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【ネタバレ】『キャプテン・マーベル』感想〜『ワンダーウーマン』との比較/ガールズ・エンパワメントの視点から

『キャプテン・マーベル』を観ました。これから「エンドゲーム」を経てMCUの中心的キャラクターになっていく彼女のオリジンストーリーとして楽しい作品でしたね。と同時に、2017年にヒットを記録したDC女性ヒーロー『ワンダーウーマン』との比較は免れないと思います。なので、わたしが感じたことをここに書き留めておきます。物語の核心に触れることはないと思いますが、ネタバレ気になる人は回避してください。

べつにどっちが良いとか悪いとかではなく、そういう違いがあったなぁ、という感想です。

ユーモアと天然キャラ

『キャプテン・マーベル』も『ワンダーウーマン』も、フェミニズム的な視点を盛り込むのに、シリアスな描写や怒りよりも、ユーモラスな表現を取り入れていて、それがいいなぁと思います。

ただ、ダイアナは女性しかいない秘境で育った世間知らずの天然キャラとして描かれていました。彼女の文明社会の“常識”に捕らわれない視点が女性差別をあぶり出す構造になっていたんですね。

一方で、キャロルはユーモアのセンスを持った女性。それを上官に諌められても、改めることはしませんでした。そして子供の頃から「女はでしゃばるな」と言われながらあきらめなかった。多分そういう性格、という部分が強いのかも。現実に女性(女の子)たちが置かれている境遇に近い(というか同じ)ので、いいお手本になるのでは。

感情的になるのは悪いことか?

ダイアナは、まっすぐで熱くなりやすい性格を母やスティーブに諌められることはあっても、それは彼女が未熟だからというか、世間知らずだからというか、なんとなく周りに「仕方ない」と思わせて押し切ってしまうなにかがありました。

しかし、キャロルはずっと「感情的になるな」「感情は弱点だ」と言われながら訓練を受けてきました。これって現実世界で「女性は感情的だからダメ」と言われているのと同じですね。でもキャロルは感情を抑えることができない、しない。そこから力が生まれていきます。

その点でいうと、最後に向こうの勝手な言い分で戦いを挑まれたキャロルが、「うるせえ!」とばかりに先制攻撃するシーンは大好きです。

支配からの卒業

ワンダーウーマンのブレスレットは、アマゾン族が奴隷だった歴史と、愛と平和を世界に広めるという使命を忘れないためにつけているものだとか。ダイアナの場合は、彼女の強すぎる力を抑える意味もあるようです。そして彼女は最後の戦いで、ブレスレットを使い相手の攻撃を跳ね返しました。ブレスレットが、ただの防御のためのものだけではなくなった瞬間です。

キャロルがそれまでの支配から卒業したのは、もっとさりげないシーンです。彼女はマリーの娘と相談し、それまで身につけていたクリーの戦闘服の色を変えて、“キャプテン・マーベル”になりました。

恋愛はしてもしなくてもいい

ダイアナは、最強の女戦士であると同時に普通の女性であるという側面も見せてくれました。それがアイスクリームのシーンだったり、スティーブとの恋愛模様だったりしたわけです。強い女性だからといって、恋愛をしないわけじゃない。フェミニストだからといって男性を敵視し、恋愛を拒んでいるわけではない、ということですね。

一方で『キャプテン・マーベル』はMCU、というか多くのヒーロー映画で必ずといっていいほど盛り込まれている恋愛要素がゼロ、というのが新鮮でした。それは多分過去の記憶がないとか、自分が何者なのかという葛藤で精一杯で、恋愛してる余裕はないんですよね。それはそれで全然いいわけです。無理に恋愛する必要なんてない。フューリーとの友情とか爽やかでよかったですね。

メンターの存在 -コミックからの改変

ワンダーウーマン、というかダイアナのメンターは強いて言えばスティーブなわけですけど、キャロルのメンターはウェンディ・ローソン博士/クリー人のマー・ベルでした。

マー・ベルはコミックでは男性で、初代キャプテン・マーベル。それがほぼ性別だけが変更された形で登場したのは、ガールズ・エンパワメントの視点で見ると面白いです。男性に(恋愛的な文脈も含めて)啓蒙されていったダイアナと、女性の先達から使命を引き継いだキャロル。この点では、個人的にキャロルの方がガールズ・エンパワメント的には効果的というか、勇気付けられます。

そんなところでしょうか。『ワンダーウーマン』も『キャプテン・マーベル』もわたしは楽しめました。あとは『ワンダーウーマン』の方がフェミ色強め、『キャプテン・マーベル』はMCUの今後を見据えた感が強かったですね。

そのほか『キャプテン・マーベル』の雑記

◉グース最高だよ、グース。

◉ベン・メンデルソーンがサミュエル・L・ジャクソンをぶん投げるなんてシーンは、他の映画ではきっと見られない。

◉ヴィランに関するツイストは、現代社会の問題を反映していて考えさせられました。

◉個人的には、マリアのペンダントにそこはかとなく90年代を感じました。ああいうの、わたしも持ってた…

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