。ある程度スキルレベルが必要ですがツールを使いこなせば複雑な復旧手順、切り分けも自動化できますし、材料だけ集めて最終判断を人の手に委ねるといった柔軟な対応も可能です。
人の手で通知から初動の復旧対応が30分かかったとすれば、ツールを用いた自動化は5分で完了します。しかも一部のレアな不具合がない限り、一切ミスをすることはありません。人と切り離せないヒューマンエラー、手順書の読み違い、読み飛ばし、コマンドの発行ミス、理解不足等に該当するインシデントが一切発生しないのです。どちらに軍配が上がるかは、誰の目にも明らかだと思います。
ですがこうした自動化を実現するには一定以上の投資と、企業の基礎体力、スキル(言語中心)が必要になります。もちろんツールによって費用もハードルは様々でExcelのコピー&ペーストレベルならITスキルに依存せず自動化できるツールもありますが、コマンドの発行や複雑な判断を伴うものになれば自動化するために言語や、シェルレベルの知識は必要です。もちろん、そこまで難しい知識ではないのですが開発をメインにしていない会社、前段のように派遣主体で入れ替わりが激しく、社員の意欲やスキルレベルが不足している会社にとっては相当難しい問題です。
対策
弊社ではそうした事態を打破すべく色々手を打ってきました。ありがたいことに少しずつ成果が出てきた段階です(手を打つのはかなり遅いですが)。一例ですが組織編成の見直し部分を中心にご紹介します。
①24/365部隊の目的や役割を細分化、明確化し、簡易対応部隊、テクニカル運用部隊、開発部隊といったように階層式にする。簡易部隊は派遣社員を中心へ。
②テクニカル運用or開発部隊を担える人材のスキル中心の中途採用を強化。社長を説得し、今後の弊社の未来に対して理解を得る。※というかこのままじゃこの会社やばいことになることを説明
③テクニカル運用部隊は特に不備の多い知識理解を伴う障害対応や機器の設定、顧客との折衝等を中心に担う。
④上位部隊はツールの検証や自動化のスキルアップ、新たなサービスを開発することを中心に活動する。※スキルセットを用意し、満たさないと不可。見込みのある社員には特定言語のマスターなど、今までに経験したことのないタイプの試練を課しています。
⑤将来的には簡易部隊は業務を簡略化の上で外注化(業務委託、もしくはバイトレベル)し派遣社員の登用を極力減少させる。
⑥各部隊にて必要な能力と学べる事項を明文化し、部門内外を問わずに次のキャリアパス示す ※人事と相談しまくりました
⑦大手会社が自動化に成功し、その分取りこぼしたであろう、高度な運用、スキルや理解を伴う運用に対して弊社が受け皿になっていく。
終わりに
はぁはぁ・・一気に書いたので息切れしてしまいました。ここまで読んで頂いた方も長々とありがとうございます。拙い長文(しかも文字だけ)でさぞ疲れたかと思います・・改めてお礼を・・。
さて、最後の対策の部分、一例ではありますが、やはり組織の悩みや人の悩みを解決するには、会社を巻き込んで組織の器を大きく変えることが必要と実感しました。だからこそ、それが可能であるポジションの方には大きな責任が伴います。責任に伴わない給料だ!と多くの方も感じているかもしれませんが、おそらく同じように多くの方がこうした悩みを抱えているのでは?と思い、長々と私の実体験を記載しました。
少しでも、皆さんのお役に立てば幸いです。ありがとうございました。