クンダリーニの蛇と女たち
閉経の足音は、人によりますが30代後半から45歳あたりから忍び寄ってきます。閉経して血の秘密と力を漏らさなくなって、身のうちに蓄えられるようになると、会陰のチャクラでとぐろを巻いて眠っていた蛇は目を覚まして、脊椎を柱にして上昇を始め、無限の知恵を帯びて頭部に達します。
そのエネルギーはクンダリーニと呼ばれています。サンスクリットで「クンダ」は「池」を表し、「二」は女性のこと。「女性の池から上昇する蛇」
女にとってそれはごく自然な、身体を伴った霊的な進化の道筋なのです。脱皮を繰り返して再生を果たす蛇は、古代世界では永遠の命の象徴で、女神と同一視されていました。日本でももちろん、蛇は神として祀られていて、その由来は忘れ去られているようですが、世界中で蛇は神だったのです。
ネグリート(東南アジアの黒人種)は、シノワ(中国人)呼ばれる神の民はマト・シノワ(中国人の母)という名の強大なヘビ-女神の子孫である、と言った。 By バーバラ・ウォーカー
観音さまのことじゃないかと思います。個人的に。
インドのヘビ-女神カドルーはすべてのナーガ(コブラ族)を生み、自らの聖なる月の血で育てて彼らを不死とした。バビロニアでカドルーに相当する女神がカディ・オブ・デルであり、女性の頭と胸を持つヘビとして崇拝された。ナーガと似た彼女の子供たちは、腰から上が人間の、人魚のような水ヘビとして描かれた。ナーガは「水底の宮殿にある莫大な財宝や宝石を守護していた」
日本の伝説では、竜宮城に近いでしょうか。
ファイリー島(エジプ卜・ナイル川上流の島)では、ヘビ女神はanq (囲む、抱擁する)を語源とする「アンケト」という添え名を持っていた。「ナイルのヘビ」は、クレオパトラの添え名だったばかりでなく、エジプ卜の女王は、すべて「ナイルのヘビ」という添え名を持っており、国家と、王を抱擁する女神を象徴していた。
アンクは女陰の象徴です。遠い昔、家々の中心には丸い炉がありその炉もまた女陰の象徴でした。炉の中で燃える火を囲んで人々は語り合い、文化を育んできました。火を扱うのもまた、家長たる女性の仕事だったのです。
時代が下って、イブがエデンの園で蛇にそそのかされて知恵の樹の実を食べてからというもの、ずる賢い悪魔の象徴となった蛇、女たちの内なるパワーの源泉は、男性の「英雄」たちに成敗されて追放されました。
代表的な神話はメドゥサやゴルゴンの蛇女たちの成敗の物語です。この物語は前にもブログに少し書きました。
日本の神話の蛇退治の物語、例えばヤマタノオロチなども、みんな英雄に成敗されていますが、後から編集を加えられて今のような形になったのかもしれない、と個人的には思っています。
女性たちが生きた身体を持って通過する儀礼としてのイニシエーションである〈更年期〉において「大いなる力と完成」を与えていたクンダリーニの蛇は、イブの冤罪事件以来、完全に封印されてしまって女が女でなくなる合図と成り果ててしまいました。この大いなる熱いクンダリーニのエネルギーが適切に上がっていかない場合、ホットフラッシュ、のぼせ、ほてり、異常な発汗、頭痛、膣の乾きや性欲の減退、自律神経の失調として現れます。
ほとんどの症状は、身体に過度にこもった熱のエネルギーが、心身に変容を起こすべく頭部に向かって昇って行って、放出しようともがき苦しんでいるかのようです。
このエネルギーが適切に上がっていけないのは、女のDNAに刻まれたPTSDや自尊心の欠如のようなことが、身体や心のブロックとなって脊柱の所々に鎮座して、蛇のスムーズな上昇を妨げるからです。
今までの日常の暮らしや仕事が突如として虚しいものへと変貌して、まるで強大な熱で焼き尽くされた野原に、ポツンと一人置き去りにされてしまったかのような、孤独や無力感に苛まれます。性欲や気力の減退は、友人たちや愛する人たち、世界と関わっていく原動力、内なる愛の表現、創造への意欲の減退で、深く落ち込めば鬱症状へとつながることもあるでしょう。
医者にかかれば、(運が良ければ)それらの症状はエストロゲンやテストステロンなどのホルモンの減少だと診断されるかもしれません。肉体とエネルギーの身体は相互に働きかけ合っています。エネルギー的な視点から見れば、ホルモンの分泌を司る腺に滋養を供給するのはチャクラの主要な働きで、更年期のチャクラの不調の多くは、原因不明の自律神経の失調、不定愁訴などの形で精神と肉体、霊体に大きな影響を及ぼしています。あまりの大火事に大切な変容を妨げられるようであれば、医療の力を借りる必要も考慮しなくてはなりません。このような体調不良や気力の減退をまったく経験せずに通過する人もたくさんいるでしょう。
けれども、更年期の深い闇は、霊的な(スピリチュアルな)イニシエーションの開始です。過去の涙、悔しさ、苦さを再び味わい、半生を振り返り、それが自分の共感力や優しさ、知恵の源泉となって湧き出している場所を見つけるために、闇に降りていかなければなりません。
イザナミやペルセポネ、イシュタルの冥界下りです。同時に、この変容を加速させるべく自分自身の聖なる次元について探求の緒につく時間をもつことです。身体と心、そしてクンダリーニの場所であるエネルギーの身体、霊体をも世話して、手入れをしなければなりません。
東洋の女神、観音さまの大事な教えは、他のために自分を使うという「利他の心」です。かつてドラゴンゲートサンクチュアリの 師の観音の教えでは、「観音のエネルギーとは、マインドとハートが常に真実と共鳴していることで、まさに完璧に調和と均衡を保って使われます。」
その時蛇は龍になる、ということではないでしょうか。龍は架空の聖獣ですが、蛇が進化して空に上がったもの、クンダリーニの蛇が変容をとげた姿なのだと観音さまが語りかけてきているような気がします。
2019/2/24 旧ブログより
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