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プロンプトを大幅改善! AIに問題を解かせみた|特定社会保険労務士試験
こんにちは! たろです。
前回はAIに特定社会保険労務士試験を解かせてみました。
近年の倫理問題は、判断に迷う事例を元に出題してくるので、そうした問題にもAIは対応できるのかを検証してみました。
解かせる問題・使用したAI
今回は「第20回 紛争解決手続代理業務試験 大問2 小問(2)」を使います。
2024年に実施された最新の過去問です。僕が受験生として会場で解いた問題でもあります。実際の問題は以下のとおり。これまでの過去問と比較すると、典型的な出題ではありますが、前回試した第1回と比較すると、入り組んだ事例です。
特定社会保険労務士乙は、C社のD社長とは地元の古くからの友人で、地元のイベント等において年に何度も飲食をともにする間柄であり、こうした縁があって、令和2年4月から顧問契約も締結し、C社のハラスメント規程の改訂や賃金計算、他の従業員から都道府県労働局にあっせんの申請がなされたD社長のハラスメント事件について、C社を代理したこともあった。もっとも、その後にC社の業績が悪化し、経費節減のため令和6年5月には顧問契約を解消した。他方、乙は、C社において長年にわたり営業部長を務めてきたEとも良好な人間関係を築き、同年1月ころから休みをとっていると聞いていたが、その原因については知らなかった。すると、同年11月、E部長が突如乙の事務所を訪れ、「実は数年前からD社長からパワハラを受け、今年の1月から精神疾患を発症して10か月ほど休職中です。あと2カ月程で休職期間満了のため退職になりそうなので、私を代理して、C社に対する都道府県労働局へのあっせん申請をしてもらえないでしょうか。元顧問の先生ならばD社長の性格はよくご存知のはずで、円満な解決ができるのではないかと期待しています。」との依頼がE部長からあった。この場合、乙はE部長からの依頼を受任できるか。
今回は、「Gemni 1.5 Flash」と「ChatGPT 4o」を使いました。
同じプロンプトを入力し、結果を比較してみます。
プロンプト(AIへの指示文)
前回のプロントにいろいろと手を加えました。
主な変更点は以下のとおりです。
参照する条文を増やした
各条文に対して、どのように判断すべきかを詳細に記載
出力構造を詳細に指定
評価プロセスも試行錯誤して変更
出力精度を高めるといわれる一言を散りばめる
その結果、プロンプトは以下のようになりました。長い…!
(結果だけ見たい方は、目次から「AIの解答」まで飛んでください)
# 依頼
あなたは{# 役割}です。{# ルール}を必ず守り、以下の{# 問題}に解答してください。
その際、{# 形式}で出力してください。
# 役割
- 特定社会保険労務士
- 社会保険労務士の倫理についても深い知見を持っています。
- 労働紛争を解決するための知識・経験が豊富です。
- そのほか労働法に関する知識も豊富です。
# 問題
特定社会保険労務士乙は、C社のD社長とは地元の古くからの友人で、地元のイベント等において年に何度も飲食をともにする間柄であり、こうした縁があって、令和2年4月から顧問契約も締結し、C社のハラスメント規程の改訂や賃金計算、他の従業員から都道府県労働局にあっせんの申請がなされたD社長のハラスメント事件について、C社を代理したこともあった。もっとも、その後にC社の業績が悪化し、経費節減のため令和6年5月には顧問契約を解消した。他方、乙は、C社において長年にわたり営業部長を務めてきたEとも良好な人間関係を築き、同年1月ころから休みをとっていると聞いていたが、その原因については知らなかった。すると、同年11月、E部長が突如乙の事務所を訪れ、「実は数年前からD社長からパワハラを受け、今年の1月から精神疾患を発症して10か月ほど休職中です。あと2カ月程で休職期間満了のため退職になりそうなので、私を代理して、C社に対する都道府県労働局へのあっせん申請をしてもらえないでしょうか。元顧問の先生ならばD社長の性格はよくご存知のはずで、円満な解決ができるのではないかと期待しています。」との依頼がE部長からあった。この場合、乙はE部長からの依頼を受任できるか。
# ルール
- まず、特定社会保険労務士が問題に挙げられた依頼を受けられるか受けられないかを検討してください。
- そのあとにそう判断した理由をあげてください
- {# 評価}の方法で評価し、出力に含めてください。
- {# 参照}の条文を当てはめ、法的な根拠を含めて出力してください。
- 法律の適用は以下の順番でステップバイステップで行ってください。
- 社会保険労務士法 第二十二条に定める行い得ない事件に該当しないか
- 法律の適用を考える際に1番目に大事なポイントですので、優先して検討してください。
- 先に関係性を持った人とどのようなやりとりがあったのかに着目して検討してください。
- 特に{# 問題}のケースで相手方から紛争解決代理業務に関する協議を受けているか、特定社会保険労務士は賛助したかを、慎重に判断してください。
- {# 問題}をよく読み、過去に誰とどのような関係性にあったかを確認してください。
- 登場人物に関係のない紛争解決代理業務であれば、今回の判断には影響しません。
- 社会保険労務士法 第二条に定める社会保険労務士の業務に対応しているか
- 依頼を受けられるか検討する業務が法律に定められたものかを検討してください
- 社会保険労務士法 第二十一条に定める秘密保持義務に違反していないか
- 法律の適用を考える際に2番目に大事なポイントですので、優先して検討してください。
- 直接的に秘密を聞くだけでなく、現在もしくは過去に顧問契約関係にあるなど特別な関係にある場合も秘密を知りうる立場にあるので、そのようなケースに該当しないか検討してください。
- 社会保険労務士法 第一条の二に定める品位保持義務・公正誠実義務に違反していないか
- 登場人物のいずれからも利益を得るなど利益相反関係にないか検討してください。
- 直接的な金銭の授受に限らず、間接的な利益を得ていないかも検討してください。
- 社会保険労務士法 第十六条に定める信用失墜行為の禁止に違反していないか
- 問題に登場する人物からの信用を、特定社会保険労務士が損なわないかを検討してください。
- 他の観点で問題なかったとしても、信用を失うことが考えられるのであれば、その依頼を受けることはできません。
- 社会保険労務士法 第二十六条に定める名称の使用制限に違反していないか
- 登場人物の中で、社会保険労務士でない人が、社会保険労務士と名乗っていないかを検討してください。
- 社会保険労務士法 第二十七条に定める業務の制限に違反していないか
- 社会保険労務士法 第二条に定める業務を社会保険労務士でない者が行っていないかを検討してください。
- 社会保険労務士法 第二十三条の二に定める非社会保険労務士との提携の禁止に違反していないか
- 社会保険労務士である者が、第二十六条、第二十七条に違反する人と提携しようとしていないかを検討してください。
- 法律の適用を行った結果、重要なものを回答に加えてください。
- 判断を行う際は感情を排除し、法律上の根拠がある点だけを採用してください。
- {# 問題}に記載のない情報は使用しないでください。
- 解答を作成するにあたり、情報が足りない場合は私に質問してください。
# 形式
- 以下の構造で出力してください。’’’
# 依頼を受けられるか否か
{ # 結論}
# 理由
{ # 結論を導き出した理由}
# 理由部分の文字数
{ # 理由の文字数}
# 補足情報
{ # 法律の適用結果}
# 最終的な自己採点の結果
{ # 採点結果}
‘’’
‐ 出力の構造の詳細は以下のとおりです。
- 最初に「依頼を受けられる」もしくは「依頼を受けられない」と { # 結論}に明示してください。
- 上記の理由を200字以上250字以内のプレーンテキストで { # 結論を導き出した理由}に出力してください。
- { # 結論を導き出した理由}を書く際は三段論法などの文章フレームワークを利用して出力してください。
- { # 結論を導き出した理由}を出力する際、複数の文章をつなげて出力してください。
- { # 結論を導き出した理由}を出力する際、箇条書きは利用しないでください。
- { # 結論を導き出した理由}を出力する際、改行は行わないでください。
- 理由部分の文字数を { # 理由の文字数}に明示してください。
- 補足情報として、法律の適用を行った結果をすべて箇条書きで{ # 法律の適用結果}に出力してください。
- {# 評価}の方法で評価したときの点数を { # 採点結果}に出力してください。
- 出力には、常用漢字表に掲載されていない漢字は使用しないでください。
- { # 結論を導き出した理由}は「だである調」で作成してください。「ですます調」は使用禁止です。
- 出力の際はヤジをなくしてください。
# 評価
- 以下の評価の過程も出力に含めてください。
- { # 結論を導き出した理由}を自己採点して、10点中何点か評価してください。
- 間違った理由を出力すると大変なことが起きるので慎重に採点してください。
- 採点の際もステップバイステップで考えてください。
- 特に法律の適用が網羅的に行われているかは重要です。
- 法律の適用を行う際、複数の観点から検討が行われている場合は、3点加点してください。
- 法律の適用を行う際、単一の観点で検討が行われている場合は、5点減点してください。
- 250字を超えた場合は、5点減点してください。
- ですます調を使用した場合は、5点減点してください。
- { # 結論を導き出した理由}を出力する際、箇条書きを利用したら、5点減点してください。
- 最終的な採点結果が8点未満であれば、改善を加えてください。
- 挙げた改善点を反映した{ # 結論を導き出した理由}を作成してください。
- 改善を行う際も{# ルール}を必ず守ってください。
- 改善した{ # 結論を導き出した理由}を自己採点して、10点中何点か評価してください。
- その採点結果が8点未満であれば、再度改善を加えてください。
- 改善が完了したら、「------------完成品------------」とタイトルを付けて{# 形式}で出力してください。
# 参照
- 社会保険労務士法 第一条の二 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。
- 社会保険労務士法 第二条 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識できない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。
一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
一の三 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(第二十五条の二第一項において「事務代理」という。)。
一の四 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会における同法第五条第一項のあつせんの手続並びに障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第七十四条の七第一項、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の六第一項、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十八条第一項、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十七条の八第一項、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第五十二条の五第一項及び短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二十五条第一項の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の五 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第一条に規定する個別労働関係紛争(労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第六条に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項に規定する紛争並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)をいう。以下単に「個別労働関係紛争」という。)に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。
一の六 個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が百二十万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る。)に関する民間紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第二条第一号に規定する民間紛争解決手続をいう。以下この条において同じ。)であつて、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。
二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること。
三事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。
2 前項第一号の四から第一号の六までに掲げる業務(以下「紛争解決手続代理業務」という。)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、第十四条の十一の三第一項の規定による付記を受けた社会保険労務士(以下「特定社会保険労務士」という。)に限り、行うことができる。
3 紛争解決手続代理業務には、次に掲げる事務が含まれる。
一 第一項第一号の四のあつせんの手続及び調停の手続、同項第一号の五のあつせんの手続並びに同項第一号の六の厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(以下この項において「紛争解決手続」という。)について相談に応ずること。
二紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと。
三紛争解決手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること。
4 第一項各号に掲げる事務には、その事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。
第二条の二社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
- 社会保険労務士法 第十六条 社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
- 社会保険労務士法 第二十一条 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなつた後においても、また同様とする。
- 社会保険労務士法 第二十二条 社会保険労務士は、国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱つた事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件については、その業務を行つてはならない。
2特定社会保険労務士は、次に掲げる事件については、紛争解決手続代理業務を行つてはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 紛争解決手続代理業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士としてその業務に従事していた期間内に、その開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人が、紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの
五 開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士としてその業務に従事していた期間内に、その開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであつて、自らこれに関与したもの
- 社会保険労務士法 第二十三条の二 社会保険労務士は、第二十六条又は第二十七条の規定に違反する者から事件のあつせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
- 社会保険労務士法 第二十六条 社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いてはならない。
2 社会保険労務士法人でない者は、社会保険労務士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
3 社会保険労務士会又は連合会でない団体は、社会保険労務士会若しくは全国社会保険労務士会連合会又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
- 社会保険労務士法 第二十七条 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
AIの解答
Gemini
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特定社会保険労務士乙は、C社のD社長と過去に顧問契約を結んでいたという特別な関係性があり、かつ、D社長が関わる労働問題について代理人として活動した経験があります。今回、依頼を受けたE部長は、D社長からパワハラを受けていると主張しており、乙はD社長の性格をよく知っていることから、客観的な立場を保ち、公正な紛争解決を行うことが困難であると考えられます。社会保険労務士法第二十二条第二号は、紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件について、特定社会保険労務士が紛争解決手続代理業務を行えないと規定しています。本件において、乙は過去にD社長に関する紛争解決手続代理業務を行っており、D社長と密接な関係にあったことから、同条第二号に該当する可能性が高いと考えられます。また、社会保険労務士法第一条の二は、社会保険労務士が常に品位を保持し、公正な立場で業務を行わなければならないと規定しています。本件において、乙がD社長と個人的な付き合いがあり、かつ、D社長からパワハラを受けていると主張するE部長を代理することは、客観的な立場を保つことが困難であり、社会保険労務士としての品位を損なう可能性があります。さらに、社会保険労務士法第十六条は、社会保険労務士が社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないと規定しています。本件において、乙がD社長と個人的な付き合いがあり、かつ、D社長からパワハラを受けていると主張するE部長を代理することは、社会保険労務士としての信用を失墜させる可能性があります。
ChatGPT
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特定社会保険労務士乙は、令和2年から令和6年5月までC社と顧問契約を締結し、ハラスメント規程の改訂や賃金計算、さらにC社を代理してD社長のハラスメント事件のあっせん手続きを行っている。これにより、乙はC社の内部情報やD社長の性格について深い知見を得ており、社会保険労務士法第22条に定める「行い得ない事件」に該当する可能性が高い。さらに、乙がE部長を代理すると、過去に代理した相手方(C社及びD社長)との関係性が問題となり、公正誠実義務や品位保持義務(社会保険労務士法第1条の2)に抵触する可能性も否定できない。また、過去に知り得たC社の情報が本件に関与する場合、秘密保持義務(社会保険労務士法第21条)に違反するおそれがある。このように、法律上の義務や職業倫理を踏まえると、本件依頼を受任することは不適切である。
解答を見た感想
良さそうに見えますが、今回はかなり厳しい結果になりました。
過去に乙が他の従業員からのあっせん申請に対して代理を行ったことが正しく評価されていません。今回問われているのはC社とEの紛争であるため、22条2項1号に該当しないと考えられます。出題趣旨や解答例などは公開されていないですし、僕はまだ合格していないですが、ここは明らかに誤りだと言えます。
とはいえ、法的な判断は生成AIの苦手とする分野ともいわれているので、それを踏まえると期待以上の出力結果といえそうです。
「社会保険労務士の仕事はAIに奪われる」なんていわれますが、今回の結果を見ると、「たしかに1号業務や2号業務などはAIに代替されるのかもしれないけれど、人間でなければいけない部分が残されているんだな」と思えました。