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不幸な時代の監督ではなく

 時事的なネタをこんなタイムリーに書くことはあまりないのだけれど、いろんな情報が入ってきたりいろんな結果が見えてきたりする前に書いておくことにも意味があると思い、パソコンに向かっています。

 今日は夕方に急に親戚が来ることになり、だったらせっかくなので焼き鳥でもしようということで、西陽を浴びて外で火起こしをしていた。
 陽は西の山に沈みかけ、風はあくまで心地いい。
 そこに松井監督休養のニュース。
 休養といったって、「はい、よく休みました」といって戻ってくる監督なんてまずいないので、これはつまり「解任」あるいは「ほとんど解任に等しい依願退職」だ。
 この風の気持ちよさと、パチパチと鳴る炭のにおいと、監督休養の文字の組み合わせは、これからも覚えている気がする。

 勝率が3割を切りそうだったとき(一昨日の試合に負けて.302になったときですね)、これはひょっとするとと思ったので、ニュースを見てもあまり驚かなかった。
 言い換えると、シーズン途中で監督交代というたいへんな事態になっても驚かないほど、負け慣れしていたということでもある。弱くても3割勝つといわれるプロ野球で本当に3割しか勝っていないのだから、これはたいへんなことだ。

 松井稼頭央の選手としての全盛期、私は中学から高校生だった。当時のスーパースターがこんなことになって、もちろん落胆している。話しぶりをみても、いい人というのがわかるので、そのぶんつらい。
 擁護をするなら、ハズレくじというか、不幸な時代に監督になってしまったツキのなさがあったと思う。何しろ打てない。打たれるしケガするのも困りものだけど、そんなことより打てないのが致命的だった。
 私は「秋山が出て行ったのがすべて」論者なので、2020年に秋山が出て行って狂った歯車が、狂い続けてついに崩壊したと思っている。
 いまの打てなさだと、誰がやっても勝つイメージが浮かばない。毎試合1対0で勝てというのか。

 でも、これを「不幸」で片付けるのは、たぶん間違いなのだと思う。きっぱり「育成不足」というべきなのだろう。3年前まで監督自身が二軍監督だったのだから、身から出た錆といえるかもしれない。秋山だっていなくなってから5シーズン目だ。いつまで秋山にすがらないといけないのだ。
 いろんな選手がスタメンに名を連ねては、次の試合ではベンチを温め、いつの間にか二軍に行って、またいつの間にか一軍に上がってきている。悪くいえば「とっかえひっかえ」で、正直なところ、今年の西武のスタメンを言えといわれても、私には答えられない。出る選手も、出ている選手のポジションも、打順も、日替わりメニューのようだ。代える監督が悪いのか、代えられる選手が悪いのか、まあ、その両方な気はするけれど。

 いい人であることも、監督という点ではマイナスに働いたと思う。もちろんチームの内部のことは知りようがないが、外向きのインタビューの様子を見たり読んだりしていると、優しすぎるよなあと感じることがよくある。もしかしたらその部分をPLつながりで招聘した平石ヘッドで補おうとしたのかもしれないけれど、そこがうまく機能したのかどうかも、よくわからないし、結果だけ見ればうまく機能しなかったいうしかない。
 一昨年の秋に辻監督から監督位を禅譲された時点で、この未来をなんとなく予感していた人も、私を含めていたのではないか。まあこれは根拠のないただの「悪い予感」だし、いまさらここに書くのもつまらない後出しジャンケンなので、無視してかまわないけれど、「狡猾さの欠如」を心配していたのは、私だけではないと思う。もちろんそれは外れてほしい予感ではあったけれど。

 ただいずれにせよ、監督一人を責める気にはなれない。
 それは彼がただスーパースターであったという理由からでなく、チームとしてもっと別の問題もある気がしてならないからだ。

 個人的にはしがらみのなくなった"ザ・リーダーシップ男"平石ヘッドがどうチームを指揮するのかにも興味があったのだけれど、渡辺GMが監督代行になることになった(このあたりは大人の事情が漂ってくる)。
 ナベQ監督&平石ヘッド?
 うーん、どう化学反応するのか、全然想像できない。平石は松井稼頭央とセットだったからなあ。
 でも、交わるのが怖い気持ちが大きいぶん、意外にうまくいったりして、と根拠のない期待を抱いてしまう。
 期待を抱く権利は西武ファンにだってある。
 期待のないプロ野球なんて、つまらないじゃないか。


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