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『イハナシの魔女』感想。終始楽しめる、インディーノベルゲームの完成形

分かたれた二人の再会による感動と、伏線回収によるクライマックスの盛り上がりはもちろん、終始快適に読み進めることができる、インディーノベルゲームのお手本のようなゲームでした!


読みやすさ

待たされない

強制的に待たされる演出が少なく、手持ち無沙汰になる時間がほとんどありません。
(スピードを最速にしたのもあったが)テキストがほぼ一瞬で出て、ダブルクリックではなくクリックで進めたのもよかったです。

短、中期的な伏線回収

何らかの謎だったり、匂わせがあった時に、かなり早く(体感1分~10分程度?)その回答が提示されるケースが多かったので、文章を追うことに対する興味が途切れることがほとんどありませんでした。
例としては、
・キャラクターのセリフが黒塗りにされ、そのすぐ後に内容が公開される
・「ポロリまであと〇日」という演出が出る
特に後者は、アカリ編が終わってプレイヤーが離れそうなタイミングで出るため、プレイ持続の大きな役割を担っていると思います。

そのため、たまに長期的な謎(回収されるまで数時間)が出てきても、謎が提示されたときに(どうせ、もやもやしたままなんだろ…)というネガティブな感情は出ず、そのうち謎があったことを忘れ、回収されたときに思い出してニコニコできました。

選択肢のなさ

選択肢がほとんどなく、あったとしても、どれを選んでも結末が変わらないことが明示されます。
ので、続きが気になる感を阻害せずにストレスフリーに遊べました。


長期的な面白さ

光の設定

人を好きになることが怖い、特定の条件で体に支障が出る、という設定により、リルゥと即座にくっつくのではなく、紬やアカリとの、やや甘酸っぱい関わり合いを描写できる隙間ができていると思います。
そのため、冗長さや違和感を感じさせず、10時間程度の物語の展開が可能になっていると感じました。

丁寧なメインストーリーライン

・プロローグで美少女リルゥの心が開かれ、共同生活の期待感が醸成された
・アカリと紬が各々のパートで、主人公としての成長を見せた
のちに、物語はリルゥ編に入ります。
光の絶望が深く描かれた後、周囲の人に支えられながら、しかし最終的には自分の力で、リルゥを救い出します。
光が主体となって動き物語が解決することで、満足感を得ることができました。


インディーらしい割り切り

キャラクター差分

キャラクター差分はそれほど多くありません。
怪我している場面で、特に絵に変化がなかったりなどの不整合がありましたが、一度慣れてしまえばそれほど違和感を覚えませんでした。
また適切な表情がない際にキャラを消して、背景を頻繁に切り替えることで、プレイヤーの想像によって表情を補完させられていたように思います。
コストに限界がある中で、適切な割り振りがされていたと思います。

背景

舞台となる沖縄の離島を除いた背景は、大部分が外部素材になっているようです。
ここも割り切りがあり、よかったです。

おわりに

以上に記載したことは、一つ一つはそれほど目新しいことでも、特殊な内容でもなく、多くの教科書的な本に書いてあることかもしれません。
しかし、それらを丁寧に踏襲して組み込んだ結果、大変満足度の高いコンテンツとして仕上がっていると感じました!


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