見出し画像

オレンジ~一日の終わりを告げる色~

ヨーロッパの夜、暗闇の中、至るところで街灯がぼんやりとした光でと道やものを照らしている。

スペインに来て随分経つが、一日の終わりに見る街灯の温かく優しい色味に、癒やされてる自分がいる。

スペインはオレンジ色の街灯が多い。

最初は何てぼんやりとした色で照らすんだろうって思っていた。はっきりと物事を映し出すわけでもなく、そこの景色だけをぼんやりと映す様な感じで、気を抜いたら自分で勝手に消えるんじゃないかっていうほど、そこになくてもいいんじゃないかっていうくらい存在感がない。光も強い訳ではないし、暗さが残るので少し怖い感じもする。

街灯の色の話でよく耳にするのが、青色系街灯は精神的に冷静さを与え犯罪の抑止につながるという話(これも個人差が大きいと思いますが)

でも個人的には。。。

やっぱりオレンジ色の街灯って良くないですか?

自分の中では、一日の終わりの色!だと思います。

色ははっきりわからなくなるんだけど、そこに物体があるっていう認識は出来るし、はっきり見えない分、心が安らぐ。

そして夜に溶け込むような、自分の一日が睡眠という真っ暗な夜に向かって終わりを告げる暗示のような。明るかった昼間から、夜に向かって、明るさから暗さをつなぐ色のような。

考えてみると一日の終わりにはオレンジが多い気がする。

例えば、朝日と夕陽の違い。

一日の終わりを告げる夕暮れのような色をしていて、その日の事を自然と振り返れるような気がします。夕暮れがオレンジ色を出すのは、一日の楽しかった事、心を動かされた事、自分の心が動かされた瞬間、そういう事を思い出して!!って言われてるような気がいつもするんですよね。

朝日が逆に白いような感じの光を出すのは感傷に浸るのと逆で、鋭く目に刺さるような光で、これからの出来事に神経尖らせろよ!って言われてるような、なんか一日を過ごすエネルギーをくれる光みたいな感じ。

それと、朝を主とするお店と夜を主とするお店の証明の違い。

朝をメインにする、カフェとかは白い照明が多い。実際は照明というより、朝日によって照らされている家具だったりの色なんだけど、朝日に合うような色をしている場所が多いように感じる。

逆に居酒屋、バルなどの内装はオレンジ色の照明に合うようなものが多い。それこそ塗装とかをせず、木の柔らかさをそのまま生かすような場所も多いし、淡く落ち着いた雰囲気を醸し出してくれて、店から外に出た時につい物思いに更けてしまったり。

オレンジ色は、赤や黄色ほどの強さはなく、青みたいに心を落ち着かせるわけでもない。オレンジ色は外に向かって主張する色というよりは、心の内側に入ってくる色だと思う。心の内側に入ってきて、人が心の奥底に秘めた感情を優しく包み込み、穏やかな心をもって振り返させてくれる色だと思う。

まるで、その日一日に起こった事、いらいらした事、嬉しかったこと、悲しかったこと、全てが穏やかなもの心の奥へ染みわたっていく。まるで、物事をはっきり映し出す光が夜の暗闇に同化する、夕暮れのように。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?