【実体験】投資顧問で2800万溶けちゃった話
それまで順調だったんですけどね、コロナが来ちゃって、なにもかもおかしくなっちゃったんです。黒字で順風満帆だったはずの会社も、子会社も含めて全部赤字に転落しちゃいまして、もう、全然回復の目処が見えないわけです。
そんな中で、まずは、自分の取り分を減らしたんです。ほぼ1/3に。従業員にどうのって言う前に、こういうときは社長からですから。
もともと、毎月使い切ってたわけじゃなかったんですけど、そうは言っても、さすがに1/3で生活して2/3貯金してたわけじゃもちろんないわけですから、次の月から、今度は、家計が毎月赤字に転じるわけです。
想像してみてください。手取り30万で生活してた人が手取り10万円になったときのことを。
赤字どころじゃない。大変です。
切り詰めたらいいじゃないと簡単にいいますけどね、こちとら、家のローンだのいろいろありましてね、そもそも、減らされた手取りだと、給料もらった時点で、支払うものすら払えないんですよ。(贅沢してたお前が悪いといわれれば言い返す言葉もないんですが)
だいたい、月300万円くらいで生活してたんで、ざっくり200万くらいは最低でも足りない。コロナは何ヶ月続くかわかんないけど、手元の現金は、5000万円くらいしかないんで、単純計算すると約2年で貯金ゼロになるわけです。
こりゃ、増やすしかないなということになりまして、いろいろ調べて、自分でもちょくちょく株取引したりしてたんですが、儲けはでるものの、全然足りない。1個前の記事を読んで頂いた方はおわかりですが、そう、運用が得意な人を見つけて、お願いしてしまえばいいんだ!と結論がでまして、早速、生まれて初めての投資顧問。
手元の現金が5億あったら、債券でもいますよ。6%で回せば、2500万円くらい手残りして、月200万円。はい、解決です。となるんですが、5000万円じゃ、債券買ったところで、250万円が関の山。1ヶ月で食いつぶしちゃうわけです。
選んだのは、ずっとメルマガを読んでた人が代表をやっている投資顧問。明日の日経平均がどうなるかを無料メルマガで毎日配信している方で、毎日読んでいたのですが、これが、結構ドンピシャで当たる。終値を誤差50円で当てるなんて日もありました。
早速、問い合わせをしてみて、資金がどのくらいかを聞かれたので、とりあえず、3000万円くらいと答えると、大口コースだという。3000万円で大口??と疑問が湧きましたが、代表の方が対応してくれることになりました。
「全力さん、あなた、この3000万円、いくらにしたい?」え、タメ口と思いましたが、勢いに負けて、「1年後に1億にしたいです。」と答えると、「よーしわかった、とりあえず、1回100万円だけ指定口座に振り込んでくれ。あとは、儲けた分から20%が成果報酬だ。損させた場合は、取り返すまで、成果報酬はゼロだから。俺に任せておけばいい」
なんとも力強いお言葉。
ということで、100万円を指定口座に振り込んで、スタート。投資顧問の契約書すらなかったけど、関東財務局の登録もあるし、、まあ、大丈夫でしょう。
代表はご高齢なので、連絡はすべて電話。
それから、毎朝、電話で少しだけ話すのが日課となりました。
100万円を振り込んでから数日後、週明けから、日経がぶっ下がるから、ダブルインバースを信用で腹いっぱい買ってくれ。
「基本的に、世界の景気は、コロナでボロボロ。そこに、金融緩和や補助金を配っるなどして、市場に金をじゃぶじゃぶいれたことで、金余り状態となって、無理やり株価を上げている。しかし、こんなのはまやかしだ。どこかで金融の引き締めをしなければならないし、こんなデタラメは、必ず崩壊する。崩壊したときは、見たことがないくらいの暴落が起こる。だから、ダブルインバースを買ってくれ。」
このマクロに対する見立ては、僕の考えと一致するものだったので、納得感がありました。(これが間違いなわけですが)
ダブルインバースというのは、日経が下がると下がった割合の2倍にの割合で価格が上がるETF。暴落すると、暴騰する銘柄。今考えると、そんなに暴落するなら、プットオプションを仕込むか、先物で売りを入れた方が、レバレッジが効くのではと思うが、そのときはそんなことも思わない。レバかけてCFDでもよかったんじゃないかと思うのだけど。
7500万円分のダブルインバースを楽天証券で全力買い。あとは、日経が下がるのを待つだけ。
案の定、翌週には、日経が数百円下がり、ダブルインバースの価格は上昇。とりあえず、売りますかと聞きますが、こんなもんで売っちゃダメだ、売るときは指示するからと。売らずに待っていると、はじめは日経が下がったものの数日で、上昇に転じ、含み益から一転して含み損へ。
株でも日経でもそうですが、上昇するときも下落するときも、一直線であることは少なく、細かい上下を繰り返しながら、大きな流れの方へ行きます。上昇するときは、安値を切り上げ、高値を更新しながら上がっていきますし、下がるときは、高値を切り下げ、安値を更新しながら下がっていきます。
その後も、全体としては、日経平均は、上昇基調。その中でも下降があるので、大きく上がって、小さく下げて、大きく上がって、小さく下げての繰り返し。どんどん含み損が増えていくので、だんだん不安になりますが、チャート的には、暴落のためのエネルギーをためているから、これは、下がるときは速いとおっしゃいます。確かに、その後何度か、日経が1日で1000円近く下がるタイミングを何度も当てるのですが、結果、数千円下げたところで、決済するわけではなく、また、ダラダラ、時には、どーんと上がって、元値より大幅に上昇してしまいます。
ダブルインバースは、日経平均と逆に動くので、例えば、日経平均が1日に2%上がると、4%下がり、逆に日経が2%下がるとダブルインバースは4%上がります。買ったときより、日経平均が数千円上がっている頃には、すで1000万円以上、所有しているダブルインバースの価値が下がっているわけです。
しかも信用取引で買っているので、ざっくり3倍買っているわけです。日経平均が1日に1%上がると、ダブルインバースは2%下がりますが、信用で買っているので、レバレッジは3倍なので、投資元本に対しては、6%が下がることになるわけです。あっという間に、信用保証金維持率は、割れていきます。となると期限までに保証金を追加しないと強制的に反対売買されて、損して終了になります。
当初2500万円で、7500万円のダブルインバースを買いましたが、この場合、証拠金が1500万円を切ると、追証がかかります。つまり、含み損が1000万円を超えると、その分を追加で入れないといけません。例えば、含み損が1020万円の状態で引けたとすると、翌々営業日の12:00(正午)までに20万円を入金しないと、その時の時価で強制決済されていまいます。例えば、含み損が出たときと同じ価格で強制決済されてしまうと、−1020万円の損が確定して、結果、1480万円が手残りとなります。
ここでちょっとしたマジック(というより、ただの負け犬の心理)がありまして、実際には1020万円すでに損している状態なのですが、追証はあくまで20万円だけです。それを2営業日後までにいれれば、追証は解消されますが、20万円だけいれると、翌営業日移行、1円でも所有証券の価格が下がれば、また、追証がかかるので、40万円とか50万円いれておけば、ちょっとだけ安心できます。
どうしましょうと相談すると、正直、数日耐えれれば、戻るから、40−50万円入れておけば、大丈夫といわれます。たったの40−50万円で、1000万円の損が確定しないのであればと、40−50万追加で入れます。実際、その後、少し含み損は膨れたものの、2−3日後には、日経平均が反落して、ダブルインバースの価格が持ち直すので、一旦安心するわけです。
ですが、その後日経平均がバブルの最高値を更新していくように、上昇相場だったので、しばらくすると、また、日経平均が大きく上昇して、ダブルインバースの価格は下がり、追証がかかります。そして、また、50万入金をして、一旦は解消されるものの・・・という感じで、含み損が1500万円を超えます。なんどもこれを繰り返している中で、また、追証がかかったとき、こんなにこまめに50万円ずつ入れているのでは、資金が間に合わないと、相談をすると、一旦、決済して、安い価格で買い直そうということになりました。
投資しているお金は当初の2500万円に追証で50万円ずつ入れ続けて、3000万円まで増えています。一旦売却すると、1500万円の損が確定して、手元には、1500万円が戻ってきます。その1500万円で、4500万円分のダブルインバースを買い直しました。ここで、一旦、日経は落ち着き、数百万の含み益になったので、ここで一回売ったほうがいいかを相談したところ、「こんなところで売っても、1500万円の足しにはならない、もっと、日経が大暴落するから、そこで一気に返そう」と言われ、一旦、売るのをやめました。
これで、日経が暴落して、ダブルインバースが再び上昇・・・となればよかったのですが、日経平均の上昇基調は続きます。一旦、下落に転じたと思われた日経平均は、再び上昇を始め、含み益は消え、またもや、含み損へ。すでに日経平均は、1万円近く上昇し、ダブルインバースは、含み損が600万円を超えて、再び追証が発生し始めます。今度は、規模が小さくなっているので、毎回30万円を入れていきますが、追加で入れた保証金が300万円を超えたくらいのときに、再び、売却をして、買い直します。
元本1800万円に対して、含み損は、900万円。反対売買をすると、900万円の損が確定して、手残りは、900万円です。トータルの損金は、すでに2400万円、はじめに用意していたお金はほぼすっからかんになった計算です。
もうそろそろ、下がってもいいだろうと(半分ヤケクソですが)もう一回ダブルインバースを目一杯購入します。900万円を証拠金に、2700万円分。
ここまで上がったのだから、そろそろ、暴落するだろう。アメリカの金利もとんでもない金利になっている。世界は金融引き締めに動いている。日本はまだマイナス金利だったけど、日経平均は大半は「ガイジン」が動かしているので、ガイジンが金融引き締めで引いたら、日経平均は暴落するはず。
この「はず」が外れたときに、一旦撤退するのが投資の鉄則なわけですが、今考えると、損を取り返したい一心で、投資顧問のもうそろそろだからを信じようとしてしまっていたのでしょう。もう、いい加減日経平均が暴落してくれ。祈り始めたら、投資は終わりです。
さて、3万円が天井だと思われた日経は、その後、最終的には4万円を超えるわけですが、3万円を切ったりしながら、最後には力強く上昇していきます。
含み損が360万円を超え、証拠金が540万円=2700万X20 %を切ったとき、何度目かわからない追証がやってきます。さすがに、もう、諦めるしかないと思いました。どこかで崩壊する可能性はあるものの、米国は高金利の中、力強く株価は最高値を更新していますし、円安で割安に映る日本株には、ガイジンの投資マネーが大量に入り続けています。
もはや、ここまでと思い、追証をいれずに、自ら反対売買をして、終了。
当初投資した額が2500万円、追証でいれたのが900万円、トータル3400万円。手元に残ったのが、540万円ですから、−2860万円。
この投資で、2860万円をほぼストレートに失いました。
初期の顧問料の100万円を加えると、2960万円、ほぼ3000万円ですね。こんなことなら、ベントレーのベンテイガでも買っておけばよかった。ベントレーは、中古価格が早く下がることで有名ですが、それでも半額の価値は維持していたでしょう。
この話は、投資顧問が詐欺だったという話ではありません。
彼らの儲けは、初期の100万円だけで、その後、2−3年は、アドバイスをしていただけ。ただ、彼らには今の相場を読む能力がなかった。
よく、投資顧問のことを、そんなに儲かる能力があるなら、他人になんか教えず、自分のお金で投資して儲けるはずだから、投資顧問なんて信じられないと言う方がいらっしゃいますが、それは、ずいぶん極端です。世の中には、いろんな人がいるので、能力はあるけど、手金が全然ないのかもしれないし、限られた手金はあるけど、増やすペースは緩やかすぎるので、他人のお手伝いをして、儲けから手数料をもらった方がいいとか、そもそも、自分はすでに儲かってお金持ちになっているけど、人にアドバイスがしたいとか、儲けられる投資顧問なんてないと決めつけるのはよくないですよ
真実としては、投資顧問には、2種類の投資顧問が存在して、儲けられるアドバスができる当たる投資顧問と、儲けられるアドバイスができないハズレる投資顧問の2種類。ただ、この2種類は入れ替わることもあるし、中には、負け続けるところと勝ち続けるところがあるということ。ただ、これだけが真実だと思います。
投資家に、ある時点で儲けられる投資家と儲けられない投資家がいて、その2つは時期によって入れわかることもあるし、中には、ずっと勝ち続けている投資家と、ずっと負け続けている投資家がいるということと同じです。
今回の敗因は、投資顧問にあるのではなくて、僕が勝馬を見極めることができなかったこと。勝馬だと判断して乗っかって、ダメだと結果が出たときにも、そのまま、下りずに乗り続けた。むしろ、負けていることを認めたくなくて、彼の前向きな言葉にすがっていただけ。
他力本願で行くなら、勝馬を見極めて、勝馬に乗る。ダメだと思ったら、一旦、損を認めて、乗り換える。ベントレー1台分のお金を使って僕が学んだことはこれです。
うーむ、なかなか高い授業料でした。