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クリエイターよバックアップを取れ。ある日突然HDDが停止した話

現代、PCを中心に作業を行っているクリエイターは多いだろう。世に出すもの、出すかどうかも分からないもの…様々なファイルをパソコンに保存しているはず。
ところでその貴重な財産…………データのバックアップは取っているだろうか?
いやいやそんな故障するような、老兵のようなPC使ってませんよ、と思うかもしれない。けれども…機器の故障は読めないものである。
これはある日突然、本当に突然、ハードディスク(以下HDD)が故障した際の体験談。

結論から言ってしまうが、自分が遭遇した状況は「約500GBのデータがアクセス不可となり、そのうちの半数のデータのみ何とかサルベージできた。それ以外のデータは儚くも散ってしまった」というもの。コトが起きてからの対応を記録している。全てのデータを救うことは出来なかったが、それでもサルベージに効果があった事象もあるので、同じ状況に陥ってしまった人のためにもここに記録を残しておく。

なお、最初に断っておかなければいけないことなのだが…当方「ハードのプロではない」。
詳しくないなりにベターを目指し行動したが、ベストは他にあったかもしれない。それを念頭に置いたうえで参考にして頂きたい。

■環境
ノートPC:ゲーミングノートPCを使用。利用期間は2年半程度
PCの主な用途は以下3点。
・動画編集
・3Dモデリング
・Steam

CドライブがSSD。動画編集を行った際の最終出力成果物、動画編集を行う上での素材(自作含む)を中心に格納。
Dドライブが問題のHDD。動画編集・3Dモデリングの編集経過を保存したファイル、Steamのセーブデータ・スクリーンショットなどを保存。

■経緯
「HDD…亡くなったのでは????」と認識した日を"1日目"とする。

・0日目
PCを立ち上げはしたが、特に作業するでもなく動画サイトでお気に入りの配信者の配信を見たりしていた。性能のいいPCですることか?いやいやそんな日も大切なのである。
この時点での異変は、PCの起動がやけに遅かったこと。ドライブスキャンの推奨などは起こらず。不調なのか…?と感じはしたが、その日の利用には何も影響がなくスルー。

・1日目
今日もPCの起動が遅い。結構不安になる。
日常ツイートでとあるゲームの文脈に寄せようとSteam起動。目的のゲームは更新データが配布されていたようでダウンロードを促される。更新ありがてぇ…と思いダウンロードを開始するが…途中で止まってしまう
いよいよ何かおかしいぞ?と確信。ディスクの残り容量には余裕があったはずだが…?と思い確認するも、データ保存先であるDドライブの空き容量は十分。じゃあSteam関連フォルダに何か問題が…?と思いフォルダまで移動。フォルダ移動した瞬間、以下警告が発生

重大なハードウェアエラー…

血の気が引く。直近起きていたPCの起動が遅い現象はHDDの認識に不調をきたしていたから…?と合点がいくのもよくない。
とりあえず困ったら再起動…ということで再起動を試すも事象は解決せず。数回再起動を繰り返すうちに、遂にDドライブそのものが認識されず、表示が完全に消える
その日は外出しなければならない予定もあり、「まずは時間を置いてみよう。休ませることで何かが良い方向に転ぶ………かもしれない」とPCをシャットダウン。現実逃避である。

・2日目
1日目の予定も終わり、PCに触れたのは2日目夜。なんとか事態好転していてくれ…!と願いながらPCを起動。Dドライブ、認識されず。現実は非情である。覚悟を決め、PCの裏蓋を開けHDDの差し直しを決行。効果なし!
ケーブル不良であれば、HDDを取り外し外付けで接続すれば読み込めるのでは?」というアドバイスを受けSATA-USB 変換アダプターを購入。¥1,600。これで復旧できるのであれば余りに安いものである。

・3日目
変換アダプター到着。PC本体から取り外したHDDを外付けで接続しPC起動。認識しねぇ!!!藁にもすがる思いで「HDD 復活」といったワードでインターネット、SNSを検索。いつもと違う向きにして置く、叩く、振る…あまりに眉唾物な情報が散見されるが、ダメ元だ…ええいままよ!!とHDDを叩き振り、ノートPC内に収まっていた時とは180°逆の向きで配置。
…なんとここで状況に変化あり。起動時にディスクチェックの推奨が発生。言われるがままディスクチェックを実行する……が、これが終わらない。
スキャン数は微増しているので止まってるわけではない、信じて待つこと15分程度、PC起動。エクスプローラーを起動すると…Dドライブが認識されていたのである。

とはいえ、やけにフォルダの読み込みが遅い。不安定な状況ながらもDドライブ内に潜っていくと…認識されるファイル/フォルダ、デバイスエラーが発生するファイル/フォルダともに散在する状況。幸いにも直近作業データは認識されていたため、直近作業分の数ファイルをCドライブに逃がすことに成功。
ドライブ内の探索を進めるうちに、ドライブそのものが認識されない状態に戻ってしまう。リアルタイムで動いていたファイルは逃がせたため、一旦外付けしていたHDDは取り外し。他に対処法はないかリサーチを再開。

新たな情報が現れる。それは…
HDDを冷凍庫にぶち込み、解凍後に接続すると復活した」という情報である。え……………………?
あくまでこれは「HDDの修理ではなく、データ退避のための一時復活手段」「結露に晒されるため、継続利用できなくなる前提の最終手段」であることも理解。今更引く選択肢はない、これは覚悟を決めていくしかない…と決心。HDDをジップロックに入れ、冷凍庫に投入。冷凍野菜とHDDが同居している謎空間が生まれる。
旧HDDが読み込めた場合に備え新しいHDDを注文。データ移行の準備は万端である。

・4日目
前日注文しておいた交換用の2.5インチHDDが到着。まずは新しいHDDを認識させ、新生Dドライブ爆誕。あとは冷凍されている旧HDDが(一時的だとしても)復活することを祈るばかり。

冷凍庫作戦は「24時間冷凍」という情報が散見された。1日冷凍庫で寝かせたHDD、いざ解凍の時である。
冷凍したHDD、思った以上に冷たい。この冷たいHDDを外付けで接続しPCを起動すると…起動が物凄くスムーズ。いざPC上でドライブを確認すると……………
冷凍済みHDD、スムーズに読み込まれた」のである。

正直どうかと思う。最終的には物理の世界なのだから、物理的に刺激を与えれば変化もあるだろう…と頭で理解は出来るが………………冷凍しただけだぞ?!?!?!?!
ただ好機は好機。この復活が時限性であることは複数の体験談から分かっていたことなので、即データ移行に入る。
実際にデータ移行を行ったが、ここで発覚したのは「冷凍までしても、読み込みできないフォルダ/ファイルがある」ということ。自分は日付レベルでフォルダ分けをしていたため、各日付フォルダ毎に移動を試みるが、サブフォルダが読み込み不可だった場合親フォルダのコピーはうまくいかない。各フォルダを開き、生きているデータのみに絞って移行を進める。
冷凍したHDD、時間経過とともに目に見えて調子が悪くなっていく。向きを変え、保冷剤に当てて熱を逃がしたりするも、操作できた時間は1時間程度。最終的にはドライブそのものが認識されない状況に戻ってしまった。

幸いにも、旧HDDが認識している時間内で生きているデータについては退避が完了。冷凍しても読み込みエラーが出てしまうデータについては諦めざるを得なかった。退避させたいデータの総量が膨大だったため、トータルで多くのデータをサルベージするため効率重視で作業を行う必要があった。

最終的には(そもそも不要なデータもあったが)約半数程度のファイルをサルベージすることができた。失ったものは当然大きいが、故障が発生してからの後手後手対応だったことを考えると、個人的には「思っていたよりも救うことができた」と感じた。

■総括
故障はいつ起きるか分からない。
今回の出来事、予兆は全くなかった。本当に、ある日突然、停止したのである。
クリエイターにとって、作業ファイルは「生きた証」でもあると思う。数年前に作ったデータを今使うことは少ないかもしれないが、けれども、その時々でゼンリョクを尽くして作ったデータは「その時の記憶」とともにあるものだと思う。
幸い現代はオンラインストレージサービスも充実している。全てのデータを漏れなくバックアップしろ…!とは言えない、自分もできないが、なにかの節目、大切な記憶とともにあるデータについてはバックアップを強く推奨したい。月並みの言葉ではあるが、本当に大切なものは失ってから気付くもの。データのバックアップを取れ!!!!!!!!!!!!!!

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