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【英国靴】何度、落陽を迎えても。

ジョン・ロブに次ぐ英国靴の最高峰・エドワード・グリーン。

このエドワード・グリーン、情報筋によれば25年3月にはまた値上がりします。後述しますが、私のスエード製はオモテ革に比べてじゃっかん安いものの、たぶん今なら20万をやや超えるほどの価格のはず。

当時の購入価格は10万なんてことはなかったはずだけど。高くなったなぁ。

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私の唯一の手持ちは、タバコ色のスエード「カドガン」です。

靴下がふざけているのはご愛嬌
本物は、タバコというに相応しい色

相変わらず写真が下手なので雰囲気(色味)は誤って伝わりますが、本当に絶妙なカラーリング。

購入したのは、たぶん00年代初期。「踵がでけえ…」と思いながらも、こんな美しいセミブローグもないだろうということで、購入しちゃいました。

ただ、今見てもかっこよすぎるのだけれど、実用靴としてはまあ、失敗と言わざるを得ない。

ワイズの狭い靴は、なんとか馴染むんですけどね。踵が大きいのはどうにもならんな、とひとつ勉強したわけです(高い勉強代だった。)。

私のカドガンは、いわゆる90年代中盤の新工場製。もう33ラストではありません(202ラスト)。ちなみに80年代までのものを、旧工場製と呼びます。これはインソールで判別可能です。

「Made by」のない、新工場ロゴ

新工場製は、先に述べた旧工場がエルメスに買収されて以降になります。上述のジョン・ロブもエルメス傘下なので、近年、というか10〜15年くらい前は、細かい部分で両社はよく似ていました。今はちょっとわかりません。

さて、本当は褒めちぎりたかったんですけど。
どうもこのエドワード・グリーン、またまた雲行きが怪しくなってきた。

製造元(経営側)に問題があるのか、販売元のストラ●ブルゴに問題があるのか、ジョン・ロブには勝てないのに、ブランディングで勝負を挑み、価格を殊更吊り上げ、結果、セール品として放出されるという…

昔から革靴を愛している人なら、ジョン・ロブに20万は出せても、エドワード・グリーンに20万は出せない、という感覚はわかるはず。

エドワード・グリーンを愛し支えている人の大半の感性もまた、そんな感じのはず。

エドワード・グリーンは、現存する多くの製靴業者はまあ大体そうなんですけど、「陽はまた昇る」を地でいく製造業者なんですよね。

新興メーカーとの価格競争に敗れ、エルメスには生命線とも呼べる「202ラスト」を奪われ、それでも競業他社や取引先の助け、自社愛に溢れる職人の復帰、頭抜けた技術力とセンス(「82ラスト」の発明)等々により、何度も蘇ってきた。

英国の不死鳥。倒れるたびに強くなるヒーロー。

自分には足型が合わないから好んで買うことはないのですが、その在り方には尊敬の念を抱いていたのですよ。

それがね。今の方針のままで、大丈夫なのかなぁ。
どうにかまた、「別にジョン・ロブも買えるけど、あえてエドワード・グリーンを買ったヨ。」という日が帰ってくることを願いつつ。

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さて、実家でガッスガスになっていた(行方不明になっていた)トリッカーズ。ネペンテスが販売していた左右アシンメトリデザインのトリッカーズを、関西の某セレショがインスパイア(?)されて誂えた、なかなかレアな逸品。ワークブーツ感覚でガシガシ履いてました。

これまた色味が違う
実はかなり栗色なんですよ

なんとか現役復帰させたいと思い、持てる技術を全て投下したのだけれど、画像では伝わらぬ風化感が拭えない。革が、死にかけている。

靴磨きは、誰でもある程度は上手くなるのだけれど、(なんでもそうだけど)プロのようにはいきません。我が身の未熟さを思い知らされる思いです。

数週間前、丸の内(東京)でほぼ唯一となった靴磨きのプロ・赤平賢治さん(名前あってるかな。)という人を特集しているティーヴィープログラムを観ました。

あまり細かな部分は映りませんでしたが、仕上げに洋傘の布地を利用しているのが印象的でした。

革靴なんて、それこそ鏡面磨きだとか、ピッカピカにすることが正義だとは全然思わない(ぶっちゃけ、かっこ悪くない?)のですが、革が生きてる感を演出することは、何より大事だと思っています。
彼ならきっと、それが出来るんだろうなと思いつつ。

やはり死にかけているパラブーツのシャンボードも生き返らせたい。
そんな技術が欲しいなぁ。

そんな感じです。

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