リアクション催促の“間”
大学卒業まで実家で暮らし、上京した。
一緒に暮らしていた21年間ではわからなかった家族の特徴が、離れてみることで、わかるようになる。
その発見のひとつを紹介したい。
私の母には、リアクション催促の“間”があったのだ。
例えば、「今日のシチュー美味しかったやろ?ええ肉つかってん」
を母が言うと
「今日のシチュー美味しかったやろ?ええ肉使ってん。ん?」
と何か最後に尋ねられる“間”が存在する。眉毛が上にあがり、口角も上がり、相手の回答時間タイムが流れる。その表情からは逃げられない。
私「シチュー美味しかったよ。肉も美味しかったよ。」と、私は反射的に母の言葉にこもった
「ん?」の箇所までを答える。
母
「暑いからお茶冷やしといてよかったやろ。ん?」
「この服かわいいねん。んん?」
「お風呂ピカピカにしといたで。な?」
この「ん?」「んん?」
は文字にするのは難しい。
「な?」Ver.もある。
言葉と同時に顔でもしゃべっているからだ。
絶妙な“間”
誰しもが「あ、何か彼女の言葉に答えなきゃ」と思考を巡らせてしまう。
語尾で相手の目をみて、表情で「私の行動に対してあなたはどう思いましたか?」という問いかけを、波動砲のように発する母。
名付けるとしたら“リアクション催促の“間” …。
「ん?」プラス表情の技。
長年、その技を受けてきたからといって、私はその技を使えない。相手にリアクションを強要する波動砲。喧嘩でもして、お前はどう思ってンダ!って感情が高ぶった時にやっと、「それもうやらへんって言ってたんちゃうの?どーなん?ん?」ってキレてる時くらいにしか出せたことがない。
人生ずっと「私の行動に対してあなたはどう感じましたか?」という
言葉尻の最後の「ん?」だけで、確認され続けて、感想を述べてきたことは、たぶん何かしら私の人生に活きてるといいな。活きててほしい。ちなみに、この技の発祥は関西地方、大阪に猛者がきっといっぱいいるはずだと予想している。
テレビの世界だと上沼恵美子さんがワイドショーで、ゲストにコメントをふるときに、プロの技として「ん?」と表情付きで、その波動砲を使っている。近くに使い手がいない人はイメージが湧くかもしれない。
もし、同じような技の使い手がいたら、教えてほしい。
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