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幸福の青い鳥は何処にいる?
皆さんは青い鳥と聞いてどんな印象を持ちますか?
幸せの象徴? 追い求めても掴めないもの?
2014年3月に ”かみさまとのやくそく” という映画を観ました。
胎内記憶を語る子どもたちをテーマにしたドキュメンタリー映画です。
映画の中で今でも印象に残っているのは、子どもたちの記憶にある、生まれる前にいた場所の様子が、
メーテルリンクの童話 ”青い鳥” の一場面 である”未来の王国” にとても良く似ていると感じた事です。
私が青い鳥の物語りに初めて出会ったのは、大抵の人がそうであるように、幼少期の童話の絵本だったと思います。
幸福の青い鳥を探して幼い兄妹チルチルとミチルが光の精に導かれながら冒険の旅にでる。というストーリー。
けれども、どこに行っても青い鳥は見つけられず、失意の中、家に帰って来るチルチルとミチル。
すると、鳥かごで飼っていた鳥が青く変わっているのに気付く。実は幸福の青い鳥は身近なところにいたと言う結末。
絵本を読み終わった私は、子ども心にもこの結末に納得がいきませんでした。今まで危険な目に遭ったり、怖い思いをしながら探し続けた青い鳥と、このかごの中にもとからいた青い鳥が同じ物とは到底納得できなかったのだと思います。
青い鳥を探している時の期待感と希望が入り混じったワクワクした気持ちが、実は、家で飼っていた鳥だったと言われても、どうせ手の届かないものを追い求めるより手近な所で我慢しなさい。と大人の価値観を押し付けられて無理やり諦めさせられたようなガッカリ感と肩透かしの後味の悪さしかありませんでした。
それからもう少し大人になった二十歳の頃、私は劇団四季のミュージカル「青い鳥」と出会いました。
観客としてではなく、演者として。と言っても劇団員になった訳では無く、一般市民向けのワークショップに参加したのです。
そこでメーテルリンクの青い鳥の原作が実は戯曲であり、子ども向けの絵本では味わえない深さと面白さがある事を知りました。
さすがはノーベル賞作家といったところです。
せっかく捕まえた青い鳥は死んでしまったり、色が変わってしまったり、どれも本当の青い鳥ではありませんでした。真実の幸福とは何なのか? どうすれば掴むことが出来るのか? という永遠の哲学的テーマが根底にあるように感じられました。
ワークショップでは劇団員に指導を受けながらいくつかの場面を参加者で演じます。
その時に私が一番印象を受けた場面が前出の未来の王国でした。
未来の王国
そこにはたくさんの子供たちがいて、全ての子供たちは、各々地上に生まれた時に持って行く物を発明したり研究したり考えながら生まれる時を待っています。
子供たちが持って行くものは自分が発明したメロンみたいに大きいリンゴや翼もなしに鳥みたいに飛ぶ機械、寿命を延ばす薬、地上から不正を無くす、死を征服するなど地上で人類に役立つものばかりかと思いきや….。
チルチルとミチルが弟として生まれてくる子供に出会った場面で。
チルチル その袋には何が入っているの? 何か持って来てくれるの?
子 供 (とても得意げに)ぼく、三つの病気を持って行くんだ。猩紅熱 と百日咳とはしかだよ。
チルチル へえ、それで全部なの? それからどうするの?
子 供 それから? 死んでしまうのさ。
この後、時のおじいさんが登場。子供たちを地上に向かう者、ここに残る者とに振り分けて、その中には恋人同士が引き裂かれる悲哀のドラマあり。とその辺りの詳しくは「青い鳥」本編を読んで頂くということで。
「かみさまとのやくそく」の映画を観た時、胎内記憶(生前記憶) を持つ子供たちが記憶している生まれる前にいた場所の話を聞いて、浮かんできたイメージがまさにこの未来の王国の場面でした。
もしかしたら、メーテルリンクも胎内記憶(生前記憶) を持っていたのかも知れません。