ACVI雑考: 何故ヴェスパーの紅一点:メーテルリンクは見殺しにされたのか
ヴェスパー隊とメーテルリンク
独立傭兵の諸君!ACVIは楽しんでいるだろうか?
本作はアーマード・コア、ひいてはフロム・ソフトウェアとしては分かりやすいストーリーラインとキャッチーな登場人物がお出しされ、発売日以来、日夜X(Twitter)を賑わせている。
星外企業アーキバスの直属部隊ヴェスパー隊の皆も、戦友ラスティと上長スネイルを除けば1ミッション程度しか直接の出番がないにもかかわらず、キャラ立ちしており人気である。その中でも今回取り上げるのは、「V.VI メーテルリンク」だ。
このメーテルリンクは男所帯のヴェスパー隊の紅一点であり、声優さんが『水星の魔女』のミオリネ・レンブラン役のLynnさんということで、話題性に事欠かない要素を持っているが、中でも最初で最後の登場となる「集積コーラル到達」における不憫な扱いが有名だ。「メーテルリンクちゃんはなぜ見殺しにされたんだ…」という嘆きの声も多い。今回はこのテーマを考察もとい妄想していく。
不憫な紅一点
「集積コーラル到達」はコーラル争奪競争のゴール地点、ルビコン技研都市の地底湖を目指すミッション。その道中で621はアーキバスMT部隊を率いて技研の防衛兵器と戦闘する「V.VI メーテルリンク」・「G3 五花海」の両名と遭遇する。
彼らは技研のザコ兵器と遭遇戦に陥っているようだが、ビルの屋上から眺めていると両ACが遠くからリニアライフルでチクチクされながらスタッガーしている様子が見受けられる。当のメーテルリンクも、スネイル第2隊長閣下に増援を要請しているので、相当苦戦している様子。恐らくこの部隊は技研都市に向けての先行部隊であり、偵察辺りが主任務。あるいは621の発見後は挟撃を想定していたのかもしれない。
そこに急襲する621。独立傭兵の襲来を見て彼女はすぐさま救援を要請するも、それは届くことなく…哀れメーテルリンクちゃんは爆散。要請は最後まで黙殺され、断末魔はスネイルへの純粋な疑問であった。(なお取り巻きを全て排除して1VS1になっても返答はない)
スネイル閣下の主目的
「V.II スネイル」閣下については、621たちからは罵倒されつつも愛すべき中間管理職として親しまれているが、ARENA紹介文やメーテルリンクちゃん見殺しについては許されざること扱いされている節がある。
しかし、今回注意しなければならないのは、本ミッション(3周目ALT含め)の最後で明らかになるように、スネイルが受けている命令はコーラルの確保と、アーキバスに先んじてコーラルに唾つけようとする駄犬の無力化であること。
例えばアイスワームが半世紀以上経っていても稼働していたように、集積コーラルには稼働中の防衛兵器が存置されている可能性もある。できればこれは手札(ヴェスパー隊等)を浪費せずに排除したい。
慎重を期すスネイルの性格を考えれば、集積コーラルへの露払いを621に任せた上で、油断したところをビリビリさせるというのがベストな選択肢であったと妄想できる。そもそも既にアーキバス一強の現在、消耗した駄犬一匹程度なら潰せると判断されてもおかしくない。
そのため、苦戦中の2機のACとMT部隊に救援を出すというのは、露払い役である621を先行き不明な中で必要以上に消耗させる行為となる。加えて現在進行形で爆散していく部隊に対してのそれは、戦力の逐次投入による浪費にほかならない。
そもそも、この状況において近傍のMT部隊(とスネイル)を救援として投入すれば、それは潜伏中のスネイル&621捕縛部隊が、ハンドラー・ウォルターに露見することになり、621により排除されることに繋がりかねない。
五花海という屑
(ここからより妄想です)
ここまで、メーテルリンクに救援が差し向けられなかっただろう背景を妄想してきた。これについては概ね理解が得られただろうと思うが、ここで一つ疑問が出てくる。
「ではなぜ、メーテルリンクはそもそもここに派遣されたのか」。集積コーラルへの露払いを621にさせ、最終的に捕縛するのであれば、AC2機とMT部隊を投入する必要性や動機は弱まるはずである。
ここで思い返すべきなのが、メーテルリンク以外にも見殺しにされたかわいそうな…いやまったくそうでもないおともだちである。
「G3 五花海」…いや元G3、「五花海(ウーファーハイ)」。慎ましやかに暮らす一般民衆の敵であり、真正の屑である。
気の流れを読むことに長けた五花海は、生き残るためにアーキバスに鞍替えした。レッドガンへ入隊したことも、ナイルに叩き潰された際に生き残るための選択だったのだろうから、ここで勝ち馬に乗ったのは彼にとって当然のキャリアステップだったはずだ。
アーキバスに与する際の手土産として、ベイラムやレッドガン部隊そのものや内部情報を売ったことは想像に難くないが、しかし正直それだけでは足りない。五花海は依然として外様であり、621の首級を持ち帰ることで手柄を立てなければ、彼の立場は依然として危ういだろう。
V.Ⅰフロイトを初めとした扱いにくい「部下」に頭を抱えているスネイル閣下としては、五花海のような問題児を増やすのは得策ではない。
断末魔にまで反映される企業人である閣下にとっては、社内政治の観点から見ても、情報セキュリティ・ガバナンスの問題から見ても、裏切り前科持ちの五花海を身内にするのは大きすぎる弱点でしかない。そもそも前述したようにコーラル争奪戦が半ば終了し、アーキバス一強となった今、戦力拡充は無意味である。
哀れな舞台装置
とはいえ、丁寧なお仕事がお好きだろう閣下、五花海の情報はありがたく頂き、少ない損耗でベイラムは叩き潰されたのだろう。しかしその瞬間、五花海の価値はその時点で消失した。ではどうする?
排除するしかあるまい。弱み(あるいは敵)にならない内に。
とはいえ、謀殺には然るべき環境と状況が必要。ベイラムも解放戦線も死に体の今、偶然の死を期待できる大規模作戦は発生しえない。露骨に死地に少数で送ろうとすれば、五花海は勘づいてうまく立ち回るかもしれない。下手人を用意するのは、目的に反する。
そこに運よく、621の通り道になるかもしれない、コーラル技研都市という舞台が用意されたのである。企業を出し抜こうとする独立傭兵はサラリーマンであれば排除しなくてはならず、更なる貢物を必要とする五花海としても、621との対決は避けられない。恐らく621なら五花海を下すだろう。
しかしヴェスパーでもない五花海が、単独でアーキバスMT部隊を指揮して先行部隊を運用するのは不自然である。危険地帯に行くというのに、バディの1人も出さないというのも五花海を不必要に警戒させる。
であるから、五花海にはヴェスパー隊のメンバーを付けて安心/油断させなければならない。メーテルリンクも、愚鈍ではないだろうが社命に忠実な人物であり、断ることはないだろう。彼女はこの抱きあわせに適任であった。
他のヴェスパーなら、嫌がるか反発するだろうし、露骨に反感を買うだろうが、彼女は忠実であるが故にいいように使われてしまったのだ。この仮定が事実だとして、一連の理解を他の隊長たちがしていたのであれば…。
うん、やはりアーキバスは陰湿だな、就職するなら竹を割ったようなベイラムにすべき。
まとめ・後記
スネイルが受けた社命はコーラルの確保と621の無力化
アイビスシリーズを排除しコーラルを確保する際には、621という露払いがあると便利
つまり現時点では621を排除してはならないし、621の捕縛を気取られてもいけないため、増援は送れない
加えて621に五花海を暗殺してもらいたいので、やはり増援は送れない
メーテルリンクは五花海を暗殺するための舞台装置にさせられた哀れな社会人
今回は所謂フロム脳を始めて回転させたnoteを書くことになった。後半は完全に与太話になってしまったが、これがどこかの誰かに届き、面白がってくれることを期待するのみである。
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