今般の入院顛末(21.12.10時点)

親しい人には既に話していますが、整理も兼ねて記しておきます。
久々のエントリーがこれでいいのか、と言う気持ちもありますが。

今年4月くらいから右上腕部にできものが出来、結構な速さで3cmくらいまで大きくなりました。
その後大きくなったり小さくなったりを繰り返し、最終的に千葉県がんセンターで

「悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)の疑いあり」

と診断されました。11月上旬のことです。
途中のMRIの画像なんか見ても、(主治医含め)ほぼ良性だと思い込んでいたので、青天の霹靂でした。

「疑いあり」というのは、生検出しても確定診断がつかない、その位難しいものだという理由でした。最終的には腫瘍そのものを摘出して検査しなければ解りません。
ただ、種々の検査結果や主治医の先生の意見からしても「こりゃ悪性だな」という感じで、その時点で覚悟を決めなければいけませんでした。

腫瘍は上腕二頭筋の(多分)短頭という部分の内部に出来ていました。最終的に直径4cmです。ぶっちゃけ、筋肉のがん(希少がん)です。
悪性の場合、腫瘍だけ取り出すのでは不十分で、転移などの状況を見ながら周りの筋肉ごと切除しなければなりません。これを広範切除と言います。そうしないとがん細胞が残っていてまた増殖してしまいます。
筋肉は取ってしまうと再生しないので、要は上腕二頭筋の半分を失うことになり、腕を曲げる力が大きく低下します。
主治医の診断は「肉腫ならばステージ2」という見立てでした。悪性度は高いが腫瘍の周辺に侵出はとどまっており、肺などへの転移もない。今切り取れば根治が見込める、と言う状況です。

さすがに、直後はキツかったです。
がんを告知されたという事実、右腕が今までのように使えなくなると言う事実。
さらには、手術中場合によっては他の筋肉も切除したり、神経を傷つけたりしたら腕全体がマヒなどで使えなくなるかもしれない、なんてことも想像してしまいます。もちろん再発だって怖いです。
私は結構ポジティブですが、情緒不安定になり1人で泣いてしまうことも結構ありました(まあ、眠れてたしメシも食えてたんで、体はポジティブなんですが)。

本当に、本当に幸いなことに。
千葉県がんセンターの整形外科は、この「悪性軟部腫瘍」の専門部隊でした。軟部肉腫の学会に登録されている医師は千葉県で6人居るのですが、そのうち3人がこちらにいらっしゃいます。まさに最強のスペシャリスト集団。
かつ、検査の速さや精密さ・徹底したインフォームドコンセント・医師や看護師の親切さなど「こりゃ一流の病院だわ」という信頼に足る医院です。去年新築して設備も最新だし。

さらに私の場合ラッキーだったのは「腕の表面だった」のですぐ解ったことです。4月に出来て5月にはすぐ病院行ってましたし。
軟部肉腫は(種類がすんげえいっぱいあるのですが)例えば太ももの内部や内臓に出来てしまうと発見が大変難しく、見つけても上記にあるような広範切除が行いきれずに再発したり、転移してしまうことが多々あるようです。今回は筋肉一本に今のところ収まっているので、ギリギリセーフだった感じです。

12月7日に入院、8日に手術を受けました。
術後2日経ちますが驚くほど順調で、この文章のPCタイピングもいつもと全く同じ速度で打てています。完璧な手術を行って頂いたのだと感服しました(妻が詳細な説明を受けたようです)。右腕は毎時間レベルで動きが戻ってくる感じで、機能回復にも期待が持てます。20cmに及ぶ手術痕が我ながら恐ろしくて見られませんが…
手術翌日は「軟部肉腫最強のスペシャリスト・整形外科」全員で回診に来て下さいまして、白い巨塔みたいだなあ…と感心してしまいました。

まずは日常生活を出来るだけ建て直します。仕事への影響は最小限でしょう。
その上で趣味、特に楽器演奏に関してリハビリを少しずつ行っていきます。

ドラマーとしてが、どうなるかです。
まだ解りませんが、今までの演奏力を維持するのはほぼ不可能だと思っています。ちょっと動かしてみるだけでも全く勝手が違う。そりゃ筋肉一本なくなってるんだから当然だよなあ。

だけど、これはこれで楽しみがあると思ってるんですよ。
筋肉の使い方変えて違う叩き方してみるとか、左手中心の演奏スタイルを再構築するとか、手首から先は全く以前と変わらず動くのでカホン試してみるとか、それ用のデバイス導入するとか、ブラシを極めるとか。ルーディメントも改めてやり直してみようとか。
いろいろやりようはあるなあと、病院の個室で妄想しています。

バンドの皆さんには、リハビリを気長に待ってくれ…とお願いしています。
さすがにラウドロックやメタル系の演奏は厳しくなると思いますが、リハビリした演奏力に合わせて音楽を作っていくのも、これはこれで悪くないぞと。
階段から落ちて首から下が不随になったロバート・ワイアットや、パーキンソン病で最終的に斃れたパット・トゥーピーとかに比べたら、ナンボかマシです。
今のところは「たかが筋肉一本なくしただけ」ですから。

「せめて左腕にしてくれ」という思いもありましたが…
入院3日で、左手で歯を磨いたり箸を使ったりが結構できるようになってきてましてね。
こういうのも、ケガの功名という奴です。

がんセンターにいると、重篤そうな患者さんがいっぱいいます。
そういう人も一歩一歩努力してるんだから、俺が頑張らなくてどうする。そういう気持ちになります。院内フロアを1日25周くらい歩いて不審がられてますが。

そして妻にはいくら感謝してもし足りません。
妻が居なかったら、鬱病になったり仕事休んだりしたかもしれない。彼女が居てくれたから、ここまで(一見呑気に)生活できています。
絶対長生きして、楽しい人生を一緒に歩んでいこうと思っています。

駄文長文、誠に失礼しました。

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