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『あの日のシブゴゴ~俺たちは何ができて、何ができなかったのか~』の感想

ニッポンの社長とおしみんまるのbeef。上記配信を観れば争点となるライブ映像含めて楽しめる。平日午後の閑散とした無限大でバビロン千葉を巡った抗争は、西と東のイデオロギー対決まで膨らみ、何も解決しないままシリーズ化しそうな気配がある。

ニッポンの社長という西のカリスマの襲来は、おしみんまるという東京吉本の老兵ソルジャーに散弾銃を浴びせまくり、若オッサンが老オッサンをボロボロになるまで追い詰めるリアルとフェイクの中間を彷徨う純度の高いリアリティショーである。全ては辻の圧倒的支配力を基準としているが、ケツというホーミングミサイルはオーバーキル過ぎる爆撃を与え続ける。

「ケツvs真べぇ」にてケツの無茶苦茶過ぎるパフォーマンスは現代お笑いのひとつの形として日の目を浴びた。その剛腕がおしみんまるという黄忠のような存在に対して牙を向けた途端、理不尽過ぎるが絶妙に納得できる部分もあり、エンタメとしてかなり脳を揺さぶられた。ニューヨークchのあの興行群が好きな人は絶対にチェックすべきである。

コンビで同じ方向を攻め続け、相方より上回ろうとする姿勢は凄まじ過ぎて思わず笑ってしまう。思想や文化、宗教観の違いとして袂を分ちそうな泥沼合戦は落とし所が全く見えないし、余りにもタコ殴り過ぎる状況がグロくもあり美しさの二面生を感じる。

「シブゴゴ」という客も演者も余り気合いの入らない牧歌的な環境下で勃発したというのが面白過ぎるし、観る人によっては不快しか感じない要素も含めてとにかく語りたくなってしまうセメントマッチである。本来ならば裏で噂程度で鳴り響いてたはずの幻想膨らむ遺恨であるが、リングの上で両者相まみえるパフォーマンスとしては極上過ぎて1000円で鑑賞できる価値は高い。

白熱する光のM-1グランプリの裏で、こんな闇過ぎる誰も得しないし解決の糸口が全く見えないシグルイの如く死合が行われていたという歴史を記しておく。配信のある時代に生まれてやっぱ良かったなあと思える。おしみんまるとケツはこの先どうなって行くのだろう。

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