大滝詠一「ペパーミント・ブルー」マスターデータに関する幾つかの事柄(3)NIAGARA SONGBOOK 2 '89リマスター盤とCD選書盤について
こんにちは。大滝詠一の、主にナイアガラ2期の楽曲のデジタルマスターの違いについて書いています。
今回は'89年のリマスターCDと'91年のCD選書シリーズに収められたペパーミント・ブルーについての第3回、ストリングスバージョンであるNIAGARA SONGBOOK 2について。比較対象は以下の2つです。
1989年リマスターシリーズのNIAGARA SONG BOOK 2 [27DH 5304]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【89NSB】とします)
1991年CD選書でリリースされたNIAGARA SONG BOOK 2 [CSCL 1665]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【選書NSB】とします)
早速【89NSB】【選書NSB】そして逆位相ミックスの波形を見てみましょう。
調べたところ今回、時間軸方向のピーク位置は一致したのですが、曲を通じて音量差が変化していくことがわかりました。
【89NSB】側を基準として比較した場合、曲始まりでは【選書NSB】のほうが音量が小さく、徐々に【選書NSB】の音量が上がり、中盤以降は【89NSB】より【選書NSB】のほうが音量が大きくなりました。
「徐々に」と書きましたが連続的な変化ではなく、散発的なタイミングで0.2[dB]単位の階段状の変化が起こりました。【89NSB】に対する【選書NSB】の音量差と、変化するタイミングは以下のとおりです。
0'00":-0.6[dB]
0'07":-0.4[dB]
2’41”:-0.2[dB]
2'43": 0.0[dB]
2'45":+0.2[dB]
上のグラフは【選書NSB】全体を0.2[dB]下げた状態で、逆位相ミックストラックを生成しています。つまり2'45"以降がフラットな波形グラフになるように調整したわけです。
逆位相ミックスを聞いていると、この階段状に変化するタイミングがよくわかるのですが、実際の2つのトラックをそれぞれ聞く限りでは、どちらのトラックのほうが変化しているのか、聞き取ることができませんでした。
また前の2つの記事で触れたEACH TIME, B-EACH TIME L-ONG同様、フェイドアウト部分で音量差が生じます。やはりフェイドアウトは【選書NSB】のほうが早く、【89NSB】はストリングスのフェイドアウトが終わってから、背景ノイズも含めてフェイドアウトします。今回はフェイドアウト時の音量差が波形としてはっきり見えていますね。