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プチ贅沢




先日Twitterで、スーパーカップのバニラアイスの上に、カラースプレーをかけた写真を見かけた。

投稿主曰く、プチ贅沢だそうだ。



その写真を見た瞬間、私の心は踊った。


これは良い。



カラースプレーとは、赤、黄、緑、ピンク、白、茶色などのカラフルなチョコレートや砂糖細工で、細かい棒状になっている、お菓子のトッピングによく使われるアレだ。

パフェや、チョコバナナ、アイスの上によく登場し、手作りケーキの最後に振りかける定番でもある。


不思議なものだが、真っ白なホイップクリームや、少しだけ溶け始めたアイスの上に降りかかるカラースプレーは、見るだけでなぜだかとてもテンションがあがる。



そのSNSを見た日から、私は次に買い物へ行ったら忘れずにアイス、ホイップクリーム、そしてカラースプレーを買おうと心に決めた。

ダイエットをしていることは、一旦忘れて。




買い物の日、アイスと冷凍のホイップクリームを手に入れた私は、いそいそとカラースプレーを探した。

しかし、いつものスーパーでは製菓コーナーが小さく、フルーチェやレンジで作るカップケーキの類しかなかった。


諦めない私は、次に100均を探した。


真っ直ぐにキッチン用品の隣、製菓コーナーへ進む。


あった。

手に取ってみると思っていたより軽い。
量は、ほんの少し。

1袋10グラム110円の贅沢はそこにあった。


逃がさないようにカラースプレーをしっかり掴み、目の前をじっくり観察する。


製菓コーナーなんて何年も見た事がなかったが、私が知っている頃よりも確かに進化していた。

私は念願のカラースプレーに出会えた嬉しさのまま、ピンクとブルーと銀色の小さなアラザンも購入した。

ピカピカに光る粒々は、まるで手芸に使うビーズのようだ。


私が子どもの頃は銀色しかなかったなぁと思いながら、しめて330円を支払う。


ここ最近で1番わくわくする買い物であった。




帰ってゆっくり休んだのち、さっそくプチ贅沢を味わった。


アイスの上に、ホイップクリームを絞り、その上にカラースプレーを振りかける。


パラパラと落ちていくトキメキに、思わず全部かけてしまいそうになるが、ここは大人として節操を持たなければいけないと踏みとどまる。



ひとくち食べる。



幸せだ。


カラースプレー自体の味は正直特別おいしいものではないが、キラキラした見た目とじんわりした甘さが私を幸せで包んだ。


たった小さじひとつ分のカラフルが、大人の疲れた生活を癒すプチ贅沢になるなんて、とてもコスパがいいではないか。




子どもを卒業し、こんなにもお手頃にワクワクできる手段があることをすっかり忘れていた。

30代、大人という自由を謳歌してきたつもりであったが、まだまだであったと反省した。

日常に疲れたら、またあのカラフルな贅沢を味わいたいと思う。




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