国総(教養区分) ③第二次試験

前回のnoteはこちら↓

最後です。
第二次試験について詳しく書いていきます。

【第二次試験】

①企画提案試験(配点: 5/28)

二次試験で個人的に1番大変だと思ったのがこの企画提案試験です。試験内容は社会課題に対しての「政策」を提案し、それをプレゼンするものです。

主に二日間に渡る二次試験の一日目に行われることが多く、午前中にプレゼンテーションシートに政策を書き、午後に個室に一人ずつ通されそれに関するプレゼンを5分、提案した政策内容に関する質問を20分受けることになります。

政策の提案、と急に言われてもそんなの出来るわけないと思う方も多いと思います。しかしこの試験のみ、試験当日のおよそ1ヶ月半前に参考資料が公開されるため、問題それ自体は分からずとも「大体この辺の分野の社会問題に対しての政策を提案するんだな」と当たりをつけることができます。そのため大抵の受験生は、問題を見る前からある程度どんな政策を提案するのかを決めて当日に挑みます。

つまりこの試験は他の試験と違い

①あらかじめ与えられた資料を隅々まで読み込み
②それに関する調べ物をした上で
③「政策案」を自身でいくつか練り上げ
④それを添削してもらいながら細かいところを精査しながら詰めていく

と言った『事前の準備』が全てを左右する試験といえます。

この「準備」がメチャクチャ大変ですし、正直②の「調べ物」に関してはキリがありません(そもそもちょっと調べたくらいで万人が納得する政策が思いつくぐらいなら社会課題になってない)。

ですが、面倒臭いからと言って手を抜くと確実に死にます。なぜかと言うと、本番の試験の時にプレゼン後に「政策内容に関する質問を20分受ける」時間があると書きましたが、この20分の質問では政策に関するかなり細かい所までまぁまぁ詰められます。面接などの他の試験とは違いかなり容赦なく詰めてきます。そのため「なぜこの政策なのか」「この政策ではこういう問題点が発生すると思うがどう対処すべきなのか」などについてある程度詰めて考えて答えられるようになっていないと、かなり厳しいことになりかねません。確実に悪い印象を与えるでしょう。

というわけで①の資料の読み込み+②の調べものに関してはこの企画提案試験で、ひいてはこの二次試験全体を見ても重点的に時間をかけるべき部分と言えます。

この「調査」では、僕はスマホのメモでword10ページ、別途ノートで半冊くらい使いました。


‥とかなりプレッシャーに感じる記述ばかりだったものの、正直一次試験の対策ほど本腰を入れてやってる人はマジでほぼいません。資料が公開されてから試験まで一月以上ありますが、その間一日4〜5時間調べ物をしていた、なんて人も見たことがありません。

というか調べ物もしすぎるとドツボにハマる可能性があるので程々でいいと個人的には思いますし、そもそも試験官も「万人が納得する政策」なんて求めてないし学部生如きにそんなものが生み出せるなんて思ってないでしょう。大事なのは、現状の課題状況をちゃんと認識した上で、その政策を取るべき理由がプレゼンと質疑応答においてちゃんと自分の言葉で説明できるか否か、だと思います。

私自身、この調べ物をするのも終わりがない気がして途方に暮れていましたし、最初の頃はいくら調べても課題を解決するための政策なんて浮かばない気がしていました。(11月頭に何とか作った政策案を先輩にプレゼンしたときも、40分にわたるダメ出しをくらい1週間ほど寝込んだこともありました笑)

しかし調べ物をしていくうちに徐々に何となくの問題の全体像が掴めるようになり、それに伴い「じゃあこの部分を解決したら割と色々上手くいくんじゃない?」みたいな糸口が見えてきたりします。また、公式に人事院で公開される参考資料以外にも例えば「有識者の提言」のようなものが別途政府発表の書類に含まれてることが多く、この「有識者の提言」は割と課題解決のためのヒントとなることが多いです。もちろんそれをそのまま引用するのはダメですが、こうした諸々のインプットをしていくうちに徐々に自分オリジナルの政策を提案できるようになると思います。
僕は上記の調べ物の他にも、最初のnoteで述べたCRASの人々に添削してもらったり、CRASの上級生が作成した対策参考シートみたいなものも活用しながら何とか進めました。

案の定本番ではまぁまぁ詰められましたが、ちゃんと自分の言葉で説明すれば(時間の制約もあるので)そこまで際限なく詰められることもありません。また容赦なく疑問点が投げかけられると言うだけで、別に語気が荒かったり怒鳴られたりするわけではないのでそこはご安心ください。

最後に補足ですが、午前中に2時間で書き上げるプレゼンテーションシートは、プレゼンの時間にコピーしたものを面接官も見るのでちゃんと大きく濃くハッキリと書いた方がいいです。また、プレゼン10分前になると別室に通され自分の書いたプレゼンシートに加筆することができます。そこでは予想される質問事項や追加で説明したいことなどを書くと良いと思います。

②政策課題討議試験(配点: 4/28)

俗に言う、民間企業の就活でもよくある「グループディスカッション」です。民間企業を併願している方も多いと思うのでここに関してはそこまで身構える必要の無い方が大半なのではないでしょうか。

内容としては
①「自分の立場をAかBで表明→その理由をレジュメにまとめる」
②「①で作ったレジュメを元に5〜6人でグループディスカッションをする」
と言った感じです。

①では、企画提案試験のプレゼンシート作成みたいに、問題が配られて20分で自分の立場(AかBの二択)を表明して、その理由などをレジュメにまとめます。(問題を読み、参考資料に目を通して、さらに分かりやすくレジュメに意見をまとめるので、意外と20分はタイトです。初手から急ぎ目の方がいいと思います。)

そして②では別室にランダムに選ばれた6人が通され、事前に①で書き上げた自分含め6人分のレジュメ(コピー)が配られ
(1)最初に一人ずつ立場を表明(一人3分)
(2)6人でディスカッション(45分)
(3)最後に意見表明(一人2分)
と言う形で進めていきます。(細かい時間に関しては変更の可能性あり)

民間就活でグルディスをやってる方は特にこちらで気をつけることはありません。が、私のように民間就活をしてない未経験者のためにいくつか注意点を述べておくと

(A)ディスカッションでの役回り
・「ファシリテーター」(司会的な立場。全体の流れを把握しつつ、現状の会議の進行の確認をするなど)
・「タイムキーパー」(あらかじめ決めた時間配分などを守れてるかチェック)
・「アイデアマン」

‥などの、会議においてそれぞれが役を決めて、話の本筋からそれたり時間配分がグチャグチャにならないようにすることが必要です。
正直この辺に関しては民間の人の方が詳しいです。もう「グルディス 役割」でググって下さい。ごめんなさい。

(B)全体の流れを確認

会議の初めに時間配分と流れを大きく決めることも大切です。
大まかな流れとして(一例)↓
(1)前提の確認、多義的な言葉の確認
(2)現状の分析
(3)論点確認
(4)施策の検討
(5)意見の集約
(6)傍論の議論(時間が余ったら)

と言った感じが挙げられます。特に(1)の「多義的な言葉の確認」は意外と大切だと思います。例えば「地方」に関する衰退の話だとしても、その「地方」が誰もいないような超ド田舎なのか、はたまた旧ニュータウンのような最近急激に衰退し始めた郊外地区のことなのかによってその後の課題の論点も変わってきます(実際僕らの本番のディスカッションでは、まさに上の「地方」の定義により課題の論点が大きく変わるため、どの地域を対象とすべきか?と言う話を通してコンセンサスを取ることからスタートしました。)

こうして論点を洗い出すことを通して、具体的に「何の」「何に関する」問題なのかをある程度限定的にすることで課題として論じやすくなり、その結果議論が前に進みやすくなると思います。あまり絞りすぎると一般性がなくなるので注意が必要ですが、「特に最優先で対処しなければならないのはコレ」みたいな限定法ならそこまで一般性も失われないでしょう。優先順位が低い議題に関しては(6)で時間が余ったら論じる、と言ったことで対処もできます。

以上A,Bが主な注意点ですが、ぶっちゃけ言うとこの試験はランダムで選ばれた他のメンバーたちの能力によってもかなり左右されます。メチャクチャ無能な人がいたらそれで割を食う可能性もあります。そのせいかも分かりませんが、この試験の配点は比較的少なめです。なのでよほどのヘマがない限り差もつきませんし心配はいらないと思います。

考えられるヤバい奴の例として、メンバーの一人がメチャクチャ無口な場合があります。この場合は正直無害なので無視して議論を進めてOKです。会議の途中で「〇〇さんはどう思いますか」等と話を振ってあげるので十分でしょう。
本当にやばいのは「よく喋るけどメチャクチャなことしか言わない」タイプです。僕らの対策会ではこれをクラッシャーと呼んでいましたが、こいつがきた場合は何とか、何とか残りの5人で頑張るしかありません。ただこのクラッシャーがいる場合は極めて稀ですし、仮に当たってもそんなに他と差はつかないので気にしすぎる必要はないと思います。

ちなみに僕の時は他のメンバーが全員死ぬほど有能だったのでマジで会議が問題なく進みました。あまりに有能なメンバー過ぎて自分の話すことがなくなりそうでしたが、例えば現状の確認をするターンを入れたり、人の話に対して別の角度から指摘してみたりと、いわゆるアイデアマン的な立ち振る舞いを要所要所でしながら議論の輪に入って行けました。他が有能すぎた時に参考にしてください()

③人物試験(配点: 6/28)

普通の面接試験です。特に書くことはありません。あらかじめ面接シートに記入をして事前に提出、それに関する質問を本番で20分ほどされると言う極めてオーソドックスなものです。

内容としても別に「こうしなきゃダメ」はありません。むしろ自身の体験に基づいて変な嘘のない自然なものであればいいと個人的には思います。

ちなみに①の政策提案試験では面接官はガン詰めしまくってきますが、この人物試験では面接官は死ぬほど優しいです。最初にアイスブレイクタイムもあるのでそんなに気張りすぎず話ができればいいと思います。

配点は重いですが、正直他の民間とかの面接対策と変わりません。動機がしっかりしてるか、今までの経験で学んだことを自分の言葉で伝えられるか、学んだことをどう仕事に活かしていきたいか、その辺がちゃんと答えられれば別にそれ以上特に対策が必要ではないでしょう。僕は先輩に2回ほど面接を見てもらって対策は終え、本番でも普通の評価をもらいました。それで合格点を出すには十分だと思います。


【最後に】

参考までに、私自身の結果を簡単に伝えておきます。
・最終合格者423名中200番周辺で合格
・一次→総合論文: 平均付近
    択一: Ⅰ部:20点/24点 II部: 半分くらい
・二次→政策提案試験: 平均付近
    政策課題討議試験: A(最高評価)
    人物試験: C(真ん中)

(具体的な点数と席次が割れないよう、一部点数はボヤかしています。すみません。)

尿意に押されて過集中モードに入った択一Ⅰ部で大覚醒し、グループディスカッションでは周りのメンバーに恵まれてまんまとA評価をもらっていたお陰で合格に食い込めた、と言った感じです。正直グルディスなんて多分あの卓の6人中3〜4人A評価貰っててもおかしくないくらいの優秀さだったので、本当に恵まれたな、と思います。

長々とお付き合い頂きありがとうございました。
意外と調べた時に欲しい情報がないなぁ、と感じていたのでここで書けることをたくさん書きました。何かしら参考にしてくださると嬉しいです。

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