Doomerとは何ぞや?憂鬱な若者を代表する海外ネットミーム(コンテンツ案内)
2018年秋ごろから、"Doomer"なるミームが海外のネットを賑わわせるようになった。
Doomerって誰?
一体Doomerとは何だろう。典型的には、以下のような特徴を挙げることができる。
20代前半の男性
未来や世界に対する希望を失っている
友達がいない
normie(パンピ・陽キャ)に憧れたり憧れなかったりする
nightwalk(夜歩き)が趣味
Redditのr/nightwalkに夜歩き中の写真が沢山アップロードされている。ちょっと不気味で空虚な感じがliminal spaceに似ていると思う
ちょっと暗い音楽が好き
The Smiths, Joy Division, The Cure, Redioheadあたりが定番
Molchat Doma, Ploho, ssshhhiiittt!, Buerakあたりのロシアン・ポストパンクもお気に入り
黒いニット帽をかぶり、黒いパーカーを着て煙草を吸うのが正装(?)
Incel(過激な女性嫌悪者)とDoomerは微妙な緊張関係にある
Redditのr/doomerでIncelの扱いを巡って揉めている様を観測できる
Doomerにとってみれば「一緒にすんな」という態度が優勢か。女性のDoomerも存在する。Tinderをはじめて10分で断念するのがDoomerの美学(違います)
Doomer Music
さて、Doomerを語る上で外せないのが、"Doomer Music"と呼ばれる一連の楽曲群の存在だ。YoutubeやSpotifyで"Doomer Music"と検索すれば、それこそ20も30も、薄暗くてローファイなプレイリストたちがずらっと表示されていく。以下は一例。
ロシア語の曲の多さにお気づきいただけただろうか? 多くのDoomerはロシアのポストパンクを好んで聞いている。低く唸るような声、意味のわからない言語、旧共産圏を思わせる公営住宅のジャケット写真──このぼんやりと薄汚れた雰囲気が、Doomerたちの心境に奇妙にマッチするらしいのだ。
ところで、"Russian Doomer Music"といっても、実際にはベラルーシのバンドの曲も多い。Doomerの話をしたときに真っ先に名前が挙がりそうなMolchat Domaも、そういったベラルーシのバンドのうちの一つだ。
Doomer Video
最後に、主にYoutubeに投稿されるDoomerたちのショートムービーを紹介していこう。
65万人越えのチャンネル登録者数を誇るMillennia Thinkerの作品、"Slavic Doomer"をまずおすすめしたい。2分にも満たない短い映像で、特に技術的な凄みがあるというわけでもない(むしろ、人によっては「雑コラ」に見えるかもしれない。)
しかしながら、一度再生しはじめたら、真顔で画面を注視しだすことになるだろう。アンビエントなBGMの効果もあって、気がつけば、神妙で、深刻な気持ちになっている。何度も繰り返し視聴してしまう。この場合、動画の短さは却って強みだろう。
明るさの欠片もないのに、なぜか、この動画で描かれる東欧のどこかの街に憧れる。コメント欄を見る限り、途中でポーランドのラップが流れているらしい。そのあたりの地域なんだろうか。
ちなみに、同作者による"Japanese Doomer"という作品も存在する。成績不振の若Doomerと、整形を繰り返すおばさん(?)の姿が描かれている。よく見ると、Doomerくんの顔がアジア人フェイスだ。芸が細かい。
こちらは、Whitingboltという人による"Doomer's Friday Night"という作品だ。海外ナンバーの車に「藤原とうふ店」と書かれているけれど、これはちょっとよくわからない。Vaporwaveにおいては、破綻した日本語を曲題や映像に使うことがあるらしい。もしかすると、Doomer文化にもVaporwave的な感性・ノリが持ち込まれているのかもしれない。
夜道をドライブする映像、寂れた深夜スーパー、心地よい音楽──などなど、Doomerたちの好きなものが一通り詰め込まれている。金曜夜に視聴すれば、きっと私たちを最高な「ローテンション」にしてくれるに違いない。
終わりに
冒頭で紹介したWho Is The Doomer?では、創作活動をしたり芸術鑑賞をしたりすることがDoomerにとっての幸福の道の一つだと述べられている。みなさんもこの機会に、Doomer音楽やDoomer映像を漁ってみてはいかがだろうか。あるいは、この記事を読み終えたあと、nightwalkに出撃するのも良いかもしれない。
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