ビジョナリーカンパニーを読んでみた
同僚に1年ほど前から勧められた「ビジョナリーカンパニー」。
何度もトライするも、どうも研究レポートのような文章が苦手で、数ページ読み進んではこっくり。また読んではこっくりこっくりを繰り返し、半月で挫折してしまいました。
が、昨今の在宅ワークでできた隙間時間に読破しようと心に決め先月から再挑戦!!
多少飛ばしちゃった部分はありますが、ようやく読み終えることができたので、自分なりに内容をまとめました。
「ビジョナリーカンパニーってなんぞや?」
未来志向(ビジョナリー)の企業、先見的な企業、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊厳をあつめ、大きなインパクトを与え続けてきた企業のこと。
ビジョナリーカンパニーと比較企業の一覧
「何について、書かれた本か?」
上記のような誰もが知るビジョナリーカンパニーと、それになれなかった企業(決して悪い業績ではない。オリンピックでいえば銀賞銅賞の企業)とを徹底的に比較し、長い歴史の中で何が明暗を分けたのか、徹底的な調査をもとに、そのエッセンスを説明している
「経営者は時を告げる預言者ではなく、時計をつくる設計者であれ」
一般的に、成功している企業=先見的な目と卓越したアイデアを持つカリスマ社長が会社を引っ張っているというイメージが強い。実際に最近の目立っているIT企業とかもこのタイプが多いように思う。
でも、カリスマ指導者がいなくなると途端に会社は力を失いどこに進んでいいかさえ分からなくなってしまう。
だからこそ、本書では時を正確に告げることができる預言者(カリスマ的指導者)ではなく、社員誰もが時間がわかるように時計をつくる設計者になることが大切だと説いている。
この点、ビジョナリーカンパニーはどうかというと、素晴らしいアイデアや卓越した製品を出発点とする企業はほとんどない。どの企業の指導者も、カリスマ的な指導者ではなく、時計をつくる設計者として会社が存続できるように奮闘してきたのだ。
だからこそ、本書では製品やサービスでなく、会社こそ究極の作品だと伝えている。
「ビジョナリーカンパニーの3つの特徴」
1 基本理念を維持し、進捗を促す
基本理念(価値観)なんて、どこの企業でもあるんじゃね?と思う人もいるだろうが、ビジョナリーカンパニーのそれは覚悟が違う。
ビジョナリーカンパニーは、基本理念を理論や外部環境によって正当化する必要などないものと考えている。時代の流れや流行に左右されることもない。市場環境が変化した場合ですら、変わることはない。
組織の土台であり、自分たちが何者で、何のために存在し、何をやっているのかを示すものである。そして組織全体の指針になり、活力を与えるものだと。
つまり、会社の存続が危ういほどの状況になったとしても、ここだけは譲れない!といえるほどの会社の存在理由、100年にわたって守り続けていくける価値観だけが基本理念になり得る。今日本にそこまでの理念を持っている会社はどれほどいるだろう?
ビジョナリーカンパニーは基本理念を維持するだけではなく、進化も忘れない。
ウォルマートの創立者サムウォルトンはこう語っている。
「世界は変化している。この難題に組織が対応するには、企業として前進しながら、信念以外の組織の全てを変える覚悟で望まなければならない。組織にとっての聖域は、その基礎となる経営理念だけだと考えるべきである」
自然界では種がどんなに変異し、進化しても、遺伝コードが変化することはない。それと同じでビジョナリーカンパニーではどんなに変異や進化を重ねても、基本理念には変化がない。
2 一貫性を追求する
ビジョナリーカンパニーは、基本理念を組織の隅々まで浸透させるために徹底的な仕組みづくりをしている。
例えば、オリエンテーション時に理念や価値観・規範・社史などを伝える、模範になる人物の神話を絶えず吹き込む、独特の言葉や用語を使い価値判断の基準をはっきりさせる、自分たちは特別なエリート首位団に属しているという感覚を持たせる、昇進などは会社の理念にどこまで適合しているかなどなど。
目標、戦略、戦術、組織設計などでも全て基本理念との一貫性を持たせている。
そうしたいくつものシグナルを張り巡らし絶えず発信し続けることで、基本理念を徹底的に浸透させ続けている。
3 決して満足しない
ビジョナリーカンパニーで最も大切な問いは、「明日にはどうすれば、今日よりうまくやれるのか」。
人々が奮い立ち、決して満足せず、常に改善の道を求めるよう内側から燃える火をいつも絶やさないように工夫している。
ヘンリーフォードの言葉がまさにそれを象徴している。
「我々は常に向上できる。常に進歩できる。常に新たな可能性を見つけられる。大切なのは前進し続けることだ」
まとめ
結局、ビジョナリーカンパニーがビジョナリーカンパニーたる所以は、プロダクトやサービス、カリスマ的指導者の存在ではなく、基本理念と進捗への意欲を組織のすみずみにまで浸透させていることだと思います。だからこそ、本書では会社は究極の作品だと表現しているのでしょう。
基本理念を掲げること自体は簡単ですが、それを組織の隅々、手の先足の先まで浸透させるのは、波半端な努力じゃないですからね。今後のインナーブランディングに生かして行こうと思います!