男子宝石【毎週ショートショートnote】

「彼氏、できたの」

恋人に求める理想がバベルの塔より高いと噂されていた冴子から、驚きの連絡が届いた。慌てて冴子に彼氏に合わせて欲しいと連絡をした。

そして彼氏を紹介してくれる当日、冴子は一人で現れた。

「あれ？冴子。彼氏は？」

冴子はフフフと笑った。

「あんた、相変わらず男の事わかってないね」
「何よ、久しぶりに会ってそれ？」
「４Cが全て最高、そうじゃないとダメ。ダイヤも男も」

ダイヤの４Cは知っている。カラット（重さ）、カラー、カット、クラリティ（透明度）。しかし男性をそんな風に評価したことはない。

「男の４Cって何なの？」

冴子はバカにしたように私を見た。

「カラットは体重、彼は山みたいに重いの。カットは髪型、首を振るだけでフェロモンが飛び散るわ。カラーは色が無いほど価値が高い、つまり無職。クラリティは透明度、つまり見えないほど最高。つまり、もう来てるわよ」

ズシンッ

透明な巨人が冴子の背後に立っている、ようだ。

価値は、人それぞれだ。