カメラマン雑記 - スクフェスニセコ2024 -
今年からアジャイル札幌のメンバーとしてスクフェスニセコの運営に携わった元野良カメラマンの参加レポートです。毎度のことながらaki.mさんのブログに助けられながら書いてます。
トップ写真は帰り道に晴れた羊蹄山のiPhone写真です。
オープニングまでの移動 + お昼
今年も札幌からニセコまでは前職の先輩のやまもとさんの車で移動しました。aki.mさんが函館からエクストリームな移動をして合流してきたという衝撃的な話を聞きながら楽しく移動してました。会話の詳細はaki.mさんのブログにお任せします。
会場についてからは受付設営したりカメラ設定の調整など運営のお仕事をしてからお昼に向かいました。
お昼はホテル近くの高橋牧場のピザを食べました。人数いるから全種類いけるよね?というノリで注文してしまいましたが、aki.mさんの頑張りで完食できました。お昼を食べながらチーズにはちみつは相性がいいという話、個人的美味かったピザランキングをつけていて同率1位が出たけどバックログじゃないから優先度で決めなくていいという話、RSGTのチケット販売の時間だったので売れ行きを実況したり、チケット「争奪戦」にしたくない、しない方法など話してました。
永瀬さんKeynote
ryuzeeさんのスクラムクイズの話から始まり、ただ繰り返し開発していればいいという誤解がよくある。そもそもアジャイルは二分されるものではなくグラデーションがあるということをThe Agile Quadrantsを引用しながら説明されていて、わかりやすい整理でいいなと思いながら聞いてました。
ただ繰り返し開発していればいいわけではなく、スプリントレビューから逆算してユーザー体験を考えることで素早く動けるようになるのでは?という話をしていました。RSGTの運営メンバーの中でも議論に衝突することはたびたびあるらしく、合意しないことに合意する価値観を持つことで合議制と比べ早く価値にコミットしていっているという具体例もありました。
価値観の話からスクラムの確約とは?という話になっていきました。約束というほどふわっとしてニュアンスではないが、他者から強制できるわけでもなく自発的に出てくるものということでした。スクラムクイズのスコープを確約するわけではないことから成果の保証ではないという話や、スクラムガイドの原文でも「is committed」ではなく「commits」となっていて、自発的ニュアンスがあるとのことで生成AIと壁打ちして出てきたものが「主体的に取り組む」「決意する」という言葉で悪くないのでは?と話していました。これを聞いた時ニュアンスとしてはわかるものの結果に対して責任がまったくないわけでもないしなーと咀嚼しながらもやもやする気持ちもありました。その後 Bluesky でも議論されていて、角さんの「失敗を許容する文化がある前提で、結果責任を取るべきみたいなニュアンス」「「確約 = 約束 + 尽力」みたいなイメージなので、Commitment is not just a promise」という表現が腹落ちしそうだなと思いました。
コミットを他者に強制するものではないがコミットしろよと思ってしまうことはあるよねという例を出しつつ、他者のコミットメントが気になってしまうときはエンゲージメントが低いのではないか?という話になっていきました。なのでギャラップの12の質問など使って見れるようにできるといいのかもという話をしていました。
最後のほうではスクフェスニセコはOSTが多くコミットする練習の場としてちょうどいいのでぜひ実験してみてほしいという締め括りでした。
Day1 OST
カメラマンとして撮影のために転々としながら気になるところに居座るような動き方をしていたので、ところどころ議論が抜けてますが印象的なものをピックアップしてます。
非アジャイル開発にもアジャイルを!
アジャイルな価値観を醸成できてない組織にアジャイルを取り入れていくための工夫について話していました。アジャイルという単語が出てきた時点で身構えられてしまう話や最初から大胆にフレームワークを導入しようとするのはリスクが高いし失敗してしまったら次から身構えられてしまうという意見が出てきました。私の経験として「個人として困っていることがあるから助けてほしいと相談する」 > 「ほかの人がどう思っているのか聞いて一緒に解決していく取り組みをしていく」 > 「解決したもののヒントになったのが実はアジャイルだったんだよ」という進め方が効果的だったという話をしました。特に発案者である自分以外の味方がいるだけでも精神的な負担が全然変わってくることから協力者を探すのが大切かもねというまとめになりました。
チームビルディングのコツ
イチから作られてチームのチームビルディングと既にあるチームのチームビルディングでも使えるものが違うという話していました。ググるとよく出てくる偏愛マップなどは長くいるメンバー同士では今更感があり効果が薄いなど状況によって取れる手段が変わりそうという話をしていました。共通で使えそうなコツとして少人数で話せる場を作ることは効果的になりそうという話をしていました。大人数だと話せない人も3人程度の少人数な場だと話してくれることも多いという実体験に共感の声が集まってました。
xx にコミットメントする/してる
個人でも仕事でもコミットしていることについて話していました。毎日一行日記をつけていると何気ない日常からちょっとしか変化を見つける特訓になり役立っているという話を聞き、なるほどなー自分は三日坊主で終わってしまいそうという感想を持ちつつもよさそうだなと思って聞いてました。その他には怒らないことについて盛り上がっていました。感情的なものはどう頑張ってもあふれ出てしまいそうだけどどんな工夫をしていますか?という話になり、「お前とはやってられない」という強烈な一言を言われてからたばこで一服して自分から謝罪してから対話してうまく分かり合えたという経験を話されていて、アンガーマネジメントのテクニックとして自分に効果的なパターンがあると意外と頑張れるという話を聞いて、とてもすごいなーと思ったとともに自分にはそういうパターンはまだ見つけられてないのでちょっと考えてみたいなと思いました。
チームの言葉の意識のずれ
会話の嚙み合わなさに疑問を持ちつつも議論を進めていって数か月後に大きく認識が違っていることが発覚した経験から、どうやったらずれに気づけるのかという話をしていました。日本語はそもそもハイコンテキストなものだからずれがあるかも?と思って確認することが大事になりそうという話をしていました。話したことを書いてみることでずれに気づくことができるという話から議事録を画面共有しながら書くといいというテクニックやMTGの組み立てとして目的や前提が共有されてないものはすれ違いが発生しやすいという体験談がありました。私がやっているテクニックとして、話が嚙み合わないときは一度目は情報量を増やし補足を入れてみることが多いが、それでも改善が見られないときは議論の最初から認識を揃えるようにしているという話をしました。
夜ごはん
カメラマン仕事をしつつのご飯だったのでテーブルの人とはあまり落ち着いて話をできませんでしたが、Emiさんの国際結婚の苦労話やこうざきさんの趣味の車が思った以上にガチの話になっていたのが印象的でした。
各テーブルを回って撮影しているときに、数年前にDDDのエヴァンス本読書会で面識があった98lerrさんとご挨拶できたり去年の私の参加レポート見てとてもよかったですと声をかけてくれた方がいて、書いたものを見て参加しようと思ってもらえたのはとても嬉しいなと思ったのと同時に今年も書かねばと強く思った瞬間でした。
iOS仲間のえわさんとニセコ.swift をやろうという話をしたりtomioさんと一緒にaki.mさんの高速アウトプットを支えるものとして、聞いたことをそのまま言葉にするスキルがすごいということや、タイピング速度やネット回線などインプットからアウトプットまでレイヤーごとに必要なものがありそうという話をして盛り上がってました。
懇親会に参加できなかった話
懇親会に突入する前に温泉で一息入れようと離脱し、一度部屋へ戻った後はDay1のメモを忘れる前に書かねばと作業を始めてしまいそのまま眠気に負け寝てしまったので、部屋飲み懇親会に参加できなかったのが心残りでした…
神崎さんkeynote
RDRAの話に入る前に要件定義で起きていることとして、要件定義をガントチャートベースで進めてしまうと個人ワークの進め方を促進してしまうリスクがあり懸念があるという話、ビジネス側と共通言語で会話できるものがなく誰も関心を持ってないところで障害が起きてしまう話、暫定の仕様が積みあがっていった結果どこまでが意図して決めた仕様でどれが暫定で決めた仕様なのか後でわからなくなってしまう話が印象的でした。そうしたことを解決するために関係性を意識しながら整理した情報をもとにみんなで議論しつつブラッシュアップする仕組みとしてRDRAを考案したとのことでした。
RDRAの基本的な考え方としてシステム価値/システム外部環境/システム境界/システムのレイヤーがあり、それぞれのレイヤーで認識を擦り合わせながら進められるようになるとのことでした。
RDRAのスプレッドシートを使い、アクター、外部システム、情報、状態などの要素を整理しながらRDRAGraphを使って図を作るのをツールで自動生成される様子を見ていました。
ここまでの話を聞いて、システム全体を図で整理できるとエンジニア以外との認識擦り合わせも捗りそうだし、認識のずれをレイヤー単位で修正していけるのは業務のヒントになるかもなと思いながら聞いてました。
手戻りの少ない繰り返し開発をするためのプロダクトバックログとして、RDRAで整理したビジネスユースケースやコンテキストが単位としてちょうどいい粒度になり、スプリントバックログとして画面、イベント、情報、状態管理などが要素が適切な粒度になるということでした。また、プロダクトバックログを導き出すステップとして、コンテキストや状態モデルからユースケース、ビジネスユースケースを探索して導出する方法について説明されてました。
RDRAによって整理した要件定義を使っていつ開発を進めるかという話になり、議論のベースを作る、要件を組み立てる、ビジネスルールで仕様化可能にする、の3つのフェーズから自分たちで選んでいけるとのことでした。
応用としてLLM+RDRAの話になっていきますが、前段の話としてLLMの出力結果について責任を持てるかという問いかけがありました。LLMはプロジェクトの個別の事情を知らないため最適なものである保証はなく、LLMの出力を正しく理解できるかなど注意が必要だと話されていました。これらの話はコード生成でも同じでわかるなーという感想になりました。
LLMは議論のベースを作るフェーズ1を支援するためのツールでRDRAZeroOneというツールを使って実際に動くものを見ながら説明されてました。ぱっと見で良さそうに見えてしまうLLMの出力結果をGraphで可視化することで関係性がおかしくなっていないかなど自分たちで修正していけるとのことでした。
LLMを使うことの目的として、最初の要件定義に時間をかけすぎないようにしてみんなで議論するまでのリードタイムを短くしたいという意図があるという締め括りでした。
モバイルエンジニアとして聞いたときに、考え方はとても参考になり部分的に活かせる考え方は多かったが、ツールとして導入はしないかなーという感想になりました。モバイルだと画面や状態がコアドメインになることも多く、エンタープライズシステムと比較したときに関心ごとの主領域が違うのでそのままの適用は難しいかもと思いました。
keynoteが終わった後神崎さんにRDRA2.0ハンドブックにサインをいただいたり、RDRAツールの完成時期やその際にLLMのAPIキーを差し込めるようにすることで機密情報の入力の問題なども回避できるようになることなど今後についてお話ししました。
ランチでのニセコ.swift
えわさんと話すならここしかないということで厳しい1on1が開催されました。iOSDC以降のお互いの近況を話したり、TCAを導入してよかったことや微妙だったことについてだったり、SwiftUI + SceneDelegate でバグったトークで盛り上がってました。気づいたら午後のOSTの時間になってしまうくらい体感時間が短く充実した時間でした。
Day2 OST
メタスキルについて
野良OSTとなっていたテーブルでメタスキルについて話していました。メタスキルのメタってどういうことかわかりづらいという話で稲野さんがファシリテーションなどのスキルを支えるスキルがメタスキルという捉え方をしているという話を聞いてとてもわかりやすい例えだなーと腑に落ちてました。メタスキルを使う時に帽子を被るとはまた違った感覚があるけどどういうことなんだろうという話をしたり苦手なメタスキルを意識的に練習するのかなど盛り上がってました。
クロージング
カメラマンとして集合写真を撮ると思いきや急遽自分も写真に入ることになりスマホのタイマー周りであれこれ慌ただしく集合写真を撮りました。
去年と同じくらい初めての方が参加してくれたり去年以上に道内参加者がいえて運営の狙い通りになってくれてよかった話などをしながら締め括りました。
札幌までの移動
行きと同じくやまもとさんの車で移動しました。
カーナビの案内が遅く7km近く戻ることになったり、鹿が道路を横切って急ブレーキをすることになるなどのハプニングがありながらの移動でした。
懇親会 at 札幌
やまもとさんがdiscordで飲む人募集をしていて、そこに集まった人たちでわいわいしました。Cybozuの人たちが同じホテルにもかかわらず別々に移動していて、えわさんが待機中に連絡が取れず遅刻するというチームワークが心配?な事件が開幕早々ありました。えわさんがシメパフェに行きたいという要望からシメパフェはそもそも地元人はあまり馴染みがないという話や沖縄のシメステーキは地元民に定着していて夜中におじいちゃんも食べている話で盛り上がってました。また、とうまさんがアルコール度数が高いほど酔えるからコスパがいい?という尖った話をしていたり、おすすめのラーメン屋でやまもとさんが一癖あるお店ばかり紹介していてツッコミを入れたり楽しい時間を過ごしました。
えわさんratoさんシメパフェ組とお土産用のお酒を買いにいく組でわかれて、近くのシメパフェがあるお店に向かい、ちょっとした行列に並びながらRDRAの話を聞いてどう思った?という感想戦をしたり、お店に入ったらiOS界隈で話題になっていたシングルトンのお酒と遭遇してえわさんと盛り上がりつつratoさんにiOSDCのシングルトン怪談話をして盛り上がりました。女性客ばかりの空間でおっさん3人スイーツをつつきながらソフトウェア開発の話をする異様な集団になっていたでしょう。
カメラマン的なふりかえり
去年は近距離用のレンズしか持っていかず照明の明暗で苦しんだ反省を活かし、望遠レンズを持って行ったところ狙い通りの絵が取れるようになったので一番重要な仕事は果たせました。会場がそこまで広くないのでふらふらしながら撮影していても5000歩程度なのでほぼ負担を感じず、自身もOSTに参加する余裕があるくらい気楽に動いてました。その結果Day2のOST写真を撮ってないミスが発覚しましたが…全体として参加者の邪魔にならないカメラマンとして動けていたと思います。
ホテル部屋の都合で雲海の羊蹄山が撮れなかったのは個人的な心残りです。悲しい…
まとめ
去年と違い相談したいテーマを持ち込まず、興味のあるテーマに混ぜてもらうスタイルで参加しましたが、その中でも業務に活かせそうな学びがありとても充実した時間でした。