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お年寄りではない『母』という人
母のケアワーカーさんから電話があった。
母のパーキンソン病の病状が進んでいて、
医者から「今後、どうしますか?」と
聞かれているらしい。
「今後とは?」
このまま体が動かなくなったら、
流動食を流し込んで、延命するのか、しないのか
それを決めることになるらしい。
「本人が?」
うちの母は、多少、おかしな言動はあるものの
頭はしっかりしていて、ボケてはいない。
ケアワーカーさんも、
お年よりがボケるというのは、
体の不調や痛みを忘れられるという意味では、
悪いことばかりではないと言っていた。
そういう意味では、母は
パーキンソン病による病状の進行によって
動かなっていく体を、はっきりした頭で受け止め
自分の延命も自分で決めるのか
と思うと、可哀想だなと思う。
ただ母は相変わらず、被害妄想が激しく、
今も施設から見張られ、体に電気を流されている
と言っているそうで、
私もケアワーカーさんも、
母の妄想にはうんざりはしてはいる。
そんな風に、母のこれまでの人生には、
いつも誰か敵がいて、その敵は、
離婚した父だったり、親戚だったり、
その時々によって変わるのだが、
その敵によっていつも
『自分は酷い目に遭わされている!』
と、私たちに訴えてくるのだ。
その母の演技力は、凄まじく上手いので、
私は、絶対、毎回、騙される。
今も体調が悪いのは悪いのだが、
何せ注目してほしがりやの母なので、
この間、私に電話をかけてきた時は、
施設内でご飯も食べさせてもらえず、
部屋に放置されていると訴え、
もう、ヨーグルトしか飲み込めないのに、
スプーンも持てないと言う。
今回もまた、本気にしてしまい、
ケアワーカーさんに見に行ってもらったら、
そこまで酷い状況ではなかった
と言うことだった。
ただ、食事を介助するサービスがその施設にはないので、
食堂に行かなきゃいけないけど、
それが、嫌だったみたいで、体を動かすのもシンドイけど、
食事を飲み込みずらくなって、よだれが垂れる顔を
他の人に見られたくなかったそうで。
年をとっても、乙女なのである。
話を大袈裟に盛ってはいたんだけど、
病状が悪くなっていることには変わりなく、
また、母は施設を移動することになった。
確か前回の施設では「テレビ買ってこい」とか我儘三昧して
半ば追い出されるように、その施設を移動したばかり。
今回の移動先の施設は、ちゃんと食事介助もしてくれて、
少人数の施設なので、母への目が行き届くようなのでひと安心。
と思ったら、ケアワーカーさん曰く、そこまで過保護で、
オムツとかも勝手に変えたりされると、
人として扱ってもらえてないと感じて、
また、不満が出てくるかもしれません、とのことで。
そんな、もんなのか。。。
年をとれば、そんな事どうでも良くなるのかと思ってたけど、
まだまだ、ちゃんと、女で、人間なんですね。
性格だって天使になるわけではなく、相変わらずの我儘乙女で。
こんな母が、本当に「死ぬぞー」って言っても
その時、私は本気にできないかもしれない。