ハロウィンナンパ体験談【僕はもぐら叩きのように腰を振る】
10月31日、ハロウィン。地方の方には馴染みが無いかもしれませんが、この日の都内はコスプレをした男女で大賑わいです。
"人生で一度でも良い。コスプレセ〇クスがしたい・・・!"
雑魚の大群のように人口が過密化した夜の街で、そんな夢を胸に抱いて二人のサラリーマンが立ち上がりました。私と飲み会で知り合った美男子、カズキです。
二人で検討した結果、戦闘服はSWATを選択。ミニスカポリスを死ぬ程持ち帰りたい卍。
私達は仕事後に急いで服を着替えて潜入作戦を企てました。戦場は六本木の某クラブです。此度のゲリラ戦に敗北は許されません。
「無事に目的を達成したら、またここに戻って一緒に美味い酒を飲もう」
カズキと硬く握手を交わして達成を胸に誓い合います。二人の内どちらかが足を引っ張ってもお互い骨は拾わない覚悟です。
私達は道すがら軽く作戦会議をして、街の喧騒に溶け込み勢いのままにクラブに突入しました。
▼PM10:15
会場は仮装に身を包んだ若い男女で溢れており、待ち望んでいた景色を見て私は感動を覚えました。
しかし見とれているだけで今日は終われません。
コスプレセ〇クスという重大な任務を達成する意思は揺らぎませんでした。
入口で受け取ったチケットでドリンクを交換し、早速ターゲットを見定めて接近を試みます。
「何飲んでるの?乾杯しようよ」
最初に声をかけた女性はファーストフード店のコスプレをした大学生でした。
今すぐにでも一緒にハッピーセットになってテイクアウトしたい。"I'm lovin' it."
場が盛り上がったところで、まだお持ち帰りを決行するには時間が早過ぎると考え、大学生とはLINEを交換して私達はその場を離れました。
▼AM1:15
大学生とLINEを交換してから私達は声かけを再開しましたが、思うようにオープンせずに苦戦を強いられていました。
仮装で目を引くためには、私達の仮装に対する意識が足りなかったのかもしれません。コスプレなめてたぜ。
反省で項垂れていると、目立って盛り上がる男女の集団が目に付きました。
タクシー運転手に扮する女性達は若く見える一方で、男性陣にはスーツ姿の男性も交じっており、全体的に年齢は高そうです。
この機を逃すまいと私達はその集団に玉砕覚悟で突撃しました。
「お兄さん達、めっちゃ盛り上がってますね!」
「おお!兄ちゃん達も一緒に飲もうや!」
"大人の余裕ってほんとに素敵。"
▼AM2:04
おじさん達は本当に優しい方々で、お酒を奢ってくれたり、急に割り込んで来た私達を女の子とくっつけようとしてくれました。
六本木には今回のように底無しに懐が深く羽振りが良いおじさんが時折現れます。
おじさんの恩恵を目一杯受けて私達はセクシーなタクシー運転手と距離を詰めていきました。
最後までいけるかと思ったのも束の間、女性がスマホを片手に告げました。
「私達、渋谷に行くね」
"ほんまでっか。"
理由を尋ねると渋谷にいる友達に呼ばれたとの事で、彼女達はクラブを出て行ってしまいました。
苦渋の決断でしたが、私はこの時点で彼女達を損切りする事を決意しました。女性に主導権を取られ振り回されてしまうというのは避けたい事態です。
とはいえ彼女達が魅力的である事も事実でした。
煮え切らないカズキは彼女達を追って渋谷に向かいました。
カズキの判断が間違いだとは私は思いません。お互い検討を祈って別れを告げたのでした。
▼AM3:19
カズキと別れて時間を確認し、私は焦りを感じていました。クラブの閉店時間まで刻一刻とタイムリミットが迫っています。
一人になった私はローラー作戦を決行する事にしました。
会場を隅から隅まで見渡して暇そうにしている女の子を探すと、階段の傍に一人でスマホをいじる女の子を見つけました。
仮装はカチューシャのみと中途半端で、どう見ても楽しんでいる表情ではありません。
"この子なら絶対いける・・・!"
本能に従うままに私はその女の子に話しかけました。
「何してるの?ってか一人?」
彼女は少し笑って「うん」と答えました。
反応は悪くない。
そのまま畳み掛けるようにトークを挟んで見事にアパホテルまで彼女を搬送する事ができました。
本来はバッチリコスプレをした女性と一晩過ごすつもりでしたが、なんとか坊主だけは防ぐ事ができそうだと思っていました。この時までは。
▼僕はもぐら叩きのように腰を振る
深夜に男女でホテルに行ったらやる事は一つ、そう信じて疑わない私でしたが、カチューシャ女子は頑なに高飛車な態度を取り続けており簡単に応じる気配はありませんでした。ホテルまではとんとん拍子だったのに。
おそらく形式グダと呼ばれるものです。
当時、経験が足りなかった私は彼女のグダを上手く崩せずにいました。
下着は脱がしているのに、ゴールは目前に迫っているのに、彼女の両足は固く閉ざされたままでした。開けゴマの要領でこの堅牢な最終関門を突破できたらどれほど嬉しい事でしょうか。
さらに時折足を広げては私をからかい、すぐに足を閉じてくる始末です。
その様はまるで子供をあやすいないいないばあのようでした。いないいないま〇こです。泣き止むどころか思いっきり泣いてやりたい気分です。
私は情けなくもぐら叩きのように腰を振りながら説得を試み、なんとか彼女の両足をこじ開けたのはホテルに到着して1時間が経過した頃でした。
その頃には睡眠不足による疲れも重なり、下半身も元気を失くしてしまっていました。股間すら呆れています。
挿入すら叶わずそのまま私は泥のように眠ってしまいました。
▼サイレント・モーニング
翌朝、私とカチューシャ女子は一言も言葉を交わす事も無くホテルを後にしました。
別れ際に「ごめんね」と小さな声で謝られましたが、気まずくて「別に大丈夫だよ」としか返す事ができませんでした。
なにより彼女をスムーズにその気にさせる事ができなかった自分に腹が立っていました。
余談ですが、女性を追ってクラブを出たカズキも結局クロージングにまでは至らなかったという事でした。
これはハロウィンに不純な夢を見て懸命にもがき続けた二人のサラリーマンの話。
勝ち目の無い女性を追いかけ続けたカズキに、ホテルまで易々と付いて来ておきながらつんけんしていたカチューシャ女子に、そして誰よりも自分に、股間だって呆れてらぁ。
読者の皆様は素敵なハロウィンをお過ごしください。